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仲の良かった学生時代や元職場の友人に妊娠・出産を報告したら、その後、連絡が返ってこなくなってしまった…という悩みを聞くことがあります。 理由がはっきりとわからないことも多く、長年の友人と疎遠になるのはとても悲しい気持ちになってしまいますね。 今回は、体験談なども参考に、「友人が内心どう思っているのか」「気をつけるべきことは?」などを考えていきたいと思います。

 

妊娠報告で友人が離れてしまった人の体験談


妊娠報告後、仲が良かった独身の友人がよそよそしくなってしまったと悩むEさん(28歳)。 「彼女とは高校時代から、色々なことを相談したり、一緒に旅行に行ったりと親しく付き合ってきました。2年前に結婚する時には心から喜んでくれたのですが、先日、妊娠したことをLINEで知らせると、既読なのに2~3日返信がなく…。その後、短く“”おめでとう“のひとことと、スタンプが送られてきて、私もそのあと連絡できずにいます。生まれたら知らせたいけど、またこんな返信だったら悲しいので、年賀状で報告するだけにした方がいいのかなと思っています。妊娠自体は悪いことではないし、何かで裏切ったりしたわけでもないので、私からは何かアクションをとることもできず…あんなに仲がよかったのにただただ残念です」

 

Rさん(34歳)のように、ママ友同士でも疎遠になってしまう例も。 「3か月検診で知り合い、子どもの性別も同じで、家を行き来したり一緒に育児支援センターに行ったり、仲良くなったママ友がいました。おたがい、もう一人産みたいねとよく話していたところ、私に二人目ができたので報告し、“次は○○さんだね!”と声をかけました。数日後、いつものように、来週はいつ支援センター行く?とたずねたら、“悪いけど距離を置かせてほしい”と…。彼女は多くは語りませんでしたが、実は二人目不妊で悩んでいたと知りました。仲良くなった後だけに、私に言えずにいたようで、辛い思いをさせてしまいました。今はばったり出会っても挨拶もできず、淋しい思いをしています」



連絡が途絶えてしまった友人の本心は?


残念ながら、妊娠・出産で疎遠になってしまったとき、相手の心の中はどうなっているのでしょうか? 答えは一つではありません。例えば、次のようなことが考えられます。

 

環境が変わり接し方が分からない

「赤ちゃんが生まれたら顔を見にきてね!」「うん、行く行く、教えてね!」とやり取りしたものの、相手が独身であったり、出産した人が周囲にいなかったりした場合、本当にたずねていってもいいのか判断がつきかねている…ということも多いです。 産後の身体の回復や、赤ちゃんのお世話の大変さなどは、体験したことがなければ想像するのは難しいですし、「忙しくて人を呼ぶどころじゃないだろう」「迷惑なのでは?」と思っても不思議はありません。 また、平日昼間は友人は仕事、赤ちゃんがいれば夜に会うのは難しく、土日はパートナーが家にいることが多いので、現実的に日程が合わないということもありますね。

 

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興味関心のあることが違う

独身時代の女性の多くは、仕事・恋愛・ファッションなどが主な関心事ですが、妊娠中・出産後はどうしても興味関心が赤ちゃん中心になります。これは良い悪いではなく、生活環境が変われば当たり前のこと。 LINEや実際に会っているうちに、だんだんと誘っても反応がないな…と感じだしたら、話題が合わない・住む世界が違う・妊娠出産の話に興味が持てない、と相手が思っている可能性大です。


焦り、嫉妬

人生の節目節目で、自分がいま手に入らない願いをかなえた相手に嫉妬や憎しみを感じたり、先を越されたと感じてしまうことは、誰にでも起こりうること。 これは女性に限ったことではなく、例えば学生時代の部活のレギュラー争い、高校大学入試に始まり、就職、昇進、結婚など、老若男女問わず、さまざまな場面で人は嫉妬や焦りを抱きます。 その感情を、うらやむ相手にぶつけて苦しめたり悲しませたりするのは、本来あってはならないこと。 ですが、同じ立場になった時、自分は絶対にそうしないと100%言い切ることができるでしょうか?とても難しいですが、「相手も苦しんでいる」と想像できれば、つらさを乗りこえることができるかもしれません。

 

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知らずに傷つけていた

妊娠初期であれば、流産しても、周囲には知らせない人が大部分です。また、「不妊で悩んでいる」「不妊治療をしている」ということは配偶者のプライバシーもあり、そうとう仲がいい友人でも簡単には話せないものです。 妊娠・出産は非常にデリケートな問題であるため、上記のようなことを知らずに思い込みで口にした一言が、知らない間に相手を深く傷つけてしまうこともあります。


妊娠報告で注意すべきは?


「赤ちゃんができた」「赤ちゃんが生まれた」ということ自体は、何も悪いことではなく、ほんとうにおめでたいこと。当たり前ですが、そのことについては、あなたも赤ちゃんも一切悪くありません。 ただ、次のようなことには配慮が必要です。

会話の内容が育児のことばかり

育児は24時間労働のようなものですし、ハイハイやよちよち歩きの赤ちゃんは片時も目が離せません。自分の趣味や広く世間の流行を追うことなんて、なかなかできないママがほとんどですよね。 ホルモンの影響もあり、一時的に興味関心や会話の中身が育児中心になってしまうのは、必要な脳のしくみであるともいえます。

 

でも、子どものいない人や興味のない人には、それはキツいということも覚えておきましょう。中には本当に赤ちゃん好きな人も一定数いますが、そうでないと思ったら無理に付き合わせるより、今はママ友同士でと割り切った方がいい場合もあります。

 

友だちの方から声をかけてくれた時でも、少しユーモアをまじえて話すなど、相手の気持ちになってみたり、意識的に育児・結婚生活以外の話題も取り入れたり、こちらから他の話題を聞かせてもらうようにするくらいでちょうどいいかもしれませんね。

 

写真入りの年賀状や暑中見舞い

子どものいない女性に、「赤ちゃんや子どもの写真入りの年賀状をどう思うか」というアンケートをとったところ、「可愛い、良いと思う」が2~3割、「興味はないがそういうものだと思う」が4割、「不快に思う」が1割程度という結果報告があります。

 

「不快に思う」人の受け止め方は、「友人なのは本人。子どもの写真だけだと違和感がある」「自慢されている気分になる」「自分に子どものいないことを実感させられてお正月から落ち込む」といったもの。

 

印刷で子どもの写真入りの年賀状を100枚、200枚と注文した場合、無差別に全員に送ってしまう人も多いかもしれませんが、祖父母や親戚はともかく、友人に送る場合は、ほんとうにそれを喜んでくれる相手かどうか一度立ち止まってみることも必要です。


出産・育児観の押し付け

出産育児はすばらしい経験であることは確かですが、その思いを誰かに押し付けないよう注意しましょう。

 

特に産後は、これまでの価値観が再構築される時期であり、1つのことを「これがいい」と思い込んでしまう傾向も強くなると言われていますので、仲のいい友人にでも結婚や出産を無理にすすめるのは控えましょう。

 

他にも、「次はあなた」と言われると、子どもを欲しいと思っていない人が反感を抱くのはもちろんですが、子どもが欲しい人にとってもプレッシャーに感じてしまうこともありますので、好意からでも言わない方が無難です。

 

報告の仕方

妊娠・出産報告をきっかけに友人と疎遠になってしまった人の中には、自分の言い方が悪かったのか…と悩む人もいます。 ただ、よほど相手のことを考えていない報告の仕方をしたならともかく、どんなに気を使っても疎遠になるのが避けられないこともあります。 「できるだけのことはした」と思うなら、理由はあなたではなく、相手の中にあるということです。時の流れを待つしかないことも。

 

まとめ


長年付き合ってきた友人が離れてしまうのは悲しいことですが、40代以上の先輩ママに話を聞いてみると、「相手も自分も環境が変わり、また友人に戻ることもあるから、相手も自分も責めないで」という声もよく聞かれます。

 

もし、「面白い話が聞けない」「今までどおり遊べないからつまらない」など、自分の都合だけで離れて行く人がいたら、それは最初から友人ではなかったのかもしれません。

 

「誰かが赤ちゃんを抱いているのが許せない」という理由で距離を置かれたなら、彼女も自己嫌悪で苦しんでいるかもしれません。

 

つらい思いをした時は、将来自分が、子どもの進学や結婚・孫の有無にいたるまで、同じ立場になった時どうするかを思い浮かべ、理想の自分を目指してみて。今のつらさはきっと、あなたを成長させてくれるに違いありません。

 

文/高谷みえこ