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保育園や幼稚園の行事等で、お遊戯室に集まり座っていることができず脱走してしまう、遊びが終わって給食やお弁当の時間なのになかなか遊びがやめられないなど、集団行動が必要な場面でうまくみんなと合わせることができない子がいます。 小学校に入ってからのことを考えるとママはとても心配だと思いますが、いくら口で言い聞かせても、すぐにできるようにはならないもの。 今回は、集団行動ができない子どもの気持ちや理由を知り、ママにできることや接し方のヒントを考えていきます。

子どもが集団行動できない訳


理由1:たんに年齢によるもの

幼稚園で考えると、3年保育であれば入園時点でほとんどの子は3歳です。 3歳では、少しずつ他の子との交流を楽しめるようになってくるものの、まだまだ並行遊び(側にいる子と一緒に遊んでいるように見えるが、実際は各自一人遊びをしている状態)が多い状態。

 

先生が「集まって○○しようね」と声をかけても、夢中で聞こえていなかったりすると、周りの子が集まったのを見ても「自分もクラスの一員だから集まらなくては」と頭の中で結びつく子は少ない年齢です。

 

また、クラスの中でも性別や生まれ月などによって成長には差があり、比較的成長の早い子が集まっているクラスでは、早生まれの子が皆についていけていないように見えることもあります。

 

保育園では幼稚園と比べれば、小さい頃からみんなで同じ時間に食事をとるなどの経験が多いので、集団行動も上手にできそうに思えますが、3歳台ではまだまだ集中できる時間も短く、保育士さんが一生懸命声をかけてやっと動く…ということも珍しくありません。

理由2:時間ではなく内容で区切るタイプ

受験勉強や仕事にも通じることですが、何かに集中する時、作業時間で区切る人と、内容が一段落した時点で次に移る人がいますよね。 

 

小学校はもちろん、幼稚園や保育園でも一日のスケジュールやカリキュラムが決まっているので、時間で区切って進めることになります。 しかし、例えば11時までは工作の時間、11時になったら外で運動会の練習…と決まっていても、どうしても工作を納得するまで作りたいという気持ちが強く、次の行動に移りたくない子もいます。

 

実は、筆者の長女もこのタイプでした。絵本を読み始めてしまうと1冊読み終わるまでは動かないので、ずいぶん幼稚園の先生にはご厄介をかけたことと思いますが、温かく接して下さったことを本当に感謝しています。

理由3:マイペース

集まって話を聞くなどの集団行動はできるのに、園庭でみんなで遊ぶといった場面では、一人離れてポツンとしている子もいます。 その理由としては、引っ込み思案で輪に入れないということもありますが、マイペースな性格という場合も多くあります。

 

集団で遊ぶのはとても楽しいことですが、反面、押しの強い子の希望に合わせなければならない、この遊びをもう止めたくても人数が必要だからみんなの気が済むまでは抜けられない…といったデメリットも併せ持っています。

 

「それくらいなら最初から集団に入らない方が落ち着く・気が楽」と子ども自身が判断していることも。

発達障害の可能性も…


「集団行動が苦手」という一点だけでもちろん簡単に判断はできませんが、軽度の発達障害が原因になっている可能性もあります。 

 

自閉症(スペクトラム)、アスペルガー症候群などを含む「広範性発達障害」では、音・光・におい・触覚など、さまざまな外部の刺激に過敏に反応してしまう「感覚過敏」の見られる子がいます。

 

そのため、どろんこ遊びの感触や汚れることを嫌がって外に出なかったり、オルガンの音が苦手で行事に参加したがらなかったり…ということが起こります。

 

しかし、そのことを小さな子が保育士さんや幼稚園の先生に分かるように説明するのはほぼ不可能なため、場合によっては「わがまま」「しつけの問題」ととられかねないこともあります。

 

また、周囲にあまり興味が湧かない・自分の世界に入って遊んでしまいやすいという傾向や、どう動くべきか察するのが苦手、気持ちの切り替えがしづらいといった特性を持つ子も多くいます。

 

この場合、集団生活に入れば自然に適応するだろうという見通しではなく、その子の発達段階に合った指示の仕方や言葉がけをする必要がありますが、全ての保育関係者が十分に研修を受けられているとは言い難く、対応できていない園もあるのが現状のようです。

 

なお、「幼稚園や保育園の先生から、小学校が心配だと言われた」場合、単にもう少しがんばりましょうと言われている場合と、障害が原因である可能性を示唆されている場合があります。 

 

実は、保護者側から相談があった場合は小児神経科や支援センターなど専門家のサポートを紹介できるものの、園側から先に「お子さんに発達障害の可能性があります」と受診をすすめることは避けている園も多いよう。

 

診断がついた場合はもちろん、結果的に診断がつかなかったにせよ、グレーゾーン(要観察)だったにせよ、お子さんにとってマイナスになることはありませんので、もしも園から集団行動についての懸念を言われた場合は、そのままにせず詳しく話を聞いてみるのがいいかもしれません。

まとめ


「集団行動ができない・苦手」という子にとって、ママや周囲の大人にできるのは、その子の個性に合った接し方で成長できるようサポートすることだと思います。

 

逆に、むやみに叱ることで自己肯定感が低くなるなどの二次的な被害を与えないよう気をつけなければいけません。

 

いずれにしても、今日明日すぐに「集団行動ができる子」になるのは難しいもの。気長に見守っていきたいですね。

 

文/高谷みえこ 

参考:厚生労働省「軽度発達障害児に対する気づきと支援のマニュアル」