子どもは4歳頃になると、認識能力の発達によって「時間や空間」「他人の感情」などが理解できるようになります。 それは成長している証なのですが、子どもにとっては初めての感覚。まだ、曖昧で確立されていないため、混乱して不安になって不思議なことを言ったり、昨日と今日で発言や行動がまったく違ってしまったりすることが…これこそが〝4歳の壁〟と呼ばれる現象です。 今回は、そんな子どもの変化に戸惑いながらも、懸命に乗り越えてきたママたちの体験談を紹介します。

〝4歳の壁〟を経験。乗り越えたママたちの体験談

なにもかも「めんどくさい」とやらない娘に困惑(美紀さん / 36 / パート)

私の娘は、4歳になったころから「めんどくさい」という理由で、保育園に行くための朝の着替えをしなくなりました。 他にも、「箸を持つのがめんどくさい」とご飯を食べなかったり、「服を脱ぐのがめんどくさい」と言ってお風呂に入らなかったり…。

shutterstock_782203702

そのつどご飯を食べさせたり、服を着替えさせたりするのですが、正直なところ、一度できるようになったのに、「やらない」娘に腹が立っていたんです。 そんなある日、娘の変化を母に相談したところ、「あんたもそうだったよ」と言われ、初めて〝4歳の壁〟の存在を知ることに。 母の話で、「娘も戸惑っているんだな」とわかり、それからは、「めんどくさい」と言い出すと「ハイハイ!」と、できるだけ娘のわがままを聞いてあげるようにしたんです。 そんな娘も、気づけば5歳を過ぎたあたりから「めんどくさい」と言うこともなくなり、どうやら無事に〝4歳の壁〟を越えてくれたようでした。

トイレをこわがるようになった息子を励ました(みなみさん / 39 / 介護士)

息子が42か月を過ぎた頃のこと。ある日突然、「トイレがこわい」と言い出し、ひとりでトイレに行けなくなりました。「なんで?」と聞いても「わからない」と言うばかりで、それからは、ひとりで行けたり行けなかったりを繰り返す日々。 トイレをこわがるときは、息子は必ずドアを開けたまま、私の姿を確認しながら用を足します。そして私の姿が見えないと、パンツを下ろしたまま、走って探しに来る始末。

shutterstock_549165454

「赤ちゃん返りかな?」と思いながら過ごしていたのですが、ある日、思いつきでトイレに息子の好きなウルトラマンの人形を置くことにしたんです。 そして息子が、「トイレがこわい」と言い出したときは、「もしお化けや怪獣が出たら、ウルトラマンがやっつけてくれるからね!」と励ますようにすると、それ以来「こわい」という頻度が少なくなっていきました。 その後も、いろんなものが「こわい!」というビビり性な息子に苦労しましたが、そのたびにウルトラマンの人形に助けてもらいながら、いまはようやく〝4歳の壁〟を乗り越えた模様です。

人間関係を理解し、友達の輪に入れなくなった(瑞枝さん / 41/ パート)

4歳になる私の息子は、毎週末、近所のお友達と公園で鬼ごっこをして遊ぶのがお気に入りでした。 でもある日のこと、いつものように一緒に公園に行ったのですが、息子がなかなかお友達の輪のなかに入っていこうとしません。そして、しばらくして私のもとに戻ってきた息子は、「今日は帰る」と言って公園を出て行ってしまったんです。

shutterstock_646245508

急いで後を追いかけて「どうしたの?」と聞いても、ぎゅっと唇を噛み締めたまま、なにも言いません。 それから、普通にみんなと遊ぶ日もあれば、声すらかけられない日もあり、正直「このままコミュニケーションが取れない子どもになったらどうしよう…」と不安に思っていたんです。 なんとかしようと、「ママと一緒に遊んでって言いに行こう!」とお友達のところへ行ってみたり、どうしてもいやがるときは家で遊んだり。試行錯誤していましたが、5歳を過ぎた頃から、いつの間にか元気に「遊ぼ!」と言える息子に戻っていました。 これが〝4歳の壁〟だったということを後で知ったのですが、初めて「友達に断られたらいやだ」という感情を持った息子が、「どう接していいのかわからず、悩んでいたんだな」と思うと、なんだか無性に愛おしくなった母なのでした。

子供の成長の証〝4歳の壁〟を前向きに乗り越えよう

ママが戸惑う〝4歳の壁〟。感情や空間、時間軸などを初めて理解することで、さまざまな感情が生まれ、どうしていいのかわからずに困惑することが原因のようです。 お子さんがこの壁に突き当たったときはママも不安に思うようですが、それは立派な成長の証。怒ったりイライラしなくて大丈夫、優しく見守ってあげてください。しばらくすれば自力でこの「壁」を越え、また一歩成長した姿を見せてくれるはずです。

ライター:葛西 明