「伝説の家政婦」志麻さん。その名前は、昨年から日本テレビ系『沸騰ワード10』をはじめとするテレビ番組や雑誌で取り上げられ、みるみる間に広まりました。先日放送されたNHK『プロフェッショナル仕事の流儀』も大きな反響を呼び、さらにカリスマ的な活躍を続けています。『CHANTO』にも度々ご登場いただき、家庭にある材料で作れるフレンチを中心とした作りおきには「美味しかった」という声が多数届いています。
プライベートでは、フランス人の夫との間に第一子を授かり、働くママとしても充実した暮らしを送る志麻さん。今回のインタビューでは、料理以外にも仕事と育児の両立のコツや、ご自宅のキッチン作り、家政婦を始めたワケまで。全4回にわたってお話を伺いました。
「伝説の家政婦」志麻さんの記憶に残るトマトサラダのレシピ
「伝説の家政婦」として、雑誌やテレビなどメディアで話題の志麻さんと出会ったのは2017年の春のこと。それからというもの、初のレシピ本『伝説の家政婦が教える 魔法の作りおき』の出版にはじまり、何度か月刊誌CHANTOの作りおき特集にもご登場いただき…、気がつけば1年以上が過ぎていました。今日は久しぶりに志麻さんのご自宅で、出版後に感じていることを改めてうかがいました。
おばあちゃんになるまでにはフランスの家庭料理の本を出したかった
── レシピ本の出版が決まったときって、どんなお気持ちでしたか?
志麻さん:レストランを辞めてフランスの家庭料理を広めたいと思うようになってから、いつか本を出したいなと思っていましたが、まさかこんなに早く出版できるなんて…嬉しい反面、ずいぶんと緊張していました。
レストラン時代、塩は手でふり、ワインも瓶から振り入れていました。そうして店の味を覚えるんですが、レシピを掲載するとなると、大さじ小さじで分量を明記したり、カップ数で計ったり…不慣れなことばかりで。試作を重ね、撮影の日も再度分量を確認しながら進めていきましたが、終始ドキドキしていたことが今ではいい思い出です。
いちばん思い入れがあるレシピはトマトサラダ…そのワケは
── 本の中では14品ものレシピをご紹介いただきましたが、いちばん思い入れがあるレシピってどれだったんですか?
志麻さん:ひとつ選ぶとしたら、トマトサラダです。意外かもしれませんが、トマトを切っただけに見えるこの一品こそ、おうちでもフレンチのエッセンスを感じていただけるはず。このサラダは現地のビストロでもよく見かけます。
同じ食材でも、くし形切りにしたトマトに、オニオンスライスを添えれば、日本の冷やしトマトになります。それが、切り方を変えるだけで、手間なくフレンチになる。レストランでも立派なオードブルの1品なんですよ。極々薄切りにしたトマトは、きっといつもと歯ざわりが違います。わざわざ高いブランドトマトを買わなくてもいいんです。玉ねぎも細かなみじん切りにするだけで、フレンチのエシャロットの使い方に近づきます。
ドレッシングが手作りといっても、オリーブオイルに酢、塩、こしょうとどこのご家庭にもあるものばかり。まずは酢と塩をボウルに入れ、よく混ぜ合わせて塩を溶かしましょう。それからオイルを。こうしたちょっとしたひと手間で、レストランでも作られているシンプルなドレッシングができます。
トマトサラダは多くの人が作ったことがあるシンプルな料理。でも、シンプルなレシピこそ、コツを知れば格段においしく作れるようになります。食べることって、毎日のこと。飽きないことも重要ですよね。手に入りづらい材料や道具はなくても、フランス家庭料理を味わっていただけることが示せた一品だと自信を持っています。
自家製ドレッシングで食べるトマトサラダの作り方
書籍に掲載したレシピの中でも、志麻さんが特別な思いがあるというトマトサラダ。その作り方を改めて教えてもらいました。
<材料(4人分)>
トマト……大2個、玉ねぎ……1/4個、オリーブオイル……大さじ3、酢……大さじ1、塩・こしょう……各少々
<作り方>
1トマトは薄切りにする。玉ねぎはみじん切りにし、水にさらしてよく水けをきる。
2ボウルに調味料をよく混ぜ合わせる。
3別の保存容器にトマトを並べて玉ねぎを散らし、①をまわしかける。
[調理時間|約5分][保存期間|冷蔵3〜4日、冷凍NG]
次回は、志麻さんが料理人から家政婦に転身して活躍するまで、そして働くママとしての暮らしや子育て、自身のキッチン作りなど様々なお話を伺います。
Profile 志麻さん
連日満席のフレンチレストランやフレンチビストロで約15年間、料理人として腕をふるう。2016年に家事代行マッチングサービス・タスカジに登録すると「レストランの味が家で食べられる!」と予約殺到。家にある材料で作る、フレンチメインの作りおきおかずが評判となり、テレビや雑誌に多数出演。それぞれの家庭のライフスタイルに合わせて、好みの味に仕上げてくれる。
志麻さんも登場するレシピ本『伝説の家政婦が教える 魔法の作りおき』(主婦と生活社刊)については、コチラもご覧ください。
取材・文/さくまえり 撮影/中垣美沙