今年の夏は、日本だけでなく世界各地でも“猛暑”を記録。イギリスや南アフリカなどでは干ばつでダムや貯水池が枯渇し、水の使用が制限されました。一体どうすれば限られた資源を有効に使えるのでしょうか。今、日本の技術が世界の水の常識を大きく変えようとしています。

 

日本企業が“水”を変える?


今年の9月に放送された『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)では、水を変える最新のテクノロジーについて特集。変わりつつある水との付き合い方を教えてくれました。

 

茨城県古河市の町工場「宮本製作所」は下請けの苦境から脱却するため、マグネシウムを使った洗濯補助用品「洗たくマグちゃん」を開発。洗浄力だけでなく重い洗剤を買う手間も省けると話題を呼び、これまでに100万個を販売する人気商品となりました。そんな「宮本製作所」が今年の夏に挑戦したのは、洗濯排水で“農業革命”を起こすこと。

 

「洗たくマグちゃん」を使った洗濯排水を調べてみると、窒素、リン、カリウムが含まれていると判明しました。その物質は、どれも野菜を育てる上では欠かせない栄養素。「洗たくマグちゃん」があれば肥料や農薬のコストもかからず、“無農薬野菜”という付加価値もつけられます。さらには今まで捨てるだけだった洗濯排水が有効活用できるので、環境にもやさしいですよね。現在は「宮本製作所」の社長・宮本隆さん主導のもと、洗濯排水のみを使って育てられた野菜が販売されはじめています。

 

今年の夏といえば、各地をおそった豪雨も大きな問題に。番組では、ある被災地で行列を作る人々を発見しました。行列の先にあったのは、水道いらずでタンクにある水しか必要としないシャワーボックス。「WOTA」というベンチャー企業が作ったシャワーボックスは、排水を綺麗にして循環させるため少しの水でもシャワーを浴び続けられます。驚きなのは濾過後の水に匂いが一切なく、水道水の基準を上回るほどの水質を誇ること。その秘密は6種類のフィルターと“AI”にありました。水の汚れを感知すると、AIは瞬時に最適なフィルターを選択。最新鋭の技術によって水を濾過していきます。このシャワーボックスを利用した被災地の人たちも大満足だったようで、爽やかな笑顔を見せていました。

 

番組を見ていた視聴者からも、「テクノロジーの進化が被災地で活躍するって、こんなに素晴らしいことはないよね」「排水を再利用したり水をずっと循環させるシャワーだったり、かつて思い描いていた近未来の話みたい」「日本はやっぱりスゴいな! この調子で世界の水インフラを変えていこう!」と大反響。どうやら日本企業にかかる期待は大きいようです。