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スイミング、ピアノ、サッカー、学習塾など、保育園・学童保育の後や週末にお子さんを習いごとに通わせている家庭も多いと思います。ベビースイミングなど赤ちゃん時代に始めた習いごともあれば、子供自身が「やりたい」というので通いだした習いごともあるでしょう。でも、もし子供が習いごとを「やめたい」と言ってきたら…?!「やめる?やめないで続けさせる?」への答えを、先輩ママたちへの取材に基づいて考えてみました。

 

子供に「習い事をやめたい」と言われた経験は?


今回、3歳から7歳のお子さんを持つ働くママ100人にアンケートを取ってみた結果、「子どもに何らかの習いごとをさせている」と答えたママは73人。そのうち、半数近い33人が、子どもから「やめたい」と言われた経験があることが分かりました。

 

子どもが「やめたい」と言い出した習いごとの種類は、3~5歳では「ピアノ」「スイミング」「バレエ」が多く、5~7歳ではそれに加えて「学習塾」も加わりました。

 

「その習いごとは、お子さん自身がやりたいと言ったことですか?」という質問には、3~5歳では、まだ本人が小さいこともあり90%以上が「いいえ」、5歳以上になると、お友達やテレビの影響もあってか「はい」という回答が3分の1ほど出てきます。

 

ただ、最初に本人がやりたがったかどうかと、始めてから「やめたい」と言い出すかどうかは必ずしも相関関係がなく、それによって変わってくるのはむしろ「親の対応」の方のようです。

 

「最終的に、やめたいという希望どおりにしましたか?」という質問に対し、子ども本人が希望して始めた習いごとの場合は「説得して続けさせた」「スケジュールや内容を調整して続けさせた」というママが最も多かったのに対し、親がすすめて子どもが承諾する形ではじめた習いごとの場合は「やめさせた」というママが多くなっていて、約55%と半数を超えています。

 

それでは、実際の場面では、子どもとパパ・ママがどんなやり取りをして「やめる」「やめない」という結果に至ったのでしょう?次に紹介していきます。

 

習い事をできればがんばってほしい!続けさせる派


せめて、達成感を味わうまでは…

「5歳の時に娘がやりたいと言って始めたピアノ。でもなかなか思うように上達せず、毎日の家での練習もグズグズ。ついにやめたいと言い出して…。でも、このまま何の結果も出さずにやめてしまうと、この先、他の習いごとを始めても同じだと思い、この曲が弾けるようになるまでがんばろうと励ましました。親も練習につきっきりでかなりの時間を費やしましたが、達成感を味わうことでもう少し続けてみようと思ったようです。」 (Hさん・32歳・6歳の女の子のママ)

 

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将来のために”褒め”で継続を…

「学校で水泳が始まり、まったく泳げなかったのでスイミングに通うことにしました。子どもはもちろん喜んではおらず、スイミングのある土曜日は朝から度々行きたくないと口にします。気持ちも分かるのですが、やっぱり将来のためには泳げるようになってほしいので、インストラクターの先生にも相談しつつ、行き帰りも“今日すごく上手に手足が伸びていたね!”などと声をかけて、できるだけ楽しい雰囲気作りを心がけています。だましだましですが、そのうち泳げるようになれば、やってよかったと思えるのでは」(Cさん・36歳・7歳の男の子のママ)

 

合わなかっただけ。習い事をこだわらずやめさせる派


習い事を変えたら楽しく続く…

「娘は体を動かすのが好きな子だったので、3歳でバレエ教室と体操教室を見学したところ、どちらも気に入って始めることに。でも、バレエの先生が厳しく、あっという間に泣いて行きたがらなくなりました。わが家の習いごとの目的は子どもが楽しんで体を動かすことだと思っていたので、バレエはやめることに。体操教室はその後も楽しみながら続け、去年はお友だちに誘われてヒップホップダンスも始めましたが、そちらも元気に通っています」(Fさん・29歳・5歳の女の子のママ)

 

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子供のペースに合う方法を探す手も…

「小学校入学にそなえ、算数と国語を習い始めたものの、なかなか内容が進まず、宿題の量も多くて親子ともども毎日の負担になってきました。通っている子たちも、静かに座っていられる子だけが残っているのか、息子はその中でひとり幼い雰囲気で浮いているように思えました。このままでは逆に勉強嫌いになりかねないと思えてきた時に、“勉強は、楽しい!もっとやりたい!と思える状態でこそ効果が出る”と聞いて、やめる決心がつきました。今は通信教材をマイペースでやっていますが、それなりに楽しんで続けられています。合う合わないもありますよね」(Sさん・30歳・7歳の男の子のママ)

 

親がやってはいけない対応と、とるべき対応は?


子どもが「習いごとやめたい」と言ってきた時に、一番やってはいけないと言われるのが、子どもの気持ちを考えずに親の意向を通してしまうこと。

 

人は心理学的に、ある程度時間やお金や労力を投資してきたことをやめるのは非常に抵抗を感じると言われています。高価なピアノを買ったり、レギュラーを目指して何年も練習を続けてきたりといったことを考えると、一時的な子どもの気まぐれでやめるのは大きな損に感じられてしまうのですね。

 

でも、大切なのは、子どもの「やめたい」という言葉の本当の理由を考えそれに共感すること。

 

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「スイミングでクロールの練習に入ったら、息継ぎのコツがどうしてもつかめない」等のように、一時的に壁にぶつかっている状況なら、励ましたり、コーチに相談したりなどの対策を取ることができます。

 

「英語のレッスンに通っているけれど、そもそも興味が持てないみたい」など、興味関心にかかわることは工夫してもどうしようもない場合もあるので、すっぱりやめて、他に色々なことを体験してみるのも一つの方法です。その子に合った習いごとであれば、意欲的に取り組むことができるので、上達も早いし「やめたい」ということも少なくなるでしょう。

 

「ピアノ教室の近所の犬に吠えられて怖いけど、言うのが恥ずかしい・叱られそうで言えない」など、意外な理由のこともありますので、まず、子どもが安心して話せる環境を日頃から作っておくことも大切ですね。

 

子供の気持ちに寄り添いながら対応しましょう


「習いごとやめたい」問題は、「続ける」「やめる」と、まっぷたつに意見が分かれるテーマでもあります。しかし、おすすめなのは「目的は何か」を考えてみるということ。

 

「教養を身に付ける」ことであれば、数か月経験しただけでも本物に触れるという効果はあります。「体力をつける」ことなら、例えばスイミングが合わなくても他のスポーツでぴったりのものが見つかるかもしれません。

 

「バレエは好きだけど、先生が合わない」等の理由なら、教室を変えて続けていくこともできます。

 

やめるにしても、続けるにしても、子どもの気持ちに寄り添いつつ、柔軟に考えていくことが何より大切ですね!

 

文/高谷みえこ