子どもが生まれて成長するにつれ、おむつやミルク・洋服など身の回りの費用だけでなく、習い事や塾などの教育費がどんどんかかってきます。さらに住宅購入や保険など、お金はいくらあっても足りないですよね。
でも「お金にはまったく不自由しない」「お金の管理や増やし方は任せて!」というママは少ないのではないでしょうか?
職業的知識を身に付けている一部の人を除いては、学生時代や小さい頃に親から「お金の管理方法」「お金の増やし方」などを具体的に教えてもらわないまま大人になり、手探りで家計を管理している人も多いのではないかと思います。
それもそのはず、20代~40代の女性を対象としたあるアンケート調査では、「親からお金について教わった」と回答した人はわずか11%。
ママ世代の両親では、「子どもにお金の話をするなんて」と、お金の話題をタブー視する価値観が主流だったといえます。
しかしグローバル化が進む現代、お金のことに疎いままでは、将来子どもが社会に出た時が心配ですよね。
今回は、3人のママのお悩みから、「お金の教育」について考えてみたいと思います。
お悩み1:お小遣いやお年玉の管理はどうしたらいい?
最初のお悩みは、Yさん(31歳・6歳と3歳の男の子のママ)から。 「上の子が来年1年生になるので、そろそろおこづかい制にしようと思います。でも、ママ友に聞いても、月にあげている額はまちまちで、定額制だったり、お手伝い1回で10円だったり…何がおすすめでしょう?あと、お年玉もまだ金額が少ないので私が預かったままなのですが、これから額が増えてきたらどう管理すればいいのか迷っています」
2015年に実施された金融広報中央委員会のアンケート結果では、小学校低学年では「月に1回、500円~700円」という家庭がもっとも多かったそうです。
また、低学年では、定額制と、お手伝いなどに合わせてその都度数十円~100円を渡す方法を組み合わせている家庭も多いよう。
もらったお小遣いを全部使うのか、一部をためておいて大きいものを買うのか、足りなくなったらどうするのか…などを考えるためには「こづかい帳」がおすすめです。
しかし、実際にこづかい帳をつけているのは低学年では2割程度とのこと。
なんでもない時に「お小遣い帳つけなさいよ~」と声をかけてもなかなか実行できない子が多いと思いますが、次のお小遣いをあげるタイミングでこづかい帳を広げ、ここまでの状況を一緒にチェックしてあげられるといいですね。
ただし、「なんでもらってすぐ使っちゃったの?」等といきなりダメ出しをするのはNG。子どもが自分で考える機会を奪ってしまうので注意しましょう。
お年玉に関しては、もらった時に、「好きなものを買うお金」と、「貯金するお金」を分けてしまうのがポイントです。
そして貯金する分は、子どもと一緒に銀行や郵便局へ行き、子ども専用の通帳を作って毎年預けてゆくのがポイント。
「将来いくらになるかな?」等と話し合うことで、見通しを立てて貯金していく楽しみも身に付きますし、ある程度の年齢になったら、リスクの少ない投資に少額を使ってみるのもおすすめ。
通帳に印刷される普通預金のわずかな利子と、運用で得た利益を比較してみるのも非常に良いお金の教育になります。
お悩み2:電子マネーばかりで、現金のありがたみが分かってるのかな…
小学校5年生のお子さんがいるEさん(35歳)。
お子さんは電車に乗って隣町の塾へ通っているのですが、最近こんなことがあったそうです。
「電車に乗る時は、チャージ式のICカードを持たせています。改札を通ったらスマホに通知が来るので便利ですし。このカード、運賃だけじゃなくて駅の自販機や色んな支払いに使えちゃうんですよね。夏場など、手作りのお弁当の傷みが心配な時は、ICカードを使ってコンビニでお弁当を買うようにさせていました」
ある日、Eさんとお子さんが外出した時、たまたまEさんの財布から小銭がこぼれてしまい、転がった100円玉が側溝の鉄格子の下へと落ちてしまいました。鉄格子は簡単には外れなさそうですが、Eさんがなんとかお金を拾おうと試みていると、お子さんは
「そのくらいもういいじゃん、行こうよ」
と言ったそう。
「小学校5年生にとって、100円はどうでもいい金額ではないと私は思うんです。お菓子だって十分買えますよね。これって、いつもICカードで現金を使わず買い物しているせい?!お金の感覚が身に付いていないんでしょうか…」
最近では大人も電子マネーやスマホ、クレジットカードで決済することが増えています。
ポイントがつく・荷物が減るといったメリットも数多くありますが、子どもと行動する時にはあえて現金で支払う姿を見せたり、少額の商品を子ども自身に現金で支払う体験をさせたりなど、あえて「これだけの現金で、これだけのモノが買える」という実感を持たせることも必要かもしれませんね。
お悩み3:自分も知識が乏しいから、どう教えて良いのか分からない
Kさん(28歳・2歳の女の子のママ)は、自分の子ども時代を振り返ってこう話します。
「私自身、両親からお金の話を聞かされたことはありませんでした。小さい頃には、お父さんのお給料っていくらなの?と素朴な疑問を口にして、母にそんなこと聞くもんじゃありませんと叱られたこともあります」
Kさんは今は専業主婦ですが、いずれパートには出ようと思っているそう。
「今は家計管理と言っても、ローンや保険など大きな決定は夫に任せていて、私は食費や子ども関係のやりくりをしているだけで…要するに、お金のことってあまりよく分からないんです」
しかし、子どもの将来を考えると不安で、お金で困らないよう知識はつけてあげたいと思っているとのこと。
たしかに、終身雇用で給与が上がり続けるという就業形態は消滅しつつありますし、少子化や移民の受け入れなどで、年金や社会保障もこれまで通りにはいかない可能性が高くなっています。
「いつ、どんなことを教えていったらいいんでしょうか?」
子どもの性格にもよりますが、タイミングは、買い物やテレビ番組を見たときなどに、子どもがお金に関することを質問してきた時がおすすめだと言われています。
直接お金のことでなくても、「ママ(パパ)はなんのおしごとしてるの?」と聞かれたら、仕事内容を説明した後、「そうするとお金が手に入って、みんなのお家や食べるものを買うことができるんだよ」と話してあげるのがいいですね。
買い物に一緒に行く・お小遣い制を始めるなど実際のお金を扱うことは一番の経験ですが、それ以外にも「人生ゲーム」「モノポリー」などのボードゲームでも経済の仕組みが学べます。
「親子のためのおかね学習フェスタ」など楽しみながら金融教育ができるようなイベントも定期的に全国で開催されていますので、「私が教えるのは自信がない…」というママはぜひチェックしてみて下さい。
まとめ
昔は「子どもがお金のことを気にするんじゃない」という親が多かったかもしれませんが、カードや電子マネーが普及し転職も当たり前になった今、自分のお金は自分で管理し、増やしていくという意識が必要。
子どものうちから色々な経験を通じ、金銭感覚を育てることを目指していきましょう。
文/高谷みえこ
参考:金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度」