education201810

赤ちゃんや幼児の身長は、早生まれかそうでないかによっても大きく左右されますし、個人差はあってもその子なりに伸びていれば心配ないですよ、と検診などでも言われます。

 

何より、これからどんどん大きくなる時期なので、成長曲線内にいるのであれば、それほど身長について悩むことは少ないのではないかと思います。

 

しかし、小学校入学後、だんだん学年が上がり、スポーツを始めたりすると「うちの子、もう少し身長が伸びてくれるといいんだけど…」と思い始めるママもいるのではないでしょうか?

 

「パパも私も背が低いから仕方ない」と思ってしまいがちですが、実は、遺伝以外に身長の伸びを左右する要素は複数あるそうです。

 

中には、一見身長とは関係なさそうに思えるものもありますが、これらは本当なのでしょうか?検証してみたいと思います。

 

睡眠時間


身長が伸びるためには「成長ホルモン」がしっかり分泌されていることが必要。

 

成長ホルモンは、夜、眠っている間に分泌され、その間隔は3時間おきと言われています。 睡眠時間が9時間以上なら一晩に3回成長ホルモンが出るのに対し、8時間では2回しか出ない計算になりますよね。 この積み重ねがやがて大きな差になることも。やはり「寝る子は育つ」ということわざは間違っていないようです。

 

ところで、ママ自身あまり背が高くないとしても、自分のお母さんやおばあちゃんと比べると、まだ自分の方が上…ということはありませんか? これは、身長や体格は遺伝がすべてではなく、生活様式(おもに食生活)によって変化することを示しています。

 

祖父母世代よりもママ世代の方がおおむね身長が高いのは、戦後の食生活の欧米化によって肉や乳製品を多く摂るようになり、カルシウムや動物性タンパク質の摂取量が増えたことが大きな理由とされています。 ただ、今の子どもたちと、欧米の子どもたちでは、1つ決定的に違っていることがあるんです。

 

それが「睡眠時間」。

 

0~4歳の子どもの就寝時刻を各国で比較したところ、日本では47%と半数近くが「夜10時以降」だったのに対し、イギリスでは25%、ドイツやフランスでは16%と、大きな差が見られたという調査結果があります。 2017年には「睡眠負債」という言葉が流行語大賞にノミネートされましたが、現在、日本人の睡眠時間は世界でも最下位レベル。

 

このままでは、戦後伸び続けていた平均身長もストップどころか下降に転じるのではないかと懸念されています。

 

食生活


身長が伸びるためには、骨や筋肉のもととなる材料が欠かせません。 骨の材料は「カルシウム」?と思いがちですが、実は、骨の両端が伸びていく部分は「コラーゲン」でできています。つまり、たんぱく質をしっかりとることが必要なんですね。

 

さらに、伸びた部分を固め、強くするためにカルシウムやマグネシウムが必要となります。

 

ただし、プロテインサプリなどでむやみにタンパク質を摂取し過ぎると、副作用としてカルシウムがおしっこと共に排泄されてしまうので逆効果になります。食事でも、一日の適量(体重kg×1.0g)のタンパク質量を大きく超えないように気をつけましょう。

 

インスタント麺やハム・ソーセージなどの加工食品に多く含まれる「リン」は、カルシウムの吸収を妨げ、骨粗しょう症などの原因になる可能性が指摘されています。

 

リンのとりすぎで子どもの身長が伸びないのかどうかはまだ詳しく分かっていませんが、加工食品は全般に塩分やカロリーが多く、ビタミンやミネラルが不足しがちなので、いずれにしても子どもには控えめにした方が良いと言えます。

 

反対に、「クエン酸」は、カルシウムの吸収を助けてくれる働きがあります。お寿司や酢の物、果物などで、毎日少しずつでもクエン酸を取り入れていくと良いですね。

 

ストレスも関係あり?!


「ストレスで背が伸びない」なんて聞いたことない!と思ってしまいそうですが、実はかなり密接に影響することが最近の研究結果から分かってきています。

 

「成長ホルモン」が分泌される脳下垂体はストレスの影響を非常に受けやすく、勉強や習い事のスケジュールが過密でのんびりする時間がない、家族や園・学校の人間関係で日常的に緊張が続く…といった環境下では、十分に成長ホルモンが出ないと言われています。

 

また、ストレスが原因でホルモンバランスが乱れると、本来、10歳~12歳頃におとずれるはずの思春期が7歳~9歳で到来してしまう「思春期早発症」を発症し、成長がそこでストップする可能性もあるとのこと。

 

仮にストレスの原因が解消されても、後から身長を伸ばすことは難しいので、毎日のスケジュールや環境が子どもの負担になりすぎていないか常に気を配ることが大切ですね。

 

スマホ・ゲーム・タブレットも悪影響が?


成長に欠かせないホルモンは、就寝後3時間頃のぐっすり眠っている時に最も多く分泌されます。

 

しかし、スマホやタブレット、携帯ゲーム機などから出ている「ブルーライト」が目に入ると、視床下部から脳内へ伝わり、「今は昼間だ」と認識してしまうそう。 そのため、眠っていても深い睡眠がとれず、成長ホルモンの分泌が妨げられてしまいます。

 

大人であれば、病気やケガが治りにくい・肌荒れ・抗うつ状態などにつながりやすく、子どもの場合は成長が阻害される可能性があると言われています。

 

特に子どもは大人と比べるとよりブルーライトの影響を受けやすいため、寝る前2時間はなるべくスマホ・タブレット・ゲームなどを見ることを避け、昼間も長時間見過ぎないことや、画面にブルーライトを軽減するシートを貼るなどの対策を心がけましょう。

 

病気が原因の場合も


最後に、毎日の生活が原因ではなく、先天性または偶然の病気が原因で身長が伸びないケースもあります。

 

身長に影響する病気には次のようなものがあります。

 

  • 成長ホルモン分泌不全症
  • 軟骨無(低)形成症
  • プラダーウィリー症候群

※これらの病気だった場合は、成長ホルモン注射が有効であると言われています。

 

  • 成長ホルモン受容体異常症
  • 体質性低身長(原因不明)

※これらにはホルモン注射は効果がないと言われています。

 

  • 甲状腺機能低下症
  • 脳腫瘍
  • 腎不全
  • 肝臓病

※これらは身長だけの問題ではなく病気そのものの治療が急がれます。

 

3歳児健診な どで「成長曲線」を下回っている場合でも、生まれつき小柄なだけで特に問題はない場合も多く、病院で検査しても異常が見つからない子が90%以上。治療の対象となるのは5~6%だといわれています。

 

しかし、もし何らかの病気やホルモンの異常が見つかった場合は、早く治療を始める方が後々の成長への影響が最小限に抑えられますので、検診は必ず受け、検査をすすめられたら受診するようにしましょう。

 

まとめ


今回は、子どもの身長が伸びない「意外な理由」について探ってみました。 両親の身長をもとに、子どもの将来の身長を予想する計算式もあるのですが、実はその数値は、男の子ならプラスマイナス18cm、女の子なら16cmの幅があるそう。

 

大人で、「あと5センチ身長が欲しかった…」という人もいるかと思いますが、毎日の生活のちょっとした工夫で将来少し背が高くなれるなら、やってみようかな?と思えそうですね。

 

文/高谷みえこ

参考:『子どもの身長を伸ばすためにできること―小児科専門医が教える食事と生活習慣 (新版)』額田 成著

日本小児科医分泌学会「低身長」