“お風呂の残り湯、使ってもいいケースとダメなケースがあるってホント?” “ランドリーバスケットは雑菌の温床!?” ── 菌が繁殖しやすい梅雨の時期。気をつけるべきことは、実は「部屋干し」のテクだけではありません。

 

いまわしき雑菌から洗濯ものを守るために私たちが知っておくべき情報を、ランドリーメーカー「フレディ レック」の鈴木新さんがレクチャー。今回は、菌を繁殖させない方法や、コインランドリーを賢く使うコツを教えていただきます。

結局のところ「お風呂の残り湯」を洗濯に使うのは正解か?

── 節約や節水のために、お風呂の残り湯を洗濯に使う家庭も少なくありませんが、衛生面が心配です。そもそも残り湯を洗濯に使ってもいいのでしょうか?

 

鈴木さん:

条件にもよりますが、基本的には残り湯を洗濯に使うことはあまりおすすめしません。入浴後のお湯には汗や皮脂などの汚れがたくさん浮いており、冷めたお湯は雑菌が繁殖していますから、衣服にますます雑菌がついてしまいます。

 

ただし、そのまま捨てるのはもったいないという気持ちもわかりますし、お湯で洗うことで洗浄力が高まるというメリットも。ですから、「短時間しか使っていないこと」「温度が高いこと」といった条件を満たす、入浴後間もない残り湯なら、使っても大きな問題はないかと思います。ただし、すすぎは絶対に水道水を使ってください。

 

ひと晩たって温度が下がったお湯や、追い焚きをしたお湯は雑菌だらけですから、普通の水を使うよりむしろ汚れが残りやすくなるので要注意。また、入浴剤入りのお湯は衣服を傷める原因になるので、洗濯には使わないでください。

 

── お湯を使うと汚れ落ちがいいということですが、温度はどれくらいが最適ですか?

 

鈴木さん:

温度が高ければ高いほど洗浄力は高くなり、6070度くらいになると菌も死滅しますが、生地が縮むなどのリスクもあります。そうした点も踏まえると、皮脂汚れが落ちる「40度」くらいが最適です。ただし、水でも汚れは落ちますので、洗濯ものの汚れ具合によって使い分けるといいと思います。

通気性のいいバスケット
風通しのよい「FREDDY LECK」のランドリーバスケット

── 洗濯前の衣服は脱衣所で脱いで洗濯機やランドリーバスケットに入れておくケースが多いと思うのですが、湿気の多いこの時期、菌の繁殖が気になります。

 

鈴木さん:

確かに、脱衣所は菌の繁殖しやすい場所ですね。特にこの時期、湿度の高い部屋で、さらに通気性のよくないランドリーバスケットを使っていると、それこそ雑菌の温床になってしまいます。汚れの種類や放置時間によっては、カビが生えてしまう場合もあるので気をつけましょう。ランドリーバスケットは通気性の良いものを使ってください。

 

いちばんよくないのが、脱いだ衣類を洗濯機のなかに入れっぱなしにしておくこと。洗濯槽内の水分と衣類に付着した汚れのせいで菌がどんどん繁殖してしまいます。

 

それでなくても、洗濯槽内は雑菌が繁殖しやすい状態です。2〜3週間に1度、洗濯槽クリーナーで洗濯槽自体を洗浄することをおすすめします。

洗濯槽に汚れた洗濯物を入れっぱなしの状態

「毎日洗濯は無理」なら高温のお湯を使って洗う

── とはいえ、共働きの場合は毎日洗濯するのもなかなか難しいです。つい洗濯ものが溜まりがちになってしまいますが、何かいい方法はありますか?

 

鈴木さん:

毎日洗濯ができないなら、お湯を使って洗うといいですよ。特に、汗をかきやすく皮脂汚れが出やすい4月から10月までの時期は、40度のお湯で洗い、しっかりと汚れと菌を落とすことを習慣にするといいと思います。ただし、高温で洗うとダメージを受ける生地もあるので、洗濯表示をしっかり確認して判断してください。

 

お湯の用意が難しい場合は、洗浄力をアップする酸素系漂白剤を試してみてください。合わせて使っても効果的です。

  

── 掛け布団や毛布、枕、ラグやカーペットといった、“乾きづらくサイズが大きいアイテム”を上手に干すには、どうすればいいのでしょうか?

 

鈴木さん:

大きいサイズのアイテムの場合、部屋干しをするには場所をとりますし、乾かすのも非常に難易度が高いので、コインランドリーの活用をおすすめします。

 

例えば布団などは、表面は乾いたように見えても、中までしっかり乾いていないことがほとんど。その点、コインランドリーは基本的にガス乾燥機なので、高温で一気に乾かすことができます。菌の発生を完全に防ぐために、“乾いたな”と思ってからプラス1020分、余分に回すといいですよ。

高温乾燥ができる「コインランドリー」は殺菌効果が高くリーズナブル

── 確かに、家で洗濯するのはかなりの重労働ですよね。失敗するとリスクも大きいですし。「コインランドリーを使ったことがない」という人に、賢い活用法を教えてください。

 

鈴木さん:

コインランドリーの最大のメリットは、容量が大きく、自宅で洗えないような洗濯ものに対応できることと、7080度くらいの高温の温風で一気に乾かすので、菌を殺す効果が高いことです。ほとんどの菌は70度くらいで死滅しますし、ホコリもたたき出してくれるので、モラクセラ菌やアレルゲンになる菌を布団から排除できるんです。「寝具だけはコインランドリー派」という人も多いですね。

 

賢く活用するには、「洗濯は家で、乾燥はコインランドリーで」という方法がベストと言えるかもしれません。重い洗濯ものを持ち込む手間がかかりますが、いちばんおトクに利用できる方法だと思います。 

 

── 乾燥だけでも利用できるのですね。洗濯→乾燥コースだと、けっこうお金がかかるのかなという印象がありました。

 

鈴木さん:

乾燥機だけ使う方もたくさんいらっしゃいますよ。乾かすだけなら10分で100円程度です。布団の場合でも、だいたい400500円で済むので、クリーニングに出すより安上がりですから、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。さまざまなテクニックや状況に合わせた方法を駆使しながら、梅雨の洗濯を楽しく乗りきりましょう。

 

PROFILE 鈴木 新さん

フレディレック ウォッシュサロン 商品企画担当 鈴木新さん
ドイツ発のランドリーメーカー「FREDDY LECK(フレディ レック)」の商品企画担当。日本のフラッグシップショップとしてカフェ&コインランドリー「フレディ レック・ウォッシュサロン」を展開。「前向きなココロとライフスタイルをランドリーシーンから」をモットーに、ジュニア洗濯ソムリエの資格と知識を活かして活動。オリジナルのランドリーグッズの開発に携わっている。

取材・文/西尾英子 撮影(洗濯機)/北原千恵美 画像提供(ランドリーバスケット)/フレディ レック