education201811

冷え込む季節になると、自然と温泉が恋しくなりますよね。

 

赤ちゃん連れでの家族旅行は、予定を詰め込みすぎずゆったり過ごしたいもの。温泉旅館はうってつけに思えますが、そもそも赤ちゃんって温泉に入っても大丈夫なの?入ってもいいなら、生後いつごろから?と心配になるママもいることと思います。

 

今回は、赤ちゃんの肌や体にとって温泉はどうなのか、周囲へのマナーから考えるとどうなのか?という両面から、「いつからOK?」という疑問について考えてみました。

医学的な「いつからOK」という基準は…ない!


まずは、温泉の赤ちゃんの体への影響から調べてみました。

 

泣き声で周囲に迷惑をかけるといった面はさておき、大人と同じ温泉に入るのは、「お湯の温度は熱すぎないか」「赤ちゃんの肌に刺激となる成分は含まれないか」「衛生面」…など、赤ちゃんがどの程度成長してからであれば安心なのか、気になりますよね。

 

まず家庭での入浴に置き換えて考えてみると、へその緒が取れて乾燥するまではベビーバスでの沐浴が必要で、大人と一緒に湯船に入れるのは生後約1か月からとなります。

 

当然、その時期までは温泉を含め、湯船に入るのはNG。 ではそれを過ぎたら?

 

…と調べてみましたが、実は、「赤ちゃんはいつから温泉に入ってよいか」を明確に定めたデータや調査結果はないようです。

 

温泉はそれぞれ泉質や温度・管理方法などが大きく異なりますし、成分が肌に有害かどうかを実際に赤ちゃんでテストするわけにはいきませんよね。

 

過去にインターネット上で行われた、3500人の医師を対象としたアンケート調査でも、1位は選択肢「その他」で「医学的にどうなのかはわかりません」「正解はない」という回答が43%を占めていました。

 

次に多かった医師の回答は「生後1年から」が28%で、理由としては「温泉成分そのものより、感染症が気になる」というものが多く見られました。

 

温泉では時々「レジオネラ菌」による感染がニュースになります。レジオネラ菌に感染すると肺炎を引き起こすことがあり、高齢者や乳児では最悪の場合生命にも関わりますので、抵抗力のついてくる1歳以上が良いのではないかと考える医師が多いようです。

 

また、赤ちゃんには温泉の湯温は高すぎることが多く、体表面積が広いため、のぼせやすいことも心配されています。

 

温泉の成分・泉質が赤ちゃんの肌にとって刺激になるのでは?という疑問については、「皮膚疾患がない赤ちゃんなら、刺激のない温泉なら生後3ヶ月頃から大丈夫なのでは」、「炭酸水、塩水なら生後3ヶ月くらいでも問題ないが、硫黄成分は皮膚に悪影響」などのコメントが寄せられていました。

 

酸性のお湯は殺菌作用が強く、大人では肌荒れや皮膚病に効果的と言われますが、赤ちゃんには刺激が強くピリピリとしみることがあります。

 

アルカリ性のお湯は、皮脂を溶かして角質を柔らかくするため、大人にとっては「美人の湯」とも言われますが、赤ちゃんの場合、薄く柔らかい皮膚がさらに傷つきやすくなってしまうおそれもあります。

 

泉質による禁忌(入ってはいけない)条件は、それぞれの温泉で決まっているので、事前に知りたい場合はホームページで確認したり、電話やメールで問い合わせたりすれば教えてもらえます。

 

乳児湿疹・アトピーなどがある赤ちゃんの場合は、泉質を確認した上で、かかりつけの医師に相談する方が良いでしょう。

周囲のことを考えると、いつからが良い?


赤ちゃんの体への影響面からは、はっきりしたデータはないものの感染症の心配が少なくなる1歳以降であればマイルドな温泉には入れそうでした。

 

が、それ以外にも周囲に対して迷惑ではないかどうかも気になりますよね。

 

旅館や温泉施設によっては、「おむつの取れていないお子様は入浴できません」「3歳以上」などと決められているところもあります。まずはこれらを確認してみましょう。

 

特に制限がない場合でも、首や腰の座っていない赤ちゃんを抱えての衣服の脱ぎ着や、すべりやすく薄暗い洗い場での移動・湯船の出入りは、やはり危険が伴います。

 

少なくとも、おすわりして後ろに倒れないくらい腰が安定してからの方が安全と言えるでしょう。

 

おむつの赤ちゃんでは、毎日おしっこやウンチの間隔がだいたい決まっていれば、その時間を避けるのが第一です。また湯船に入る前にはシャワーやかけ湯でしっかりお尻を洗いましょう。

 

もし、入浴中に赤ちゃんが泣いてしまったら、いったん切り上げて上がる勇気も必要。 浴室では普段以上に声が響きますし、赤ちゃん自身が温泉の匂いや熱さなどを不快に感じている可能性があります。

 

せっかくそこまで準備したので入浴を済ませてしまいたいのは山々ですが、こういう場合は赤ちゃんはお部屋で入ることにして、大人はあとで交替するなど、ゆっくとり大浴場に出直しましょう。

「赤ちゃんOK」の施設なら安心


最近では、赤ちゃんや子連れのファミリー歓迎という温泉旅館や施設も増えてきています。

 

そういった施設では、脱衣場にベビーベッドや授乳スペース・おむつを捨てられるゴミ箱などが備えつけられているだけでなく、大浴場にも赤ちゃん専用の浴槽(温泉水でなく、適温の真湯が入っている)が設置されていたり、ベビーバスの貸し出しがあったりします。

 

また、大浴場に赤ちゃんを連れていくのは難しそうでも、家族風呂・貸し切り風呂がある旅館もありますね。

 

毎回お湯を入れ替えるタイプの浴槽なら、衛生面でも心配が少ないですし、赤ちゃんに合わせてぬるめに調節することも可能。お風呂上りの赤ちゃんのお世話も、ママとパパが連携プレーできるのでスムーズです。

 

家族風呂や貸し切り風呂は事前の予約が必要なことも多いので、前もって確認しておきましょう。

 

さらに、内風呂(部屋ごとの浴室)がついているだけでなく、露天風呂がついた客室なら、赤ちゃんも一緒に解放感あふれるお風呂を楽しむことができます。周囲を気にせず写真撮影などもできて、ファミリーに好評です。

まとめ


せっかくの温泉、できるだけ赤ちゃんにもママ・パパにも負担が少なく、楽しく過ごしたいもの。 そのためには事前の情報収集がポイント!今回の記事もぜひ参考にしてみて下さいね。

 

文/高谷みえこ

参考:イシコメ「赤ちゃんはいつから温泉に入れる? 医師3500人にアンケート調査」
大江戸温泉物語「よくあるご質問」