日本の麻疹(ましん=はしか)罹患率は、平成20年の流行をピークに減少しつつありますが、2018年の3月以降、沖縄県で70人もの感染者が出るなど、油断はできない状況です。
今回は、妊婦さんが麻疹に対して気をつけるべきポイントを6つに分けて紹介していきます。
目次
妊婦の麻疹で注意すべき6つのポイントは?
1.麻疹はどんな病気か正しく知る
麻疹はウイルスによる感染症で、高熱や発疹などが出るほか、免疫力が大きく下がってしまうため合併症の危険性も高く、小さな子などは命に関わる病気です。
麻疹のウイルスに対する特効薬はなく、かかってしまったら対症療法が中心になります。
一回かかれば終生免疫を獲得、つまり二度とかかることはありません。
かかったことのない人にとって唯一の予防手段は「ワクチン接種」です。
2.妊婦さんが麻疹にかかるリスクを知っておく
妊娠中に麻疹にかかってしまうと、脳炎・肺炎など合併症を引き起こして重症化しやすく、早産や流産などの原因になると言われています。
また、麻疹が回復しても、数週間から数ヶ月もの間、免疫力が低下した状態になることも分かっていますので、運よく妊娠が継続できても、出産まで長期にわたって色々な病気にかかりやすくなるというリスクもあります。
ただ、風疹と異なるのは、妊娠中に麻疹のウイルスに感染しても、生まれた赤ちゃんが麻疹に感染していた例は報告されていないこと。先天性異常や障害などの面では胎児への影響は少ないと考えられています。
3.自分の免疫の有無を確認する
麻疹のワクチン接種が義務化されたのは昭和52年からで、十分な効果が期待できる2回接種になったのは平成2年です。
この1回接種だった世代(2018年現在で、28歳~41歳)では、十分な免疫を持っていない人がいる可能性があります。
妊婦さんは予防接種ができないため、自分が子どもの頃に麻疹にかかったことがない人や、予防接種の回数が1回または0回の可能性がある人は、妊娠前に必ず自分の子どもの頃の母子手帳などを確認しておき、まだなら必ず接種しておきましょう。
母子手帳が残っていない場合は、市町村によっては記録が残っているので、問い合わせると教えてもらえる場合もあります。
「子ども時代に麻疹にかかった」という場合、要注意なのが、風疹と誤診されている可能性があることです。
パパも(40代以下なら)一緒に確認しておいた方がいいですね。
ちなみに、妊活中に麻疹の予防接種を受けた場合は、2ヶ月間は避妊が必要なので覚えておいてくださいね。
4.すでに妊娠中でも、検査は可能
でも、現在すでに妊娠中の場合、住んでいる地域で麻疹が流行してもワクチンは打てません。
ただ、血液検査で、どのくらいの免疫力があるかを調べることは可能です。費用は5000円ほどかかりますが、予防接種が不十分な可能性がかなり高いようなら、調べる価値はあるといえます。
5.流行情報もチェック
もし、免疫を持っていないことが分かった場合、感染しないよう細心の注意を払う必要があります。麻疹のウイルスは非常に感染力が高く、電車の中であれば、インフルエンザウイルスが2m程度の距離で感染するのに対し、麻疹ウイルスは車両全体の人に感染させるほどの威力を持っています。
普通のマスクでも感染の確率は多少は下がりますが、本当に感染を防ぐには医療用の特殊なマスク(N95)が必要とされています。
人ごみは極力避け、うっかりするのを感染を防ぐため、麻疹流行のニュースもチェックしておきましょう。
6.万が一、症状が出たらすぐに行動
鼻水などの風邪とよく似た症状から、急に38~39度の高熱が出て、「頬の内側に白いプツプツができる」「少し熱が下がったと思ったらまた高熱がぶり返す」「全身に赤い発疹ができる」という症状が出たら、すぐさま病院に連絡を取りましょう。
看病や病院への付き添いも、できれば過去に麻疹にかかったり、二回予防接種をしている家族や親族にお願いした方がいいですね。
妊婦の麻疹まとめ
今回は、妊婦さんにとってはとても怖い「麻疹」の対策として、今からでもできることを集めてみました。2018年現在で28歳~41歳の人は特に免疫が十分でない可能性があります。本来は、妊娠前に確認しておくのがマストですが、もし、現在妊婦さんで、自分の予防接種や罹患歴がよく分からない…という人は、この機会にぜひ確認してみて下さい!
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文/高谷みえこ