お金持ちの世界は、不倫の解決法も驚くべきものでした。いろいろと浮かんだ疑問を、多くの離婚案件を扱う弁護士・井上愛美先生にお聞きしました。
今回ご紹介したのはいずれも夫の不貞行為が発覚し、夫から高額の慰謝料をもらったというケースですが、通常、その相手に対しても慰謝料請求はできるのですか?
「できます。もっとも、不貞行為はふたりの行為ですので、責任もふたりで取らなくてはいけないということ。つまり、当該不貞行為について、夫から相当額のお金をもらったのであれば、交際相手にさらに慰謝料を請求することは困難となります。
また一般的に、家計の財布は夫婦同一なので、妻が夫から慰謝料を受け取っても「家計のなかでお金が回るだけ」となってしまいますので、婚姻関係を継続する前提であれば、慰謝料は不貞の相手に請求することが多いと思います。
しかし、夫の資産すべてを奥さんが把握していなかったり、各自で財産管理を行っていたりする場合は、少し話が変わります。夫が支払う慰謝料で妻の財布が痛むわけではないため、妻にとっては有益なのだと思います」(井上弁護士)今回は、「夫が妻に慰謝料を支払って婚姻生活を続ける」という体験談でしたが、「離婚する」となった場合は、夫にはどのくらいの慰謝料を請求できるものなのでしょう?
「不貞行為による慰謝料の金額は、婚姻期間に対する交際期間の長さ、夫婦間の子どもの有無などの事情を考慮して判断されます。そのため、具体的な金額が決まっているわけではありませんが、不貞行為が原因で離婚した場合、一般的には、婚姻関係を継続する場合よりも慰謝料の額は多くなります」(井上弁護士)離婚するかしないかでは、慰謝料の額も違ってくるのが一般的なんですね。ちなみに、今回のように、夫が相手をかばったり相手にお金がなかったりして、夫側がお金を用意するケースはよくあることなのでしょうか?
「そのようなご相談は、確かにあります。しかし、それでは通常は奥さんが納得しないことでしょうし、そのような場合、離婚を前提にしているケースが多いと思います」(井上弁護士)
<取材協力>井上愛美 弁護士
(千瑞穂法律事務所http://www.sennomizuho.net/)
ライター:木村 百
情報誌の編集者として激務をこなした後、フリーライターに。2人の子どもの育児ストレスでイライラしつつも、日々の自分磨きは欠かせないアラフォーです。実母も姑も近所で暮らしているため、いまも未来も不安は尽きず。毎晩のお酒だけがパワーの源。