“シンプル・使いやすい・買いやすい”。
誰もが知っている「無印良品」のアイテムは、整頓収納にニガテ意識を持っている人を、救ってくれます。
今回は、整理収納コンサルタントの本多さおりさんのお宅を拝見。これまで出された10冊以上の収納本は「わかりやすく収納のステップについて紐解かれていて、すぐ実践できる!」と、ファンが多数。とくに愛用しているというのが、無印良品のアイテム。その使い方の実例を紹介した本『もっと知りたい無印良品の収納』も人気の一冊となっています。
整理収納コンサルタントとして活動しながら、0歳と2歳の育ち盛りの男の子を育てるお母さんでもある本多さん。忙しく日々を過ごしているのにもかかわらず、ご自宅は驚くほどスッキリと整頓されていました!
目次
\ 本多さんならでは /
「無印良品」の使い方3ルール
用途をひとつに絞らない
無印良品の一番の魅力は「応用力!」と断言する本多さん。「汎用性が高いので使う場所を問わないのはもちろん、縦や横にしたり、逆さにしたり、積み上げたり、合体させたり……と、一個の商品がいろんなところで使いまわせます。だから、商品をずっと愛用できるんです」
「片付けモチベーション」が上がるビジュアルを選ぶ
「収納グッズはいろいろありますが、無印良品のアイテムはやっぱりビジュアルが素敵!」と、「ステンレスひっかけるワイヤークリップ」をまじまじと見ながらうれしそうに笑う本多さん。ある取材で、
定番商品を、長く使う
無印良品に定期的に通っているという本多さん。「新商品ももちろんチェックしますが、ずっと使えるのはやはり定番の商品。例えば、『ポリプロピレン収納』シリーズ。サイズのラインナップが豊富で、衣類からキッチン小物まで……ほんとに何にでも使えます」小さな子どもがいるからこそ、これからどんどん生活スタイルが変わっていく。当然、家にある持ち物も変わっていく。そのなかでずっと使い続けていられる定番を手にすると、収納の頼りになる味方になってくれる。
本多さんにとっての「無印良品」とは
「なんでも、無印良品で選べば安心!」という本多さん。無印良品のグッズを愛してやまない彼女は、店舗でアルバイトをした経験も。現在でも週に1〜2回は自宅近くの店舗を訪れて商品をチェックするという、自他ともに認める「ムジラー(無印良品ラバー)」。こよなく商品に惚れ込んでいるからこそ、アイテムを生かした収納術が生まれる。悩みの多い2大エリアである「キッチン」と「リビング」で生かされている本多さんの収納テクニックを、早速教えていただきました。
本多さおりさんの場所別!無印良品の使い方
片付く!「無印良品」1|キッチン編
食器や調理道具、食材類と細かいものが多い中で慌ただしく調理をする場所だからこそ、収納は戦略的に。「よく使うものは、ワンアクションで届く場所に配置」が鉄則。
「これはよく使う」と「これはここで使う」と、一つずつにベストな場所をあたえ、丁寧に配置していくと、驚くほど使いやすいキッチンになる。
食器は「使用頻度」によって置き場所を変える
茶碗、汁椀、おかずプレート、コップ…食器の中でも毎日使うものは、シンクの対面に設置した無印良品の「ステンレスユニットシェルフ」へ。シンクで洗って拭いたら、棚の上にある「ステンレスワイヤーバスケット」にしまう。このシリーズはいろいろな深さが選べるので、取り出しやすい浅めのものをセレクト。「ワイヤーバスケットだと周囲に程よい空間が生まれるので、引き出しなどよりも出し入れが簡単なんです」。使いやすい場所だからと、食器を重ね始めると取り出しにくくなるので、必ず収納する食器は数を厳選して。
一方、「毎日ではないけど、よく使う食器」は、レンジ下に配置した「ポリプロピレン収納ケース」に収納。こちらも深さがさまざまなので、しまう食器の高さに合わせて。浅型の収納ケースを選んで、食器を極力重ねないのも、取り出しやすいテクニック。
カトラリー類は同じくレンジ下の浅い引き出しに収納。中に「ポリプロピレンメイクボックス」を入れて空間を仕切ることで、種類ごとに整理ができる。物のサイズに合わせて初めに収納を仕切っておけば、ザッと入れても散らからず、結局ラクなんですよね」
これがキッチンに!?というものも、キッチンで使うのなら、置く
これがレンジ下収納の全体像。使用している無印良品の「ステンレスユニットシェルフ」は、シェルフ自体の幅を変えられたり、高さを変えられたりと、スペースによって自在に調整できる。「ポリプロピレン収納ケース」がぴったりとはまるので、組み合わせて引き出しとして活用している。キッチンで使うものは、ジャンル問わず、ここにすべて収納。
「ポリプロピレン収納ケース」は、半透明なデザインのため、中に入っているものがわからなくならないよう、ラベリングが必須。「我が家では薬をキッチンのシンクで飲むので、薬はシンクの真下にあるこの収納に保管しています」。収納する場所はあくまで「よく使う場所」が片付く法則。「薬は薬箱に」という固定概念は捨てる。
一番使い勝手のいいコンロ下は「面」をフル活用
本多家のコンロ下は、もともと棚も何もない広い空間だったとか。「だからこそ、
ここでは「
片付く!「無印良品」2|リビング編
本多家にとってのリビングは、おもちゃで
遊んだりオムツ替えをしたり……と子どものためのエリア。フリースペースをできるだけ残したいので、こまごましたものを大きめの収納グッズにまとめて、すっきりさせている。また、布製の収納グッズを取り入れることで、安全面にも配慮をしている。
大きな棚を配置し、細々した雑貨はまとめる
リビングには、読みっぱなしの書籍や雑誌が散乱しがち。それをすっきり収納できるように、本多さん宅では無印良品の「壁に付けられる家具」を縦置きに設置している。「収納スペースがコンパクトなので、しまっておく本は読みかけのものだけに限定しています。他はすべてクローゼットが収納場所です」
キッチンとサイズ違いの「ステンレスユニットシェルフ」をリビングにも置き、ご主人の収納・作業スペースに。元々は他の場所で使っていたが、“お試し期間”として配置換えをし、使い勝手を確認しているそう。「新たに収納が必要だと感じたら、購入する前に家にあるもので代用してみるのがおすすめです。実際に使ってみると、分かることは意外と多いんです」。この収納も、当初はもう少し幅の広いものにするつもりだったが、
シェルフの引き出しには「床や棚上など、あちこちに物を置いてしまう」という夫のための専用のスペースと決めた。「細かく仕切らず、引き出し内のスペースを広くとってあげれば、しまうのを面倒くさがって周りに置きっ放しにしなくなります」
ソフトな「布系」収納は、風合いもリビングにお似合い
オムツ入れとして活用している「ポリエステル綿麻混・ソフトボックス・浅型・ハーフ」。リビングで頻繁に取り出すオムツは、そのまま出しておいても空間になじむ布製のボックスを使用。子どもが触ることも多いので、やわらかい素材というのも、セレクトの理由です。
最近の本多さんの無印良品のなかでのヒットアイテムがこちらの「持ち手付き帆布長方形バスケット」。「バッグ型の収納アイテムで見た目もかわいいんですが、底と内面が汚れにくいようにコーティングも施されていて機能的でもあるんです。これからの季節はアウトドアで使ったりもできますよね。サイズが6種類も選べるのもいいですね」。本多さん宅では、今はリビングで子供用の本の収納に使用中。「帆布の色や素材の柔らかい雰囲気が落ち着いたリビングの雰囲気ともよく馴染みます」
片付く!「無印良品」3|その他
キッチン、リビング……と、エリア問わず使えるのが「吊るす」収納テクニック。必要な場所から手が届く位置に配置できるうえ、床の上に物を置かないことで、空間もすっきり。無印良品にはそんな「吊るす」収納用のアイテムが数多くそろう。価格的も取り入れやすいものばかりなので、収納初心者でも気軽にチャレンジしやすい。
無印良品の「吊るす」収納アイテム
「ステンレスひっかけるワイヤークリップ」は、機能美あふれたデザインで、本多さんの大のお気に入り。家じゅうのあらゆるところで活用している。キッチンでは、シンクの上にもともと備え付けられている棚にレシピスタンドを挟みこみ、そこにクリップを吊るして使用。乾かしたい布巾や、乾きにくい保存容器のフタなども一時的に吊るしておくのだそう。シンク上にぶら下がっている状態のため、水が滴りおちても大丈夫。「吊るすと乾燥もしやすいので、使えるテクニックです」
「ステンレスひっかけるワイヤークリップ」はバスルームでも使用中。備え付けのタオルかけにクリップを使ってタオルを吊るして収納している。普通にタオルをかけるより、省スペースで収納ができる。
「ステンレス扉につけるフック」ランドリーで使用。扉の上部に引っ掛けて使用できるので、使用頻度が高い洗濯板をかけておくのに便利。
「アルミフック・マグネットタイプ」は「ステンレスユニットシェルフ」のサイドパネルにくっつけられる。大小のサイズがあるので、ひっかけるもののサイズに合わせて使い分けを。「キッチンには、毎日のように使うものが多くあります。
「アルミフック・マグネットタイプ」は玄関でも使用している。腕時計など、外出時に忘れがちなアイテムの収納場所をここに集約することで、バタバタした朝の時短になる。
「壁に付けられる家具・フック」をダイニングの壁に設置し、頻繁に使うトートバッグを吊るして収納している。石膏ボードの壁であれば、壁を大きく傷つけることなく簡単に取り付けられる。「木製の自然な風合いがインテリアにもなじむので好きです」
「横ブレしにくいS字フック」は二重構造になっているので、ものを引っ掛けた時にも横にずれにくく安定感がある。リビングに置いたご主人の「ステンレスユニットシェルフ」に引っ掛け、鞄などの収納の定位置にしている。
「忙しくて手が付けられない」人へ。本多さんより一言
——小さい子供を育てながら働いていると、家が散らかるいっぽう…みなさん「片付ける余裕がない!」のですが、どうしたらいいですか?
「収納は初めが肝心です!時間と労力をかけて使いやすい収納の仕組みをつくると、その後の片付けは見違えるほどラクになります。モノを探す時間も減りますし、
——そうなんですね。収納の仕組みづくりは、毎週末、少しずつ行ってもいいんでしょうか?
「突貫工事で部分的に収納改善をしても効果は少なく、またすぐ散らかるとやる気がなくなってしまいますよね。できれば休日にある程度の時間を割いて、全体的に仕組みを見直すことをおすすめします。とはいえ、無印良品のアイテムはシリーズ化されているので、細かく計画を立てなくても大丈夫だと思いますよ」
——収納の仕組みづくりをすることで、どんなメリットがあるんでしょうか?
「部屋が散らかっても“どこにしまおうか?”と頭を使わずモノを定位置に戻すだけで片付くので、
——最後に……お子さまが生まれて収納術に変化はありましたか?
「子どものアイテムはどんどん増えるけれど、“今まさに必要”なモノはどんどん変化しますよね。
「収納の仕組み」を形作ることを楽しんでいる本多さんのテクニックからは、いろいろと取り入れられることがありそうです。
PROFILE 本多さおりさん
整理収納コンサルタント。2歳と0歳の2児の母。雑誌やウェブなどで、暮らし重視のシンプルな整理収納術を提案。自身の収納メソッドをたっぷりと詰め込んだ著書は10冊以上で、代表先に『もっと知りたい無印良品の収納』(KADOKAWA)、最新刊に『とことん収納』(大和書房)がある。無印良品が大好きで、自称「無印オタクの収納コンサルタント」。小さな男の子2人を持つ母親として、「自分も子どもも暮らしやすく、居心地のいい空間に」と、収納の見直しには余念がない。「料理が好きな人が味に貪欲なように、私は収納が大好きなので、収納には貪欲です(笑)」
取材・文/松崎愛香 撮影/小島光