「かけっこ速いね!」我が子がそんなふうに言われると、親としてもうれしいもの。来たる運動会までに、少しでも速く走ることができるようになったら、子ども自身ももっと運動会を楽しむことができるはず……ということで、「かけっこが速くなる方法」についてご紹介します! 今回は、プロトレーナーが開発した子どもたちの“運動神経を育てる” 運動教室「リトルアスリートクラブ」のトレーナー・山田義基さんに、「子どもが速く走れるようになるためのコツ」を、細かく聞いてきました。 「足が速い遅いは、生まれつきだから」と、諦めてしまう親御さんも多いかと思いますが、じつは普段からの働きかけが、かけっこを速くすることにつながるのだそうですよ。
\ かけっこで子供の足が速くなる! /
走るときの正しいフォーム
姿勢を正すだけで、走る速さに随分と変化が現れるのだとか。意識するだけでタイムのアップにつながるポイントを教えてもらいました。
「まずはスタートの姿勢をチェック。走り方はどうしてもそれぞれの子どものクセがあるため、なかなかすぐには改善できないものですが、スタートの姿勢は一番改善をしやすいところです」
スタートの正しい姿勢
スタートで大切なのは、背筋がまっすぐになっていること。背中が丸まっていると、力が出しにくい。
これが正しい姿勢。背筋がまっすぐで体が前傾している。
NGな姿勢の例。気持ちが前にいくと、頭だけが前にいきがち。そうなると背中が丸まってしまうので注意。
「子どもは難しい言葉で説明してもわかりません。“背筋ピンで、まっすぐね”など、その子が理解しやすい声がけを」
走っている時の目線
次に気をつけたいのが走っているときの目線。「子どもに多いのが、疲れて息があがり、アゴが上がってしまうこと。アゴをしっかり引いて前を見て走るように心がけましょう」
これが正しい姿勢。アゴを引いてしっかり前を見ている。
NGな姿勢の例。息があがるとアゴが上がりがちなので注意を。
正しい手の振りかた
手の振りかたで注意したいのは「ひじがちゃんと曲がっているかどうか」だそう。「とくに後ろにいったときに、びよーんと伸びてしまいがちなので意識してみてください」
ひじを曲げるコツがつかめなかったら、「汽車ポッポ」の要領で両手を同時に動かしてみるとよいのだとか。
これが正しい姿勢。ひじをしっかりと曲げている。手はグーで握ると力が入りすぎるので、パーにするほうがやりやすい。
NGな姿勢の例。後ろに手を振るときにびよーんとひじが伸びてしまう。
正しい足の運びかた
足の運びで気をつけたい2大ポイントは、「ももをきちんと上げること」と「足裏全体をべたべたとつけないこと」。「例えば足裏のアドバイスなら”熱い鉄板の上にいるみたいな感じで足をついてみよう!”とか“忍者みたいにそーっと”など、子どもの理解度に応じて、わかりやすく声をかけたり親が実際にやってみてあげるといいですよ」
足運びで大切なのは、しっかりとももが上がっていること。
NGな姿勢の例。ももは上がりすぎて体が後傾してしまっている。
ももを上げずに内股気味に走るのもNG。女の子に多い。
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正しいフォームの覚え方
頭でいろいろ考え、そのとおりに体をコントロールすることは子どもにとって難しいこと。遊びを通じていろいろと体の機能を高めることで、頭で考えずとも体が自然と動くようになるそうです。
「トレーニングとしてではなく、“遊びながらやる”ことが大切です。トレーニングとして強制的にやると、子どもは楽しくなくなってしまいます。遊びを通してだからこそ知らないうちに筋力や体力が鍛えられ、走る姿勢を正すときに頭で考えるよりも体がすっと動けるようになります」
スタート姿勢を体に覚えさせる遊び
親子で相撲をします。押したり引いたりすることで自然と力が入るようになり、前に行こうとする力が強化されます。
「思い切り押そうとすると、背筋もシャキッと伸びて足に力が入るようになります。壁や重いものを押すのも効果的ですよ」
反射神経を育てる遊び
大人と子どもが向かい合い、真ん中にボールやタオルなどを置きます。別の大人に音を慣らして合図をしてもらい、それを早く取れたほうが勝ち。とゲーム感覚で遊びます。
「『よーいドン!』の音に素早く反応できることも、いいスタートをきるためにはとても大切です。遊びを通じて、音に反応する練習をしましょう」
正しい手足のフォームを体に覚えさせる遊び
大人が手を上げ、そこにジャンプしてタッチ!を繰り返す遊び。 「大きくジャンプするには、腕振りや足の蹴りが必要となります。タッチできたら大人が手をもっと高く上げたり、手を上げる場所を変えたりなど、いろいろと応用してみてください。タンバリンなどの音が出るものを吊るしてそれに触れるようにジャンプする、というのも一つの方法です」
番外編:シューズの選びかた
基本中の基本は「ジャストサイズを選ぶこと」。 「お店などで子どもの足の測定器がおいてあるところがあるので、できればそこでしっかり測った上で選ぶのがオススメ」と山田さん。
選ぶときにとくに注意したいのは、つま先のフィット感。 「まずかかとを固定させてから履きます。そのときつま先がきゅうくつにならないように、少し空きがあるくらいがオススメ。とはいえ、あまり大きすぎるものだとパカパカとして走りにくいので、足のサイズにフィットさせやすい紐の靴がオススメです。小さな子の場合は面ファスナータイプでも大丈夫ですが、しっかりと固定させて履かせてください」
紐靴の場合は、紐の結び方にもコツがあるとか。
「つま先側はきつめに締めて固定し、上にいくにつれちょっとずつゆるめながら結んでいくのがコツ。最後に結ぶ部分をきつく締めてしまうと足が圧迫されて血行が悪くなり、足の不調の原因となってしまいます。面倒かもしれませんが、靴紐は毎回履く前に結びなおしてくださいね」
いまから運動靴探しをはじめ、本番の運動会までに履き慣らしておくのが良さそうです!
速く走れる正しい姿勢を身につけるために、普段から遊びを取り入れた運動を習慣にしておくことが、運動会へのタイプアップの近道。ぜひご家庭で取り入れてみてください。
監修:リトルアスリートクラブ
ある一つの動作の上達に特定せず、“いろんな動きを経験することで子どもたちの運動神経を育て、 どんな運動もどんなスポーツも元気にめいっぱい楽しめるようになる”ということを目指した、子どものための運動教室。子どもの運動能力向上のメカニズムを熟知した 遠山健太氏を中心としたプロトレーナーによる授業を受けられる。
取材・文/松崎愛香 撮影/斉藤純平 モデル/岸本颯斗(GPR) 取材協力/リトルアスリートクラブ