人生100年時代、備えあれば憂いなし。老いていくことに向き合ってみませんか? 平成23年度から始まった市民後見人制度について知識として知ることで、将来の不安を少し和らげることができるかと思います。 市民後見人の役割や市民後見人になるための方法また、市民後見人の活用方法などを紹介します。

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◆市民後見人とは

 

認知症高齢者や一人暮らしの高齢者の増加に伴って、成年後見制度の必要性が高まり、今後もその需要は増大していくことが予想されています。自分で介護サービスの手続き等を行うことが難しい高齢者のかわりに手続きを行ったり、不動産や預貯金の管理をする後見人。今、この後見人制度の担い手を「市民後見人」という形で、一般市民にも広げていこうという動きがあります。

 

成年後見制度:認知症や知的障害、精神障害などの理由で十分な判断ができない人に、法律的なサポートをする人をつける制度。不動産や預貯金などの財産管理、介護などのサービスや施設入所に関する契約などを後見人が代理で行い、本人が不利益を被らないように支援する。

 

市民後見人:弁護士や司法書士などの資格は持たないものの、社会貢献への意欲や倫理観が高い一般市民のなかから、成年後見に関する一定の知識・態度を身につけた第三者後見人のこと。

 

 

成年後見制度を利用するにあたって、多くの場合は親族か、弁護士などの専門職後見人がつきますが、今後この後見人が不足していくことが懸念されています。そこで、市民後見人事業が推進され、各市町村で市民後見人の養成が行われているのです。 ※市町村によって養成講座の有無があります

 

 

◆市民後見人になるには

市民後見人養成講座は、各市町村で実施されています。カリキュラム内容は成年後見制度に関する基礎知識、高齢者施策の講習、実務講習、レポート提出などになります。カリキュラム内容は各市町村によって異なりますが、およそ40から50時間の研修が行われているようです。

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――東京都K市の場合―― 市民後見人を受任するまでの流れ ①市民後見人養成講座を履修 ↓ ②市民後見人として市に登録 登録後、地域福祉権利擁護事業の生活支援員・法人後見人支援員等として活動 ↓ 成年後見等申立て事案の発生 ↓ ③市民後見人候補者の選任 ↓ ④候補者の意向確認 ↓ ⑤家庭裁判所の面接 候補者は家庭裁判所が必要と認めた場合には、家庭裁判所で面接を受ける ↓ ⑥審判書が送付され、審判確定 市民後見人として活動開始

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◆市民後見人への依頼方法

各市区町村役場の福祉課窓口での相談になります。 ご家族や親せき、あるいは身近な方で困っている人がいる場合には、一度相談してもいいかもしれませんね。

 

今回、市民後見人養成講座の説明を受けたことがきっかけで、この記事を執筆しました。 私以外にも、現在訪問ヘルパーをしていて、高齢者の金銭管理を任されてしまったことがあり、市民貢献口座を受講希望している方や、親族に認知症高齢者がいるものの、後見人を担う子どもがいないため、遠い親戚である自分が後見人として立たなければならない人など、今現在必要に迫られて受講を考えている方多くいました。 市民後見人制度は、介護サービスと一線を画していく必要性や、ボランティアとしての位置づけられているという現状など、まだまだ制度としての問題を多く抱えています。 今後、制度が整備され、拡充されていくことに期待したいですね。 そして、なにより市民後見人という制度があるということを知るだけでも、老後の備えになるのではないでしょうか。 老後に不安を抱かないためにも、しっかりと市民後見人について知っておきましょう。

 

CHANTOママライター/中谷絢子