赤ちゃんが夜中に何回も起きる月齢のうちは、夜中の頻繁な授乳・ミルクは辛いですよね。おっぱいをあげても、布団に下ろすと起きてぐずり出すタイプの赤ちゃんもいます。ママも睡眠不足でキツいことを先輩ママやママ友に相談すると、「だったら“添い乳”にしたら?」とアドバイスされることがあります。
「一度やったらやめられないよ~」と言われると、心惹かれますよね。でも、居心地がいいだけに、いざやめようと思った時には苦労するんじゃないかという心配も…。
今回は、添い乳のメリットとデメリットについてまとめてみました。
添い乳はいつ頃から可能?
「添い乳」とは、座って授乳→寝かしつけを行うのではなく、ママも赤ちゃんもお布団で寝たままおっぱいを飲ませて、赤ちゃんが寝たらそのままママも寝るという授乳のやり方です。
いつから始めても大丈夫なの?という疑問については、出産で入院中、助産師さんから添い乳をすすめられた人も多く、通常の分娩であれば新生児から始めても問題ないようです。
ただ、帝王切開などの場合、寝たまま体をひねって向きを変えるのは傷が痛むこともありますので、無理しない範囲で始めた方がいいですね。
添い乳のメリット
とにかくラク!
ママも赤ちゃんも寝たままで、ちょっと体の向きを変えるだけ。
特に寒い冬は、起き上がってお腹や背中を出すのは寒いし、寒いなか起き出してミルクを作るのも大変なので、あったかいお布団から出なくても済む添い乳は本当に天国だといえます。
スキンシップができて赤ちゃんも安心
欧米では、赤ちゃんでも個室で寝かせて自立させる子育てが行われていますが、代わりに起きている時は頻繁に「今日はどんな気分?」「愛してる」「いい子ね」などと話しかけ、愛情を言葉で伝える文化があります。
日本では「以心伝心」という言葉に代表されるように、わざわざ言葉にしないで察することが良いという文化があり、その分、スキンシップを増やしてあげる必要があるとも言われています。
添い乳のデメリット
窒息の危険性
座っての授乳と違い、ママが赤ちゃんに覆いかぶさるような体勢になってしまうと、ママのおっぱいで鼻がふさがれ、窒息のおそれがあります。
また、ママも赤ちゃんも半分眠ったような状態で授乳して、そのまま眠り込んでしまうと、寝返りで赤ちゃんを押しつぶしてしまわないかも気になりますよね。
これを避けるためには、赤ちゃんの身体の下に毛布やバスタオルなどを敷いて高さを調節したり、ママと赤ちゃんの身体が密着しすぎないよう丸めたタオルを間に入れるなどの方法があります。
なお、海外での赤ちゃん圧迫事故では、アルコールやドラッグなどの影響が指摘されています。授乳中はあまり該当しないと思いますが、風邪薬や抗アレルギー剤なども、薬の影響で眠りが深くなってしまいますので注意しましょう。
ミルクの吐き戻し
赤ちゃんもママも添い乳で眠ってしまった場合、授乳後にげっぷをさせないことが多いので、特に低月齢ではミルクを吐き戻す可能性があります。
胃に空気がたまっていると赤ちゃんが苦しいばかりか、吐いてしまったミルクが鼻やのどに詰まったり、耳に入って中耳炎になったりという危険性もあります。
あまり吐き戻ししないタイプの赤ちゃんなら大丈夫かもしれませんが、特に低月齢のうちは、赤ちゃんがぱっちり目を覚ましてしまわない程度に抱き起こしてゲップをさせてあげた方がいいかもしれませんね。
耳や頭の形
特に低月齢の赤ちゃんは頭もまだやわらかいので、ずっと同じ方向で添い乳をしていると、下になった側の頭が平らになったり、耳の形が左右で違うという先輩ママの声もありました。
毎日のことなので、寝るときの並び方を毎晩入れ替えるなど、同じ向きにばかりならないように工夫するといいですね。
ママの腰痛
授乳中にだんだん赤ちゃんが横向きからあおむけになっていくのに合わせてママが体の向きを調節しているうち、赤ちゃんを起こしたくないあまりに、無理な姿勢になってしまい、腰を痛めてしまったママもいます。
乳腺炎
同様に、どうしても片側のおっぱいばかりで飲ませることが増えるため、あまり吸われない側のおっぱいが詰まりやすくなり、乳腺線などのトラブルが起きやすくなることも。
虫歯
歯が生え揃ってくると、虫歯の心配も出てきます。これは、母乳自体が虫歯の原因というよりも、離乳食が始まることと関係があると言われています。離乳食を食べ始めると、口の中の雑菌や虫歯の原因菌が増え始めるため、夜中に口に入ってきた母乳がそのエサとなってしまうのですね。寝る前の歯みがきを習慣づけておくと予防になります。
一番心配な「やめるにやめられない」「卒乳が遅くなる」の対策は?
ママたちからは「添い乳をしてきたけど、あまりにも頻繁になってきたのでそろそろやめたい」という悩みをよく耳にします。
この原因としては、「眠りについた時にはおっぱいが口にあったのに、ふと眠りが浅くなった時に、なくなっていることに気づいて泣く」「満腹になる前にウトウトしてしまうため、またしばらく経つとお腹が空いて泣く」などと言われています。
たしかにそういった面もありますが、添い乳をしていない赤ちゃんでも、これまで朝まで起きなかったのに、8カ月頃から頻繁に起きるようになった…という話をよく聞きますので、一概に添い乳のせいで何度も起きるようになったとは言い切れないようです。
ですが、卒乳の時期が間近で、ママも身体的に辛いようであれば、他の方法で眠りに入れるような工夫を始めた方がいいかもしれませんね。
先輩ママが成功した添い乳以外での方法としては、次のようなコメントが。
「眠りが浅くなった時にスキンシップが欲しいだけだったようなので、抱っこしたり、背中をトントンして安心させてあげるようにしました」
「毎日、同じ時間にパジャマに着替えさせたり、電気を消したりして、寝る前の合図だと覚えてもらいました」
「寝るときは、添い乳でいつのまにか眠る…ということをやめ、泣いて布団から出てきてもお布団に戻し、トントンして寝かせるようにしました。数日で夜中に起きなくなりましたよ」
添い乳のまとめ
メリットもデメリットもある「添い乳」。でも、クリアできそうなデメリットもあるので、この記事も参考に色々試してみて、ママと赤ちゃんにとってベストなやり方を見つけて下さいね。
文/高谷みえこ