いつも一緒にいて、はた目にはとっても仲が良さそうに見えるご夫婦。でもその実、愛情ゼロの夫婦関係を続ける「仮面夫婦」だった、というのは意外とよくある話です。 関係は破たんしているにも関わらず、表向きは夫婦として生活を共にする…想像しただけで心がすり減りそうなその生活は、どのようなものなのでしょうか。
うまくいってないからこそ、隠したい気持ちは強い(悠理さん/33歳/観光業)
結婚して9年目、旦那とは必要最低限の会話しかしていません。こうなった原因は、私と義実家との折り合いが悪いこと。一時は離婚を考えたものの、なんとか踏みとどまり…それでも、関係は冷え切ったままです。
朝晩のあいさつくらいはしますが、ここ数年、顔を見て言ったことはありません。用事があるときも、「パパにありがとう言おうね~」と子どもを間にはさむようにして会話。
そんな私たちもご近所や公共の場では、「良き親・良き夫婦」に見えるように、あえて仲良くふるまいます。関係がうまくいっていないからこそ、世間には隠したい気持ちは強くなるんです。 将来、ふたりきりの生活になったときは、どうなってしまうのか…想像しただけで、気分が暗くなってしまいます。
「仮面夫婦を続けたことにも意味があった」と思えた子どもの言葉(美香子さん/47歳/住宅メーカー勤務)
旦那の単身赴任先でまさかの不倫が発覚。その後いろんな経緯を経て、いまや「仮面夫婦」となりました。 当初は旦那に対しての憎しみが消えず、心身ともに疲労困憊。でも、愛情が薄れるのに比例して苦しさも薄れ、いまは旦那のことは「私と子どもを養うための稼ぎ役」と割り切って考えられるようになりました。
離婚してひとりで子どもを育てることもできましたが、精神的な苦痛に加え、欲しいものまで制限される厳しい暮らしをするのはイヤ。 子どもの前では不仲をさとられないようにしていたつもりでしたが…敏感なものですね、いつしか気づいていたようで。成長してひとり暮らしを始めるときに、「未熟な親でごめんね」と謝ったら「イヤだったけど、離婚されるよりは良かった」と苦笑いされました。 その言葉を聞けただけでも「仮面夫婦を続けた意味があった」と、自分を慰めています。離婚なんて、その気になればいつでも可能。仮面夫婦でいられる間は、無理して離婚しなくてもいいのではないでしょうか。