子どもを保育園に預け、いざ職場復帰。意気揚々と臨んだものの、あれ、なんだか、、居心地が悪い……!?そんなふうに感じることが多くなったら「転職」を意識してみても、いいのかもしれません。
今回は、ハードルが高いといわれる「ママの転職」を結果「幸せな転職」に成し遂げた2人のママの「リアル転職事情」をインタビュー。
2人目は時短ママとして復帰したが、やりがいが感じられず転職を果たした 宮本さんのエピソードです。
【子育てと両立できる未経験の仕事へ転職】
「時短ママにはこれ」と任される仕事の幅に、モヤモヤ
求人広告のコンサルティング営業を8年間してきたという宮本さん。会社の方針としては、ワーキングマザーにとって働く環境を用意するということに積極的だったので、安心して産休・育休から復帰したところ……。
「時短制度や福利厚生も充実していて、慣れた人脈も社内にあったので、環境自体にはとても満足していました。ただ、不満だったのが“任される仕事の幅の狭さ”。“時短ママにはこれ”と決まっている業務があったのですが、それは“新卒でもできるのでは?”と思うような、仕事内容でした」
せっかくキャリアを重ねてきた自分がやる仕事ではないと憤りを感じながら、当時は働いていました。さらに営業主体の会社だったので、キャリアアップの道が基本的には 「営業職」としてしかなく「年齢を重ねてもずっと営業はキツイ……」と感じていたので、転職を決意。
転職する際に重視したこと3つ
いざ転職となると、目移りしたり迷ったりの繰り返し。そこで宮本さんは3つの軸をもって転職活動を進めました。
1.「区切られた仕事ではなく、幅広く裁量権も持ちながらチャレンジできる仕事」
とにかく、新卒でもできる仕事が嫌だった、という宮本さん。
「給与も上げていきたかったですし、 なによりも“仕事=自己表現”と考えている私にとって、自分じゃなきゃできない仕事をより多く生み出していける環境こそ、働く甲斐があると思っています」
2.「子育てを応援する気持ちが強い代表の会社」
「ママである以上は、子ども予定や体調を優先したいのは当然。ただそのたびに、肩身の狭い思いをするのは、絶対に嫌だったので」
なんとなくベンチャーがいいなあと感じていたので、「制度があるかどうか」よりも、会社の代表者がどんなスタンスを持っているか、を重要視したそうです。
3.「キャリアを形成できる会社」
「自分の経験を通じて、子どもに“働くって楽しいよ”ということを教えたいですし、ママが好きなことに没頭している姿を見せることが、最高の子育てだと思っています」
キャリアを築きながら堂々と働いていたいという思いは常にあり、具体的な自分の姿を思い描いてそれを目指したそう。
仕事にはやりがいを求めフルタイムへの転職を目指していたため、「保育園への送りは私、お迎えはパパ」と決めたりと、旦那さんと協力しながら子育てをできる環境を整えたのも、転職がきっかけとなりました。
仕事の幅が広がったことが、子育てにも生きている
「営業職として鍛えられていたコミュニケーションのパターンは“自分の主張を推し進めていく”ということ。ところが人事の仕事に就くと“相手の話を大きく構えながら聴く”というコミュニケーションを、新しく実践することになりました」
そのコミュニケーション術は子育てにも活かされることに。
「子どもがと“〇〇欲しい!”とグズっても、以前なら営業の性分がどうしてもでてしまって“押し進めたい”という気持ちからメリットデメリットを整理して子どもに伝える……なんてこともしていました(笑)が、“子どもの主張をじっくり聞く”ということができるようになりました」
パパとの育児の役割分担を明確に
転職前は毎週締切がある関係で、顧客都合の急な発注対応で帰りが予定外に遅くなってしまったり、子どもの泣き顔が目に浮かぶものの目標達成のために仕事を優先せざるを得なかったり……ということが多く、一日のスケジュールがずれこむことも多かった。
「転職後は内勤で社内調整が多く、自分主体でスケジュールを調整できるようになりました。一日のタイムスケジュールも潤滑にこなせています!」
【現在の宮本さんの1日のタイムスケジュール】
7:00 起床
7:30 朝食、家のウッドデッキにてヨガ
7:45 保育園へ送る、自分の身支度
9:40 出社
18:00 退社
19:00 内定者との食事
「毎日ではありませんが、これも重要な業務の一環。ただし、夜の子どもとの時間を確保すべく、最初だけ参加して途中で抜けて帰ります」
20:00 帰宅、子どもとお風呂
「子どものお迎えから夕食の用意までは、基本的に主人の役割分担としています。私は一緒にお風呂に入ることでコミュニケーションを」
22:30 子どもと遊ぶ
「本を読みながら寝かしつけをしたり、元気なときはUNO をしたりも」
23:00 就寝
「通勤電車での時間を有効に使うように心がけています。新聞を読む、スケジュールチェック、社内 SNS のチェック、さらには友人とLINE のやりとりもこの時間にやりきってしまい、無駄にスマホを見ないようにしています。家事は、時間のある土日にある程度まとめて。作り置きのおかずを何品もつくったり、一気に掃除したりします」
仕事と家事・育児を円滑にまわすために欠かせないモノは?
めまぐるしい1日を過ごすワーママにとっては、効率をはかるためや、テンションをあげるために、なくてはならないツールやグッズが必ずあるもの。
宮本さんの場合を聞きました。
「ヒールを付け替えられるハイヒール。通勤時はヒールなしで、通勤後はヒールを装着。靴を持ち歩かずにヒールのみのチェンジなのでとても便利なんです」
▲ヒールを付け替えるタイミングで、オンとオフの切り替えもしているのかも
「アロマ オイルのブレンドが昔から趣味です。頭がスッキリするアロマオイルをデスクのディフューザーで焚くと、モチベーションがアップしますね」
転職で「ママであること」を不利にしないために、何をすべきだと思いますか?
転職する際は、「自分にやれる仕事はどんなことでもやる」とアピールしたという宮本さん。
「具体的には3つ。『仕事を任せてもらえるなら、チームをハンドリングして成果を出す』『仕事が終わらなければ、子どもを寝かしつけた後も対応できる』『携帯は常にチェックするので土日も含めいつでも連絡がとれる』とアピールしました」
さらにきちんと伝えた方がいいのは、「周りの協力体制」と「子どもの健康状態」について。
「主人も協力的で実家も車で1時間の距離という『子どもを見てもらえる周りの環境が整っている』ことを伝えました。また、子どもの保育園のお休みや急な呼び出しについて『去年は1、2回程度と少なめであった』ということも伝えました」
いろいろな角度から見て「急な事態に対応できる」ことを、全面的にアピールすることが大切だそう。
最後に……。いまの仕事をずっと続けていきたいですか?
「はい! いまの人事のフィールドだけでなく、広報や社内・社外のブランディング、理念浸透などの領域にも挑戦していきたいです。 また、会社の中でもっと社会貢献にダイレクトにつながるようなプロジェクトなどにも参加してみたいと思っています」
マミートラックに悩むママにアドバイスを!
「まずは自分がキャリアを積んでいきたいんだということを家族にも理解してもらうことが第一歩。『仕事が好き、仕事がしたい』という思いをしっかりと伝えて、そこに協力を依頼します。被害者ぶっていては協力は得られません」と宮本さん。
「会社側にも遠慮せずに! 今は子どもが小さいので時間の制限があるとしても、あと何年で子どもが中学生になったら、フルタイムで働きますしもっとキャリアを積んでいきたい。と、具体的に意志を伝えました」
会社の側は良かれと思って遠慮しているケースも多い。“ママだから”と大切にしてもらっている結果が、自分の物足りなさにつながってしまっていたら……もったいない。
「社会全体として、女性も40代50代まで働くことが普通になる今だからこそ、遠慮せずに『今すぐは難しくても、もっと任せてもらいたいし、もっと仕事をします』と、勇気を出して伝えてみてほしいです」
PROFILE 宮本さん(37歳)
求人広告のコンサルティング営業を経て、現在は株式会社プログレスの人事部部長としてバリバリと働く。旦那さんと小5、小2男子と5歳女子の3人家族。今後一番発展すると言われているイスラエルに旅行したい!