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いま、新社会人や若手社員が「自分から動こうとしない」「言われるまでやらない」など『指示待ち人間』だと批判されることが増えてきています。

 

これを読んでいるワーママの中にも、後輩に対してイラっとした経験を持つ人がいるのではないでしょうか?

 

こういった『指示待ち人間』になってしまうのは、生まれつきの性格もありますが、それよりも周囲の働きかけによって変わる面がかなり大きいと言われています。

 

そして、それは職場で始まったことではなく、学校や家庭から始まっていて、中でも影響が大きいのはやはりママやパパの接し方や言葉がけだと言えるのではないでしょうか。

 

今回は、わが子を『指示待ち人間』にしてしまわないために必要なことは何か、考えていきたいと思います。

 

『指示待ち人間』の二つのタイプ


人から言われるまで動かない「指示待ち人間」になってしまう心理には、実は2種類あると言われています。

 

タイプ1:経験が少ないせいで、「自分で考える」ことが身に付いていない

大人はここまでの人生で色々な経験をしているので、「そんなコップの持ち方をするとこぼれる」「先にこっちをやった方が早くできる」ということが分かっています。」

 

でも子どもはもちろんそんなことは知りませんので、大人から見ると明らかに失敗する方法でやろうとします。見ているママやパパは止めずにいられないですよね。

 

でも、毎回、ママに「ダメダメ、こうやって」と指示されるのに従う…ということを繰り返していると、それが習慣になり、考える機会がとても少ないままで成長してしまう可能性も。

 

そんな声掛けを後悔しているあるママからは、「国語のテストで、登場人物の気持ちを読み取る問題や、自由に記述する問題ができないんです。漢字や歴史など、暗記物は得意なのですが…」という悩みも聞かれました。

 

タイプ2:「間違い」「失敗」で叱られるのがイヤ

もう一つは、学校生活や職場で、「こうした方がいいかも」と頭の中で考えることはできているのですが、やってみて失敗することが怖い・叱られるのがイヤ、という理由で行動に移せないタイプです。

 

間違えないようにしよう、失敗しないようにしようと考えるのは、まじめな性格の証で長所でもあるのですが、その思いが強すぎると、「失敗するくらいならはじめからやらないでおこう」という発想につながってしまいます。

 

そうなると、成長の機会も少なくなりがちですし、部活や仕事で評価されにくい可能性も出てきます。

 

こうなってしまうのは、生まれついての性格も多少はありますが、どちらかというと、「失敗して叱られた」「ママやパパの言うとおりにしていたら叱られなかった」という経験を繰り返した結果…という面も大きいのです。

 

これからの時代は「指示待ち」じゃダメな理由


ママの子ども時代や親世代では、「素直にハイと言って動ける子」「口ごたえしないで取り組む子」などは大変評価が高く、就職活動でも有利でした。

 

その理由としては、戦後の高度成長期を支えるためには、他人と違った才能を持つ人よりも一つの方向へ力を合わせて努力できる人が労働力として大量に求められていた…という時代背景があります。

 

学校教育や入試制度も、「人並みの頭脳を持ち、大きく外れた行動をしない」人をふるい分けるために機能していた面が大きく、その時代には、ある程度の仕事ができれば、コミュニティ内に「指示待ち人間」が一定数いてもOKだったのです。

 

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しかし、少子化やグローバル化によって、日本国内だけで経済活動は成り立たなくなっていくこれからの時代は、「みんなと同じ」では生き残れなくなると言われています。

 

その一つの指標として、2020年に開始される大学の新入試制度では、「判断力」「表現力」「思考力」がこれまで以上に問われる内容になっていくことが発表されています。

 

つまり「自分で考える」ことが必要で、すでに用意された正解を見つけて提出すればOKというものではなく、今持っている知識や経験を整理し、組み立てて、目標を達成することが必要になってきます。

 

しかし、それに向けて小学校から高校までの教育改革が進められてはいるものの、すぐに100%変えられるようなものではないので、まだまだ「用意された正解を探してくる」型の教育が大部分を占めています。

 

「答えのない社会」を生き抜くには、学校や塾だけに頼るのではなく、自分自身の「考える力」が必要なのですね。

 

ママやパパが子供にできること


それでは、ママやパパは具体的にどのようなことに気をつけると良いのでしょうか?確認していきましょう。

 

失敗したことに対して叱らない、腹を立てない

これは、言葉にすると当たり前で言うまでもないことですが、忙しい日々の中では、よほど意識していないと、「なんでそんなことするの!」「だからダメって言ったのに!」など、強く叱ってしまいがちです。 

 

子どもが失敗した時は「ここで感情に任せて怒ったら、この子は“叱られるから新しいことに挑戦しない”“言われてからやろう”と思ってしまわないかな?」といちど自分に問いかけてみましょう。

 

先回りして失敗の芽を摘まない

危険なことや反社会的なことは別ですが、失敗から学ぶことはとても多いです。  それ、あきらかに失敗するな~と思っても、先回りして困難を取り除かずあえて失敗させてみると、子どもは自分で「こうしたらよかった」と気付くこともありますし、大人の「こうしたらよかったんじゃないかな?」というアドバイスも生きてきて、「次はこうやってみよう!」という意欲も生まれます。

 

「育てやすい子」こそ配慮が必要

親がこうしてほしいと思ったことを分かってくれる子、言われたことはちゃんとやる子は、親からすると本当に助かります。 

 

でも、そういう「育てやすい子」は、自分のしたいことではなく、「親が喜ぶこと」を判断基準にしてしまっている可能性があります。

 

特に、何かができたときだけほめる・かわいがる…という条件付きの接し方をしていると、「親の期待に添わないと愛してもらえない」と思い込んでしまうことも。

 

極端な例ですが、将来ブラック企業に入ってしまったとき、「NO」と言えず精神を病んでしまったり、職場で強い立場の人に逆らえずに汚職や犯罪などに手を染めてしまう可能性もないとはいえません。

 

「聞き分けがいい子だな」と思ったら、なおさら、親の都合のいいように行動させていないか、本当にこの子はそれがしたいのか…を立ち止まって見てあげて下さいね。

 

「考える力を問う問題」でつまづいたら

小学校高学年以上になると、「自由に考えたことを書いてみよう」というレポートやテスト問題が出されることが増えてきます。

 

小さい頃から、ついつい先回りしてやることを指示したり、「いいから○○しなさい!」と従わせてきた結果、いざそういった課題をやろうとすると、何も浮かんでこない…となってしまったら大変ですよね。

 

こんな時は、子どもへの日常の接し方を見直すことはもちろんですが、同時に、次のようなことも「考える」練習として役立ちます。

  • 完璧に出来上がってから書くのではなく、とりあえず書いてみる
  • いきなり全体を考えず、目的は何か、現状はどうなのか、目指す状態(ゴール)は何か、それは数字で表せるか、できそうなことは何か…などと分類して考えてみる
  • 色々な方法(選択肢)を挙げ、自分ならどれを選ぶか、理由などを説明できるようにする

などが有効と言われています。

まとめ


今回は、子どもが「指示待ち人間」にならないための子育てについて考えてみました。 おまけとして、私が個人的にしていることをちょっと紹介しますね。

 

うちの娘たちはあまり「ママの言うとおりに動いてくれる」タイプではないので普段苦労していますが(汗)、料理やお菓子作りが好きなので、よく「今からしばらく台所使っていい?」「バター使っちゃっていい?」等と聞いてきます。

 

子どもに「○○していい?」と聞かれた時、OKならば、私は昔から「いいよ」ではなく「どうぞ」と答えています。

 

「いいよ」だと親が許可を出す感じになりますが、「どうぞ」だと子どもが主体な感じがしませんか?そういう無言のイメージはけっこう子どもに伝わり、主体的な生き方ができる助けになるのではないかと思います。一度お試しください。

 

文/高谷みえこ