2歳~3歳代で、昼間のトイレトレーニングが完了しても、夜はしばらくオムツが取れないという子は沢山います。
しかし、4歳・5歳と年齢が上がってくるにつれ、「いつまで夜のオムツ続くんだろう…」「他の子はどうしてるの?」「これって治療が必要?」と不安になってくるママも増えてきます。
今回は、夜のオムツがなかなか取れない場合に知っておきたいことや、悩んでいるママたちの声を集めてみました。
一般的な「おねしょ」事情
一般的には、夜、オムツなしで眠るには「10日間ほど朝までオムツが濡れなかったらチャレンジ」と言われています。
世間では、いつごろからチャレンジしているのでしょうか?
日本小児健保協会が厚生労働省へ定期的に集計・報告しているデータによると、平成22年時点で、「夜尿について」のアンケート結果は次のようになっています。
- 「毎晩のようにする」 → 2歳児37%、3歳児17%、4歳児8%、5~6歳児5%
- 「ほとんどしない+時々する」 → 4歳児85%、5~6歳児91%
上の数字は10年前と比べると微増していますが、基本的には、4歳頃からおねしょがグッと減ることや、5~6歳でもクラス(20人)に1人くらいは夜のオムツが取れない子がいることが分かります。
私も、周囲のママや保育士さんとの会話から、夜のオムツがいらなくなる目安は、早い子で2歳後半あたりから3~4歳がもっとも多く、5~6歳でも珍しくない…と感じていますので、ほぼデータと同じですね。
どうしておねしょするの?
おねしょしてしまう原因には、おもに2つのタイプがあるといわれています。
1.ホルモン分泌が未発達
私たちの体は、寝ている時には「抗利尿ホルモン」というホルモンの働きにより、おしっこを作る量を減らして濃くすることで、昼間のようにしょっちゅうトイレに行かなくてもよい仕組みになっています。
この抗利尿ホルモンの分泌量が少なかったり、夜間にしっかり出るようリズムが整っていなかったりすると、昼間と同じペースでおしっこが作られてしまうのですね。
成長につれ、このホルモン分泌のリズムが整いおねしょをしなくなるのですが、発達には個人差があり、ゆっくりな子は夜のオムツ卒業も遅くなると考えられています。
2.膀胱機能が未発達
子どもの身体の成長とともに膀胱も大きくなっていきます。目安としては、4~5歳で昼間のおしっこ1.5回~2回分の尿がためられるようになるといわれていますが、これも個人差があり、膀胱が小さめだったり、機能が未発達なために、寝る前におしっこしても全部出しきれず残ってしまうこともあるそうです。
二つのタイプを見分ける方法の一つとして、「朝方にまとめて出る」場合は、膀胱の未発達がおもな原因ですが、「就寝後、短時間で出る」「何度も出る(昼間と同じような排尿リズム)」なら、ホルモンの未発達が原因と言われています。両方が重なっている子も少なくないそうです。
その他の原因
そのほか、睡眠の質や心理的ストレスが一時的に自律神経の乱れを招いているという説もありますが、まだ完全には解明されていません。
さらに、割合は少ないものの、昼間も日常的におもらししてしまう子の場合、膀胱や腎臓の病気や異常も考えられます。その場合は早めの受診が必要だということです。
「夜尿症」って病気なの?治療が必要?
おねしょは「夜尿症」とも呼ばれますが、子どもは発達の途中なので、幼児期に朝までおしっこが出ない日が続いたかと思うと、また続けておねしょしてしまう…を繰り返すのは当たり前で、その場合は「夜尿症」とは言いません。
膀胱やホルモンなどの機能は、他の身体の発達と同じく個人差があり、トレーニング・訓練でおねしょが止まるようにはならないそう。また知能の発達とは関連はないと言われています。
治療の必要については、「小学校4~5年生まで様子をみてもOK」「5歳を過ぎたら」などと医師により意見が分かれますが、5歳以上で週に2回以上おねしょするようだと、「夜尿症」と症名が付くことが多いようです。
「夜尿症外来」のある小児科や病院も増えていますので、受診すれば程度により治療の必要があるかどうかを教えてもらえるでしょう。
ほとんどの子が成長とともにおねしょをしなくなるので、必ずしも受診が必要なわけではありませんが、もし子ども本人が自分を責めてしまっていたり、周囲に「しつけが悪い」などと言われてママが不安になっていたりする場合、受診して診断を受けることで「これは本人や親がダメなんじゃなくて、体の発達が理由なんだ」と割り切れ、気が楽になるというメリットがありますね。
「夜のオムツ問題」ママたちの声
次に、独自アンケートから上がってきたママたちの声を紹介します。
「兄弟姉妹でもかなり時期が違います。上の子はすんなり2歳で卒業できたけど、下の子は入学直前まで、2~3日に1回はおねしょしてました」
「まわりでは、3歳半くらいで夜のオムツを卒業した子が多いです。うちの子は、夜の方が先に取れたんですけど、珍しいパターンですかね?」
「保育園の“お泊り保育”では必ず夜のトイレについて質問がありますよね。最近は小学校の林間学校や修学旅行でも項目があるので、一定数おねしょする子はいると思います」
「なぜだかわからないけど、夜のオムツの話題が出た時、取れてないのに“取れた”って嘘をつく人、時々いませんか?私、何人か知ってます…」
「夜専用おむつってありますよね。一番大きい“BIG”は、対象25kg(8歳くらい)。それが売れているのだから一定の需要があるってことですよね」
「うちの子が年長のとき、ふとパンツにしてみる?と聞いたらウンというので、試しにやってみたらあっと言う間にオムツ取れました。本人いわく、それまで、うっすら目覚めて尿意があった時、“面倒なのであえてオムツでしちゃってた”と…!それなら早くすればよかったのかも」
「うち、1年生で取れたので遅かったですが、“そのうちとれる”とゆったり構えていて1年生で外れるのと、気に病んで叱りながら年長で外れるのとだったら、前者の方がいいなと思って、あまりこだわりませんでした。オムツ代はかかりましたけど…」
それぞれ意見も状況も大きく違いますが、それだけ色々なケースがあるということが分かりますね。
ママ・パパが気をつけたいこと
ここまでで、「おねしょ・夜尿症はおもに身体の発達の個人差」ということが分かってきました。
それじゃ、ママやパパはどうすることもできないのか?というとそうではなく、ちょっとした工夫や注意するべき点もあるんです。以下に紹介していきます。
無理にトイレに行かせない
膀胱の大きさは、おしっこをたくさん溜めることで少しずつ発達する面があるそうです。昼間のトイレトレーニングが終わっても、時々はおもらししてしまう子はたくさんいますが、昼間に必要以上にトイレに行かせると、おしっこがいっぱいになる機会が減ってしまいます。行きたくなるまで待つ方が膀胱の発達には良いそうです。
水分を制限しすぎない
寝る前に水分をとるとおねしょが心配なのは当然ですが、特に夏場は水分を取らないと熱中症や脱水などの危険があります。
寝る前にお水やお茶を飲みたがる場合は、まず水分補給を優先し、オムツ外れは秋冬まで待つなど焦らない方が良いでしょう。
冷たい飲み物はつい飲みすぎてしまいますし、「冷え」はおねしょの一因ともいわれていますので、常温のものを用意してあげられるといいですね。
また、夕食は他の食事より塩分を控えめにすると喉が渇きにくくなります。
無理に起こしてトイレに連れて行かない
おばあちゃん世代に、「おねしょする子は、毎晩起こしてトイレに連れて行きなさい」と言われた経験がある人もいるかもしれません。
しかし、上記で解説した「抗利尿ホルモン」は、深い眠りが続くほど順調に分泌されるといわれています。無理に起こすことでホルモン分泌を中断してしまい逆効果ですし、寝ぼけたままトイレでおしっこをさせても、脳の働きとしてはおねしょしているのと同じなため、いずれにしても効果がないと考えられています。
グッズを有効に使う
布団が濡れるのがストレス…という場合、シーツと布団の間に敷く防水シートが発売されています。
また、うっすら目が覚めて、紙おむつなのでそのまましてしまうという場合、布おむつを使うと本人も気持ち悪いため、「早めに夜のオムツが取れた」というママもいました。
本人の希望を優先
4歳以上になると、夜のオムツがイヤ、恥ずかしいという子も出てきます。「そんなこといったって洗濯大変なのに…」と言いたくなりますが、極力、本人の希望を尊重してあげてほしいと思います。小学校入学後におねしょが終わったというあるママからは、「パジャマも布団も、低価格なもので揃えて、乾きが悪く汚れてきたら買い替えていました」という声も。
反対に、パンツやパジャマや濡れるのがイヤな子には、「もう〇歳なんだからがんばりなさい!」と無理にパンツで寝かせるより、割り切ってオムツを使ってあげた方が、安心して眠れるので結果的に早くホルモンのリズムが整うこともあります。
叱らない、比べない
最近の医療機関では、「夜尿症は子どもの性格や育て方はほとんど関係がなく、身体機能によるもの」というのが共通の見解です。
他の子やきょうだいと比べたり、叱ったりしても効果がないばかりか、自己評価が下がり、マイナス面の方が大きいので気をつけましょう。
まとめ
赤ちゃんの首が座る・歯が生えるなどと比べて、夜のオムツはその子によりかなり幅があるので、ゆっくりだとママはとても心配になってしまうことと思います。
しかし、時期に幅はあれど、ほとんどの子が順番に夜のオムツから卒業できていますし、本当に心配であれば受診・治療方法も用意されています。
毎日の洗濯など大変なこともありますが、今回の内容も参考に、できるだけ焦らずに成長を見守っていきたいですね。
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