仕事をする女性

やらなければいけないことがあるけどやる気が起きない。仕事に集中できない。誰しも同じような経験をしたことがあるでしょう。モチベーションを高めて、やるべきことをサクッと終わらせる方法は?時間管理の専門家、石川和男さんにモチベーション管理について伺いました。

先延ばしが自然と解消!「アイスピック仕事術」

「やる気が起きない仕事」というのは、難易度が高い場合が多いです。こんなときは、まず仕事の内容を細分化することです。この仕事を細分化する方法を「アイスピック仕事術」といいます。

 

ここに大きな氷の塊がひとつあったとします。大きな氷の塊は溶けるのに時間がかかりますが、アイスピックで砕いた氷は早く溶けます。これと同じで「大変だな」と思った仕事があったら、やるべきことをいくつかのステップに分けることから始めます。

 

たとえば、私の場合は決算書、営業年度報告書、助成金の手続きなどの仕事を行うときは手間がかかります。「書類を集める」という仕事があったとき、細かく分けると「役所に電話で問い合わせる」「銀行に連絡する」「法務局に書類を取りに行く」ということで、一つひとつはそんなに大変なことではありません。

 

一見すると難しい仕事でも、細分化して1つずつ取り組むことで少しずつ片付き、終わらせることができるのです。

 

ご褒美と罰でセルフコントロール!「サルの曲芸仕事術」

仕事をする女性
仕事を細分化する

「やる気が起きないとき」は、自分自身でご褒美を用意するのもいいでしょう。

 

たとえば、「今から1時間集中してやったら、ご褒美として好きなおやつを食べられる」という感じです。皿回しなどの芸を披露するサルは、皿を回すのが楽しいからと自分から進んでやっているわけではないですよね。あれは、ご褒美があるからやっているわけです。

 

それと同じで、人間も基本的に賞罰があるから行動します。「仕事が予定通り終わったら生ビール、予定よりも30分遅れたら缶ビール、1時間遅れたら発泡酒、それ以上だったら水を飲む」といった感じで賞罰を設定するのです。

 

「せっかく仕事をがんばったのに水道水はいやだから、せめて発泡酒が飲みたい」と、ちょっとがんばろうと思えてくるのです。ここで少しでも前に進められれば、やる気がわいてきて集中力も高まり、それによって良いアイデアも出てきて、結果的に気づいたら仕事が終わっているのです。

 

仕事のできる上司をマネる「青森県恐山イタコ仕事術」

ほかにも、集中力を高める仕事術として「青森県恐山イタコ仕事術」というのがあります。イタコとは、青森県恐山で霊能力者の女性が、亡くなった人を自分に憑依(ひょうい)させその人の言葉を残された家族に語るというもの。

 

これは私が考えた仕事術の1つ。たとえばイタコが亡くなった人に思いを馳せるように、自分も仕事ができる上司に思いを馳せて「この人だったらどんな仕事の仕方をするかな?」ということを考えて行動するというものです。

 

「今日1日だけ上司になりきったつもりで行動してみよう」と思うことで、やる気スイッチが入り、いつもよりも効率よく仕事ができるようになるのです。結果、面倒に思えた仕事も、いつの間にか終わっているのです。

 

PROFILE 石川和男さん

時間管理の専門家。建設会社役員として週5日フルタイムで働きながら、ビジネス書著者、講演家、税理士、出版コンサルタント、ブランディング講師税理士、大学講師など7つの仕事を掛け持ちしている。『24時間の使い方』(祥伝社)など計23冊出版
取材・文/間野由利子