education20181008

保育園・幼稚園ともに、お子さんが年長クラスになると「文字の読み書きや簡単な計算などが入学前にできていなければダメ?」と気になりだしているママも多いかと思います。 また、保育園の待機児童は全国的な問題とはいえ、親の就業の有無にかかわらず保育園・幼稚園を選択できる地域も意外と多くあります。 現在、園の選択を控えて迷っている人も、お子さんの入学を控えている人も、どこかで「保育園は勉強する時間がないから、幼稚園の方がいい」といった話を耳にしたことはありませんか?

 

今回は、果たして本当にそうなのか、保育園・幼稚園にお子さんが通っていたママたちの声も参考にしながら見ていきたいと思います。

保育園と幼稚園の違い


まず、保育園と幼稚園では「教育」という観点で見ると、どういった違いがあるのでしょうか。

 

それぞれの管轄省庁を見てみると、

  • 幼稚園→文部科学省
  • 保育園→厚生労働省
  • 認定こども園→内閣府

となっており、幼稚園では「教諭」、保育園では「保育士」資格が必要となります。

 

このことから世間では、幼稚園=教育、保育園=託児というイメージが強いのではないでしょうか。

 

ただ、保育園での小学校に向けた学習準備カリキュラムは、幼稚園と比較すると「生活や遊びを通して身に付ける」部分も多いため、読み書き計算に興味がある子は保育園・幼稚園に関わらず身に付く一方、興味がない子は習得できなくてもそのまま進んでいくという現状もあるそう。

 

しかし、「幼保一元化」により保育園・幼稚園でカリキュラムを共有する動きがありますので、いずれそのような違いもなくなっていく可能性が大きいでしょう。

幼児期の「勉強」や「教育」の意味とは


しかし、小学校入学前の子どもにとっての「教育」「勉強」とは、いったい何をさすのでしょうか? 

 

一般的に思い浮かぶような「文字の読み書き」「計算」「英会話」もたしかに勉強ですが、それはごく限られた一部分だといえます。

 

以前、当サイトのコラム「

理科が得意な子どもの共通点は…小さい頃から○○していた?!

」でも書いたように、幼児期に自分の体を使ってさまざまな体験した子の方が、小中高で理科の学習到達度が高いと言われています。

 

幼稚園・保育園に関わらず、木登り・虫取り・ごっこ遊びなどは、広い意味での「勉強」であり、それらを十分にできた上でこそ、机に座っての勉強が生かせるのではないでしょうか。

ママたちに聞く保育園と幼稚園の勉強と教育事情


保育園ママの体験談

お子さんが保育園に通っているママに、「保育園で勉強はできると思いますか?」とたずねてみたところ、次のような声が上がりました。

 

「祖父母世代には、保育園はただ生活の面倒を見ているだけ…というイメージがあるようですが、娘は遊びの中でいろいろ学んでいるようですよ。園でお手紙を書く遊びが流行って、ひらがなや自分の名前も書けるようになりました。家で私が教えるより、お友だちとお手紙交換したい!という動機がある方が覚えるのも早い!」(5歳の女の子のママ)

 

「私は、保育園で読み書きそろばんを教えてほしいとは思っていません。むしろ、栄養バランスのいい給食は頭にもいいし、トイレトレ―ニングをはじめとした生活習慣や年の離れた子どもと交流して身に付く社会性などが、一人っ子のわが子にはすばらしい勉強だと思っています」(4歳の男の子のママ)

 

「私立の認可保育園に通わせています。うちの園では、ひらがなカタカナや数字計算はもちろん、漢字、体操、水泳、ピアノがカリキュラムに入っているので、“保育園の子は勉強ができない”とは全く思わないですね」(3歳の男の子のママ)

 

「小学校に入ってみて思うのは、入学後の成績がどうこうより、日々の持ち物や生活習慣を守らせることが大変だということ。親がメインでやるようになって、保育園でいかにきめ細やかにお世話になっていたかを思い知りました。その点、幼稚園ママはもともとやっていたからでしょうか、苦にならないように見えます」(1年生の男の子のママ)

幼稚園ママの体験談


同じ質問を幼稚園ママにしてみると、次のような答えが返ってきました。

 

「3歳で幼稚園に入園するまで昼間は家で母子二人きり。毎日誰かと約束して遊べるわけでもないし、家事をしないといけない時には、ついテレビやDVDに子守りをさせていました。あの頃、保育園で同世代の子と関わったり、テレビやスマホに触れない生活をしていた方がむしろ教育的だったような気が…。」(4歳の女の子のママ)

 

「幼稚園とひとことで言っても、公立と私立で全然違うんですよね。うちは公立で、のびのび系なので、特に園でお勉強なんてしていないです。いちおう、小学校までにひらがなくらい…と思って、通信教育と、親が教えたりしてましたよ」(1年生の女の子のママ)

 

「一部の小中一貫校を目指すような園をのぞけば、幼稚園ってそんなにガンガン幼児教育していないんじゃないでしょうかね?英語・リトミック・体操・楽器などの習い事を園内でやってくれるのは助かっていますが、それぞれ費用が別に必要なので、みんなフルにはできない感じです」(5歳の男の子のママ)

 

幼稚園は、公立・私立でも、園ごとでも、かなり方針が異なるのが特徴です。体をしっかり動かすことを重視している園もあれば、いわゆる幼児教育に非常に力を入れている園もあるので、家庭の方針と合っているかどうかを見極めるのがとにかく重要ですね。

一概に判断せず、子どもが伸びる環境選びが大切


最近では園選びも、フルタイム勤務=保育園、専業主婦=幼稚園、という二者択一ではなくなってきています。

 

どちらも選べる(選ばなくてはいけない)状況で迷っている場合、地域性によっても大きく変わってきますし、子どもの性格によっても合う・合わないがあるため、できるだけ多くの人から話を聞いてみるのがベスト。

 

また、今回共通していたのは「園の方針やカラーはある程度影響する」ものの、「小学校入学後しばらくしたら、どっちがどっちだか分からなくなる」そして「学習意欲や姿勢に一番影響が大きいのは家庭」といった意見でした。

 

「保育園か幼稚園か」で判断するのではなく、家庭を含めて総合的に子どもが伸びる環境づくりを心がけていきたいですね。

 

文/高谷えみこ

参考:内閣府子ども・子育て本部 「子ども・子育て支援新制度について」

 文部科学省「幼保一体化について」