日本の当たり前が実はそうではなかった、というのはよくあることです。それでは鉄道の場合はどうでしょうか。今回は日本の鉄道とヨーロッパの鉄道を比較したいと思います。海外と比較することで、日本の鉄道を改めて考えてみましょう。
意外と知らない!日本とヨーロッパの鉄道5つの違い
1.ヨーロッパの鉄道はホームが低い!
筆者がテレビ番組「世界の車窓から」を見て、ヨーロッパの鉄道で一番驚いたのはプラットホームが低いこと。単に地面にアスファルトが敷いてあるだけ、というように見えました。ヨーロッパでも地下鉄や近郊電車では高さのあるホームを見かけましが、多くの駅では地面スレスレの高さが低いホームを採用しています。
日本のホームは高さがあるので、すぐに列車に乗れます。一方、ヨーロッパの場合はホームから列車のステップを使って乗り込まなければなりません。荷物があれば大変です!そのかわり、ヨーロッパの駅ではホームから通路までの階段数はそれほど多くありません。また、車椅子を使っている乗客向けにホームからスムーズに乗車できるリフトも整備されています。
安全面ではどうでしょうか。日本の場合、ホームが高いので利用客が敷地内に入りにくい構造になっています。一方、ホームから落ちて怪我をする可能性があります。ヨーロッパの場合はホームが低いので簡単に敷地内に入れます。実際に地方駅ですと、レールをわたって隣のホームへ行くシーンを見かけます(本当はダメですが)。ただし、ホームが低いため、日本のホームで起こりうるような転落事故はゼロ、と言っていいでしょう。
2.日本の鉄道で見られるような改札機がない!
次は日本では当たり前のように見られる改札・改札機の話題です。ヨーロッパでは一部を除き、改札・改札機はありません。切符を購入したら、そのまま列車に乗り込みます。このように書くと「簡単に無賃乗車できるのでは…」と思うかもしれません。
ところが、ヨーロッパでも無賃乗車はできません。ヨーロッパでは日本よりも頻繁に車掌が切符をチェックする検札が行われます。もし、検札で無賃乗車がバレたら大変!高額の罰金を払うことになります。また、地下鉄や路面電車でも検札は来るのでご注意を。わからないことがあれば、事前に駅員に尋ねることをおすすめします。
3.切符はプリンターで印刷するもの?
4.ヨーロッパの鉄道ではパスポートチェックがある
日本は島国なので、国内の鉄道ではパスポートチェックはありません。一方、ヨーロッパは地続きなので、パスポートチェックがあります。とは言っても、西ヨーロッパの国々の多くはパスポートチェックが不要となる「シェンゲン条約」に入っているため、パスポートチェックはありません。
ただし、国境駅で車掌が入れ替わり、検札が行われる場合があります。 EUに入っていない国、シェンゲン条約に入っていない国ではパスポートチェックがあります。場合によっては国境駅で長時間停車し、荷物検査が行われる場合も。
また、夜行列車の場合はパスポートチェックの度にたたき起こされます。「面倒だ…」と思うかもしれませんが、新しい国に入ったときの感動は何とも言えませんよ。
5.ヨーロッパでは車内放送がない?
よく年配の方から「ヨーロッパでは車内放送がないよ」と聞いたことはありませんか? 現在では半分正しく、半分間違い、と答えるのが正解です。確かに、特急以外のローカル列車ではあまり車内放送は流れません。
また、東ヨーロッパの国々では車内放送を期待しないほうがいいでしょう。一方、西ヨーロッパの特急列車ではきちんと車内放送が流れます。また、車内放送が聞き取れなくても大丈夫!車内表示機がわかりやすく案内してくれます。ただし、日本とは異なり同じ内容の放送を何回も繰り返さないのでご注意を。
取材・文・撮影/新田浩之