親戚や友人の子どもに初めて会った時、どのように声をかけるでしょうか? 悩んだ挙句、とりあえず「可愛いね」と伝える人は多いかもしれません。しかしマツコ・デラックスさんは、“可愛いね”と声をかけることに疑問を感じているようです。
可愛くない子に「可愛い」はやめた方がいい!?
11月14日に放送された『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ系)では、「子どもの褒め方」をピックアップ。まず始めに認知科学評論家・中野信子先生が指摘したのは、「結果や能力を褒めると、(子どもは)自分のできることしかやらなくなる」「本当にできた時だけ褒めれば良い。むやみに褒めれば良いという教育は、子ども達を潰してしまう」という点でした。
この指摘に対し、タレントの磯野貴理子さんは「親戚の子で可愛い子がいるんだけど、『可愛いね』はいいですか?」と中野先生に質問。中野先生によると「『可愛いね』は感想なので問題ない」とのことですが、マツコ・デラックスさんは「大して可愛くもない子に『可愛い』って言って、勘違いさせちゃったらかわいそうじゃない?」とコメントします。
この辛口な意見に対して中野先生は、「自分が可愛いか可愛くないかは客観的に分かるようになっていくわけです」と分析。続けて「それでも親とか親戚が『可愛い』と褒めたら、(子どもは)その人達が『嘘をついているんだ』と思うようになるなって、むしろ心の安定を乱す」と解説していました。
「可愛いね」は親から子への愛情表現
マツコさんの発言を巡って、ネット上には賛否の声が続出。賛成派からは「マツコよく言った! 可愛くないのに過剰に顔が可愛いって言うのは罪だよ」「子どもは『可愛くない』をストレートに表現するから、学校に入る前にそれとなく大人が伝えておくべき」「私は親に『世界一可愛い』って言われていて、『世界一可愛いんだ!』って勘違いして生きてたよ…」といった声が上がっていました。
一方で反対派の人からは、「余計なお世話。自分の子どもは世界一可愛い」「私はブスと言われて育ったけど、何ひとつ良い事なかった。親くらい可愛いって言ってくれよ」「『可愛い』っていうのは顔のパーツだけじゃなくて、表情とか仕草もあるじゃん」「うちの子どもは美人の顔ではないけど、“ブサカワイイ”っていう可愛さが存在してる!」などの意見が。
また「『可愛い』は愛情表現のひとつ」と主張する人も多く、「『パパとママにとって、世界一可愛いよ』と伝えれば愛情が伝わる」「小さい頃に『可愛い』って言われない子は、自己肯定感のない人間になってしまうのでは?」などのコメントも上がっています。
多くの親は「子どもを褒める」ことが苦手
「可愛いね」を含めて、子どもの“褒め方”について悩む親は多いかもしれません。“新しい子育て習慣”を発信する「ほめ写プロジェクト」は、“親の子育て意識”についてインターネット調査を行いました。
「子育てをする際、何を伸ばすことを最も重視しているか?」という問いでは、1位が「他人を思いやる気持ち」で29.9%。2位は「自己肯定感(14.0%)」で、3位には「目標に向けて努力を継続する(13.2%)」が入りました。中でも「自己肯定感」に着目している親は多く、「子どもの自己肯定感は重要だと思うか」ではYESの割合が94.5%に。しかし一方で、「子どもの自己肯定感を高めるために、意識して何かを行っている」人の割合は41.5%でした。
「ほめ写プロジェクト」によると、子どもの「自己肯定感」を伸ばすためには“褒める”ことが大切だそう。そこで「あなたは子どもを叱るのと褒めるのではどちらが苦手ですか?」と尋ねると、56.0%の親が「褒める方が苦手」と回答しています。
意外にも「我が子を褒める」ことに苦労している親は多いよう。「素直に『可愛い』と伝える」ことも、時には大切なのかもしれませんね。
文/牧野聡子