「ねるねるねるね」や「グミつれた」など、手作りする実験系のお菓子「知育菓子(R)」で有名なクラシエフーズ。今、クラシエフーズの知育菓子(R)が日本を飛び越えて、世界各国で人気沸騰中。海外に広まった経緯などを、クラシエフーズ・海外グループの勝井さんと菓子グループの宮迫さんに聞きました。
「ジャパンカルチャー」の魅力がぎゅっと凝縮
—— 知育菓子(R)が海外で人気ということですが、理由を教えてください。
海外で人気なのは、日本でも販売されている「ポッピンクッキン」という、本物そっくりのスイーツや食べ物を、ワクワクドキドキしながら作ることができるシリーズです。
商品以外に必要なものは水のみで、加熱も不要というDIYのお菓子は海外にはなく、とても珍しかったよう。ディテールにまでこだわった精巧さ、ミニチュアとしての可愛さなど、いわゆるジャパンカルチャーの象徴のようなできあがりが、海外の方に受けたようです。
お寿司など、日本らしいアイテムを作れるのも良かったのでしょう。アメリカでもやはりお寿司やラーメンは人気が高く、できあがりが可愛いドーナツもSNSにあげる人が多いですね。
—— 海外で人気となったきっかけを教えてください。
きっかけは、海外の方向けにアップされたYouTubeの動画です。2010年に日本で「ポッピンクッキン たのしいおすしやさん」を購入した方が、お寿司を作る様子をYouTubeにアップしました。
すると「魔法だ!」「日本人天才!素晴らしい!」「本当に食べられるとは驚き」など、世界中の人々がリアクションをしてくれたのです。
それが話題になり、日本以外の国にも「ポッピンクッキン」が一気に知れ渡りました。今では再生回数は数千万回に達しています。
—— 当初は日本だけで販売されていたのですか?
そうです。初めは海外の方が日本でお土産に買うのが一般的でした。YouTubeの動画が話題になり、海外でも販売してみないかと各方面から打診があり、2015年頃から海外向け商品として輸出しています。輸出先の1位は中国で全体の40%ほど、アメリカ・北米が35%、アジア圏が25%と続きます。
出荷数量は年々、右肩上がりで増えています。主にスーパーや日本の雑貨店、ドラッグストアなどで販売されています。購入者は子どもがメインですが、ジャパンカルチャーに興味を持つティーンや大人の利用も多いのは日本と違う点です。
精巧すぎて食品サンプルと勘違いも
—— 海外で販売するために、なにか変更した部分はありますか?
日本語以外にふたつのパッケージを用意しました。アメリカ、カナダには英語、中国には中国語、そして、アジア圏やオーストラリアなどの親日国には日本の商品というのが分かるようにあえて日本語パッケージのものを置いています。
裏側にQRコードを記載し、リンク先のサイト内に11か国語の作り方の説明文を掲載しています。DIYのお菓子なので、各国の子どもでも作れるよう、現地の言葉での説明は重要です。
また「ポッピンクッキン」という表記を、パッケージに大きく打ち出しています。YouTubeを通して認知されているため、海外販売の際も目に入るようにしました。完成イメージが湧くように、店頭に食品サンプルを置くなどの工夫もしています。
—— そもそも海外にも知育を目的として作られたお菓子はあるのですか?
知育を目的としたお菓子自体は日本発だと思います。中国でも作られていますが、発祥は日本です。
最近の中国では、親が知育の必要性を特に感じています。もちろん作って楽しい!というのが手に取るきっかけになっているとは思いますが、同じお菓子ならば手先を使ったり、教育的なものがいいという考えはあるかもしれません。
—— 中国などで「ポッピンクッキン」の認知活動はしているのですか?
コロナ禍で機会は減っていますが、学習塾に通う子ども向けに、イベントを開催しています。ポッピンクッキンを知ってもらうために、子どもたちに作る機会を提供。実際に作った子どもたちは、作ったものが食べられるということに、まず驚きます。
あまりに精巧なため食品サンプルと勘違いするようで、食べられるという認識が最初はないようです。そこが日本とは異なるリアクションだと感じます。
—— 今後、どのような展開を予定していますか?
この商品の魅力に気づいてもらうには一度、子どもたちに実際に作ってもらうことが重要です。海外でもっとたくさんの人に商品を知ってもらうために今まで以上にイベントを行い、ぜひみなさんに試してほしいと思っています。
日本国内向けですが、牛乳を使う実験系の知育お菓子を最近発売しました。栄養も取れるお菓子として親御さんからの反響も良いです。知育菓子(R)は親子のコミュニケーションにもなりますし、知的好奇心や共感力、失敗を楽しむ力、そして自己肯定感を育むと思っています。
今後も子どもの個性を伸ばせる、子どもの成長に役立つお菓子を開発したいと思っています。知育菓子(R)はこれだ!という枠にとらわれず、これからも知育菓子(R)の可能性を広げていきたいです。
取材・文/酒井明子 画像提供/クラシエフーズ