赤ちゃんには白湯か麦茶から薄い果汁、小さい子には牛乳やジュース…と進めてきたママたちが、ふと「もう飲ませてもいいのかな?」と迷うのが「炭酸飲料」ではないでしょうか? 炭酸飲料にも色々な種類がありますが、気になるのはやはり糖分、そして着色料や香料・人工甘味料といった添加物ですよね。 サッカーの2018年ワールドカップで活躍した、あの「半端ない」大迫選手も、小学校5年生のとき、自分自身の意志で清涼炭酸飲料を飲まないと決めたそうです。 今回は、炭酸飲料にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを探ってみたいと思います。
子どもが炭酸ジュースを飲むきっかけは
市販の炭酸飲料には、子どもの身体を作るために必要な栄養素はほとんど入っていません。つまり、「嗜好品」=お楽しみとして飲むものといえますね。
子どもが初めて炭酸飲料を飲んだきっかけとしては、次のようなものだそう。
- クリスマスやお誕生日など、親戚が集まる席で用意された
- 上の子のお友だちの家に遊びに行ったときに出された
- ファミリーレストランのドリンクバーで
保育園や幼稚園の年長クラスになると、友だち同士で「シュワシュワのジュースが飲める」「飲めない」と張り合う姿も見られます。ちょっとほほえましいですよね。
炭酸ジュースの「ウソ?ホント?」
炭酸飲料について世間でよく言われるウワサを、本当かウソか検証してみたいと思います。クイズ感覚で考えてみて下さいね。
飲むと骨が溶ける?
→ウソです。 たしかに、炭酸の入ったジュースに骨をつけておくと酸の作用で侵食されますが、体内の骨に直接炭酸が触れるわけではないので、「骨が溶ける」というのは言い過ぎ。 唯一表面に出ている骨である「歯」は酸の影響を受けますが、ドリンクが歯に触れる時間は短いので、たまに飲むくらいで歯が溶ける…とは考えにくいと言われています。 ただし、一部の炭酸飲料では骨への影響はゼロとはいえません。次のクエスチョンを読んでみて下さいね。
飲むと骨折しやすくなる?
→モノによります。 市販の炭酸飲料には、「ph調整剤」として、「リン酸塩」が入っているものがかなり多く見られます。リン酸(塩)をとりすぎると、体内でカルシウムと結びついて体への吸収を妨げてしまいます。 血中にカルシウムが不足してくると、体は骨に貯蔵されているカルシウムを放出して濃度を保とうとしますので、結果、骨がもろくなる=骨折しやすくなる、と言われています。 同じく、「背が伸びないから飲まない方がいい」と言われたことがある人もいるかと思います。骨のカルシウム濃度が落ちている状態ではたしかに発達どころではないので、リン酸塩が含まれる炭酸飲料の飲みすぎがよくないことは考えられますね。
500mlのペットボトルには、角砂糖14個分の糖分が入っている
→ホントです。 これは、2歳半検診などで虫歯予防の話が出るので、模型を見せてもらったりして知っている人が多いかもしれません。商品により異なりますが、おおむねこのくらい入っていると考えればいいでしょう。
世界保健機関(WHO)では、2015年に「砂糖などの糖類を一日摂取カロリーの5%未満に抑えるべき」とする新指針を発表しました。 大人でも25グラム(ティースプーン6杯分)程度なので、ペットボトル1本でもはるかにこの基準を超えています。 炭酸飲料を子どもに飲ませる場合、炭酸そのものというより、この「糖分」が肥満や虫歯につながるため注意が必要です。
ちなみに、上記の指針の中で、「糖類摂取の抑制が虫歯予防に効果的」という部分では、日本の戦中・戦後のデータが研究材料となっているそうです。戦後、栄養が向上したことはすばらしいのですが、砂糖が手に入るようになってぐっと虫歯が増えたということですね。 ドリンクの糖分は、咀嚼したり胃で消化したりといったプロセスを経ることなく、直接腸に届いて吸収されます。これは血糖値の急上昇とその反動としての急降下を招き、その結果、脳内伝達物質に影響を与えて感情を左右するという説もあります。いわゆる「キレやすい子ども」ですね。 また、食事前に甘い炭酸飲料を飲むと、子どもは糖分により満腹感を感じてしまい、本来食事で摂るべき「体を作る」ための栄養がとれなくなってしまいます。
スポーツ選手は炭酸ジュースを飲まない?
→タイミングによります。
冒頭の大迫選手の例からも分かるように、「アスリートやスポーツ選手は炭酸飲料は飲むべきではない」とスポ少などで耳にすることがあるかもしれません。 炭酸=二酸化炭素。激しい運動の前に飲むと、体内が酸素不足になり、息切れしやすくなるので、運動前に炭酸飲料や炭酸水を飲むことはすすめられていません。
ただ、スポーツ後には、疲労回復のための糖分、クエン酸の補給目的で炭酸入りのドリンクを飲む選手もいるそうです。
ノンカロリー、ゼロカロリーなら大丈夫?
→たくさん飲んでもOK!ではない
ここまで読んで、「炭酸飲料の糖分が体によくないなら、カロリーゼロタイプならいいの?」と思ったママもいるかもしれません。
しかし、市販の「ゼロカロリー」「カロリーオフ」とうたわれている炭酸飲料には、砂糖の代わりに合成甘味料が使用されており、まだ商品化されてから長期間経っていません。現時点ではメーカーは「安全」としていますが、数十年間摂取した場合や、子どもが連続で摂取した場合の影響は、データが揃っていないのが現状です。 糖尿病やアレルギーとの関連も研究が進んでいる段階なので、単純に「ゼロカロリーだから安心」と考えて毎日のように飲んでもOK、という訳ではないと思います。
ただし、水と二酸化炭素だけでできている「炭酸水」は、同じゼロカロリーでも添加物の心配はないといえます。甘くないので子どもはあまり喜ばないとは思いますが、体重が気になるママやパパにもおすすめですよ。
炭酸ジュース以外なら安心?
→糖分の多いドリンクは要注意 炭酸飲料はたくさんの糖分や添加物が含まれることから特に話題になりやすいですが、子どもの飲み物としては、果汁100%のジュース、乳酸飲料なども、非常に多く糖分を含んでいます。 炭酸飲料と同じように、飲み方や量には気をつけてあげて下さいね。
上手に付き合えば大きなデメリットはなさそう
3歳~小学生のお子さんを持つママたちに、「炭酸飲料、飲ませてますか?」とアンケートしてみたところ、次のような答えが返ってきました。
「まだどちらにも飲ませていません。でも、ファミレスに行くと年上の子がメロンソーダなどを飲んでいるのを見て、あれは何?と聞いてくるので、興味はあるんだろうな…そのうち解禁するとは思います」(Sさん・24歳・3歳と0歳のママ)
「夫の実家へ行くと、常に炭酸飲料が冷蔵庫に入っている状態。お泊りの時は、子どもたちも飲ませてもらいますが、おじいちゃんおばあちゃんも、夫もややメタボ気味なんですよね…。自宅では買い置きしないように気をつけています。」(Yさん・28歳・5歳の双子のママ)
「体によくないと思って、上の子には、けっこう神経質なほど炭酸飲料や甘いジュースを飲ませなかったんです。そしたら、炭酸自体が飲めないまま育ってしまって。時々、お友だちに“飲めないの~?”と言われるらしく、ちょっと気の毒な気も…。下の子もそんなに好きではないみたいですが、一応解禁しています」(Oさん・35歳・4年生・1年生・5歳のママ)
それぞれの答えをみてみると、「無制限に飲ませる」「いつも冷蔵庫に1.5リットルのペットボトルが入っている」等でなければ、それほど大きな問題はないのかな?と思えました。
しかし、炭酸飲料に限らず、甘いモノには習慣性がありますし、「噛む」というハードルがないのでついつい量を飲みすぎてしまう懸念はあります。付き合い方は意識しておかなければいけないですね。
まとめ
今回は「炭酸ジュース」について調べてみましたが、私自身、なんとなく知っているようで知らないことも色々ありました。
小さい子はもちろん、できれば大人も、炭酸飲料は毎日の飲み物としてではなく、飲むなら「たまのお楽しみ」という位置づけで付き合っていきたいですね。
文/高谷みえこ
参考:日本経済新聞「1日の糖類は小さじ6杯分まで WHOが新指針 」