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“小さな子を育てながら、仕事をする”実際これをやってみると、いかにタイヘンか……。それは、世の中のワーママみんなが痛感していることです。

でも、キラキラと仕事をしているママもいますよね。

今回は、ママでありながらカリスマ転職エージェントとして活躍する(株)morich代表の森本千賀子さんにインタビュー。

ご自身が経験した「育児と仕事の両立の難しさ」や「ママの転職の実態」についてのぶっちゃけ話、聞きました。

転職のカリスマに聞く「仕事×育児」

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私は、出産後もバリバリ働いた。でもそれを“両立”と呼ぶかは……


「転職エージェント」として25年もの間、2000人以上の転職のお手伝いをしたという森本千賀子さん。大学卒業後にリクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社し、その後2人の息子を出産。「母」と「転職のプロ」という二足のわらじをはきながらも第一線で働き続け、2017年3月に(株)morichを設立。

 

母であるという立場でいながら、仕事をバリバリしている森本さん。ご自身の「仕事と育児の両立」について聞いてみました。

 

「私は仕事が好きなので、子どもがいても変わらずバリバリ働きたかった。1人目の息子がまだ小さいときは、夫と育児分担をしてなんとか両立をこなしてきました。彼の方がウエイトが大きかったかも……。だから、子どもができても基本的には仕事の内容を変えることなく、第一線でやることができていたんだと思います」

 

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夫が出張族となり、「仕事と育児の両立」の壁にぶち当たった


そして5年が過ぎ、第2子を妊娠。 「次男が保育園に入り、めでたく復帰!となったときに、夫が異動に伴い、出張族となってしまって。平日の夫の育児サポートが全面的に難しくなったんです。そんなとき、長男は小1。俗に言う“小1の壁”も重なり……」

 

「夫の異動」と「帰宅時間が早くなるという“小1の壁”」のダブルパンチをくらい、いままでの働き方を続けるのが難しくなった森本さんは、仕事内容を変えるという選択肢を取った。

 

「組織マネジメントミッションから、自分で時間管理ができるコンサルタントの職種に異動願いを出したんです」

 

とはいえ、それまでのマネジメント業務が好きだったという森本さんは、仕事への情熱を持て余してしまい、“社外活動”を始めるに至る。講演などを積極的に行うようになり、そのうちどんどん多忙になっていった。

 

「やはり結局は、仕事をバリバリしたかったんですね」

 

実家も遠方で日常的なサポートが難しいため、それでもすべてを一人で回そうとしていたが、やはり限界があった。ママ友達に相談したところ、シッターさんの育児サポートをすすめられたという。

 

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 子どもと一緒にいられない時間を埋める、森本さんの3つの「ルール」


仕事が忙しくなるにつれ、子どもがシッターさんと過ごす時間が日に日に増えていくことに葛藤を感じたことも、もちろんあったという。

 

「だから、3つルールを決めました。“一緒に寝ること” “家では仕事をしないこと” “大好きを言葉で伝えること”」

 

夜はどんなに接待があっても21時までには帰宅し、一緒にベッドへ。学校や保育園での出来事を話したり、絵本を読んだりしてコミュニケーションを大事にした。そしてそこで自分も一緒に寝てしまって、家では“夜は一切仕事をしない”と決めた。そして、事あるごとに子どもたちには“大好きだよ”“何よりも大事だよ”と言葉をかけた。

 

現在は中3と小4になった息子さんは、“ママって本当に仕事が好きなんだね”と言って応援してくれているのだそう。

 

「母と子どもの関係性って、一緒にいる時間の長さよりも絶対的に“その中身”。私自身、両立ができていたかはわかりませんが、仕事をずっとしてきた私の背中を見て、“仕事=楽しいもの”と思ってくれている。親の“どういう背中”を見せられるかが大事だと思います。お母さんが笑顔でいられる選択肢を見出してください」

転職のカリスマに聞く「ママの転職事情」

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 「なかなか厳しい……」ママが転職するという現状


シッターサービスを駆使し、第一線で働き続けてきたという、森本さん。だが実際は、経済的に簡単にできることではないのも事実で、実際に転職を考えているというママも少なくない。ママの転職市場の現状は……?

 

「ママで転職することは、はっきりいって普通の転職より、何倍も厳しいのが現実。企業側としても時短ママを採用する余裕がないのも事実で、時短で探している場合はとくに難しいため、フルタイムの人よりはハンデをしょって転職する覚悟をもってください。残念ながら、まだまだ社会の理解は低いのが現状です」

 

また、今所属している会社には「その人の積み上げられた価値がある」のでそれを大切にしてほしい、という。

 

「転職して違う会社に行くと、いままでのその積み上げはゼロになります。ゼロベースから実績を作ることは、たやすいものではありません。仮に転職したら、最初の半年くらいはアクセルをぐっと踏み込んで頑張らないといけなくなる。そこの部分も含め、転職するメリットがあるのかどうかを考えて」

 

それでも、転職が頭をよぎったら……? 「なぜ転職をしたいのか、仕事に一番求めるものは何なのか、をノートに書き出してみましょう。それにより、対策方法は違います」

カリスマが教える!ママが幸せな転職を果たすには?

“仕事がつまらない、転職したい”と思ったら


ワーママの仕事の悩みのNo.1といってもいいのが、「育休前に比べて任される仕事が減ってやりがいを感じられない、つまらない」ということ。時短だから仕方ない……と割り切れるようで割り切れない、モヤモヤする問題です。

 

「そのせいだけなら、転職を考えるには早すぎます。まず考えて欲しいのは、会社が変わったからといってやりがいのある仕事ができるか?ということ」と、森本さん。

 

よっぽどの実績がある、という場合や転職先に知り合いがいる、などある程度のアドバンテージがないと、転職先で100%のパフォーマンスを発揮するのは難しいという。

 

「まずは、今の会社で時短をフルタイムに戻すという選択肢はできないのか考えてみてください。例えば、1時間だけでも遅くする。週の何日かは残業する。それには、パパの協力やシッターを駆使しなければならない場合もあります。ですが、チャンスというのはそうやってでも掴むものです。そうやってやる気を見せつつ、直属の上司に相談を」

 

ステージを変えるのではなく、いまある環境のなかでやり方を変えられないのかを第一に考えてください。

 

「時短になって給料が激減した……というお悩みにも、同様のことが言えます。家庭のなかでのワークライフバランスについて、ママだけで背負わないで。パパにも積極的に相談を」

 


“仕事がつまらない・給料が少ない”悩みの転職で「するべきこと」

①週の何日かはフルタイムで働けないのか、会社に相談。

②パパ、祖父母、シッターさん……周りの育児協力者を確保。


“子どもとの時間がもっと欲しい、転職したい”と思ったら

仕事はほどほどでいい。それよりも今は子育て優先にして、融通が効く職場転職したい、という場合は?

 

「給与面や雇用形態にこだわらず探すことです。契約社員や派遣、パートタイムという立場での求人を探してください」

 

とはいえ、最近の転職市場として、時短勤務を積極的に受け入れる企業がそこまで多くはないのが現実。

 

「今の会社を辞めることを先走らないでください。在籍しつつ、まずは転職先候補を探すところからスタート。いい転職先が見つかってから行動するのでも決して遅くないですから」

 


“子どもとの時間がもっと欲しい”悩みの転職で「するべきこと」

①いまの仕事をしつつ、長い目で転職先を探す

②正社員にこだわらず、契約社員や派遣、パートなどを視野に入れる


“時短と急な休みに理解がない職場……。転職したい”と思ったら


いざ復帰したものの、職場ではワーママに対する理解が低く時短で帰りづらかったり、子どもの急な体調不良での休みに理解がなかったり……という、いわゆる“育児ハラスメント”を受けているママも少なくない。そうではない転職先を見極めるポイントは?

 

「大きくは2つ。実際に働くママがいる会社なのか、リモートワークができる環境なのか」です。

 

さらに大切なのは、この2つの条件を会社側に確認するタイミング。

 

「例えば最初の顔合わせで、いきなり条件ありきで話をされると、企業側は“権利主張をして条件を振りかざしてばかりいる”と引いてしまいます。条件面を確認するのは話がある程度進んだところで。さらに、もし可能であればワーママの社員の人と30分でもいいので、どんな働き方をしているのかお話させてもらえないか、と打診してみるのは多いにアリです」

 

リモートワークができるかどうかについては、業種選びも重要だという。 「個人情報を扱う職種などは、コンプライアンスや情報管理の関係でリモートワークが難しい場合が多いです。業種も含め、自宅に持ち帰って仕事ができる環境かどうかを考慮して。ママとしては、リモートワークできる環境は、ワークライフバランスを保つ上で、大変有利です」

 


“育児ハラスメント”悩みの転職で「するべきこと」

①ママの復職率が高い会社への転職

②リモートワークが可能な会社を選ぶ


ママであるハンデを背負いつつ、転職面接でクリアするには


面接まで、なんとかたどり着いた。ただ、ママであり時間に制限があることは企業側には知っておいて欲しい……。そんなときは、どうアピールすべきなのでしょう。

 

「ママとしての制約はあるとしても、まずそれは置いておいて。仕事として、どんなパフォーマンスができるのかを企業側にアピールすることを優先させましょう」

 

企業側に「一緒にやりたい」という気持ちをまずはもってもらうことが大切だという。

 

「実は時短で働かなくてはならないのは、ほんの数年なんです。子どもが4歳くらいになると、風邪も引きにくくなります。子どもが大きくなるにつれて、仕事と育児を両立するはどんどん可能になっていきます。だから、近い将来はフルタイムで働くことを前提に“自分ができるパフォーマンス”を最大限にアピールしましょう」

 

とはいえ、ママであり時間に制約があることをきちんと伝えないといけないのは事実。

 

「“子どもがいるので、相談なんですけど”と、最終面談の段になったら切り出して。さらに、場合によっては最大限努力する姿勢を見せることが大切。パパや両親、シッターさんの協力も視野にいれて、善処できます!というアピールを」

 


転職面接をクリアするために「するべきこと」

①どんなパフォーマンスができるかを最大限にアピールする

②周囲のサポート体制を整備するなどして最大限の努力する姿勢を見せる


 

まず転職に悩んだら、何を得たいのか問題点を具体的に洗いだすこと。そして、“子どもが小さい今だけ”という長い目を持つことも大切という。 「それができれば、働き方について悩むことが今よりも断然少なくなるはずです」

 

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PROFILE

森本千賀子さん

森本千賀子
1970年生まれ。中3と小4の男子を育てるかたわら転職のカリスマとして日々登壇している、現代のスーパーウーマン。1993年リクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社後、転職エージェントとして大手からベンチャーまで幅広い企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援サポート全般を手がける。2012年にNHKの人気番組『プロフェッショナル〜仕事の流儀』に出演。2017年3月には株式会社morichを設立、代表取締役として就任。著書も多数あり。「気づいたら子どもたちは、中3と小4になりました。最近は、第三者の前では私が近づくと気配を感じて嫌がるんです。さみしいような、頼もしいような(笑)」

 

取材・文/松崎愛香 撮影/斉藤純平