もうすぐ梅雨の季節。部屋のなかが洗濯もので占領されてしまい、ついテンションも下がりがち…。特に悩ましいのが、部屋干しの衣服から発生するあのイヤ~なニオイです。

 

毎年悩むのに「部屋干しの正解」って意外と知らないかも…。そこで、「部屋干しを成功させるコツ」を、巷で話題のランドリーメーカー「フレディ レック」の鈴木新さんに教えていただきました。

 

今回はニオイの原因や部屋干しのタイムリミットと、失敗を防ぐための3原則を紹介します。

部屋干しのニオイの衝撃の原因は…

── 梅雨の季節の家事は憂うつです。特に部屋干しで発生する、あの“生乾き臭”が…!そもそも部屋干しにすると衣類が臭うのは、何が原因なのでしょう?

 

鈴木さん:

部屋干しの嫌なニオイは、「モラクセラ菌」という雑菌が原因です。モラクセラ菌とは、人やペットの口腔内や粘膜などにいる常在菌なのですが、一定の温度と湿度、汚れなどの栄養素がそろうと繁殖します。洗濯ものの場合、衣服が水分を含んだ状態が5~6時間以上続くと、モラクセラ菌が大量に発生するのですが、菌が増殖する過程で糞をし、それがニオイの元になります。

 

ですから、洗い終えたら湿った状態で放置せずにすぐに干すこと、6時間以内に乾かしきることが、嫌なニオイを発生させないコツです。

効果的な部屋干しの例
── ニオイの正体が、モラクセラ菌の「糞」だったとは。糞を吸い込んでいると思うと、決して気持ちのいいものではないですね。体にも害があるのでしょうか?

 

鈴木さん:

もともと人間の体内にある常在菌ですから、とくに人体に害はないものの、大量に菌が付着した衣類を身につけることは、長期的に考えると決して肌に良いとはいえないでしょうね。特にアレルギーのある人や抵抗力が落ちた状態だと、悪影響を及ぼす可能性も否めません。

 

── 部屋干しのタイムリミットは、5~6時間以内。寝る前に干した場合、朝には乾いていないといけないわけですね。

 

鈴木さん:

そうですね。もしも乾いていない場合、部屋干しの方法に問題がある証拠なので、対策を講じる必要があります。完全に乾いていれば、干した状態のまま放置しても、菌がそれ以上増えることはありません。6時間たっても生乾きのまま匂ってしまうようなら、いさぎよくあきらめて、洗い直したほうがいいです。

一度ついた雑菌は干しても消えない

── え~!洗い直さなくてはダメなのでしょうか…。

 

鈴木さん:

残念ながら、一度ついた雑菌は洗濯し直すか、70度以上の高温で処理しない限り、消えません。つまり、ニオイもそのままということ。たとえ衣類用の消臭剤を念入りにスプレーしても、いったん繊維の奥に繁殖した雑菌は残ったままです。しかも、通常の洗濯ではなかなか落ちないのが厄介な点です。

洗濯時にオキシクリーンを入れる様子

── なんともしぶとい…。“たかが生乾き”と侮れませんね。雑菌を消して、嫌なニオイと決別するにはどうすればいいのでしょう?

 

鈴木さん:

ニオイのもととなる雑菌を除去するには、酸素系漂白剤を使うといいですよ。フレディ レックでは「オキシクリーン」の使用をおすすめしています。洗浄力もアップしますし、皮脂汚れもしっかり取れるので普段の洗濯にも使えます。液体の洗濯用洗剤とも併用できますよ(柔軟剤入りなどは不可)。

部屋干しは「温度」「湿度」「風」を整えるのが鉄則

── 洗濯の二度手間を防ぐためにも、部屋干しの失敗は避けたいところです。そのために、どんなことに気をつければいいですか?

 

鈴木さん:

まず、部屋干しをする際は、「温度」「湿度」「風」の3つの環境を整えることが大前提です。「室温は高く、湿度は低く、風通しをよくする」が成功の鉄則だと覚えておきましょう。

 

干す場所は、気温差が少なく、風通しが良いところが最適です。よく窓際に干す方がいらっしゃいますが、窓際は外気と室内の気温差によって結露が発生しやすく、湿度が上がりやすいので、部屋干しの場所としては不向きです。できれば、部屋の真ん中や廊下など、風の通り道になるようなところを選んでください。

 

人が通る動線の近くなら、通気性もよく、洗濯ものが乾きやすいです。乾いた浴室内で換気扇を回した状態で干すのも良い方法です。

 

── サーキュレーターや扇風機を使う人も多いですが、効果的な使い方を教えてください。

 

鈴木さん:

もっとも効率がいいのは、サーキュレーターと除湿器を併用することです。より短時間で乾きやすくなるので嫌なニオイも発生しません。サーキュレーターを洗濯ものの真下に置いて、直接風を当ててあげましょう。部屋の空気を混ぜることで室内の気温差がなくなり、結露を防ぎやすくなる効果もあります。

 

扇風機でもいいのですが、サーキュレーターのほうが、より直線的に送風するできるため、部屋干しには適しています。除湿器ほどのパワーはないものの、エアコンの除湿モードを使って、風が当たる位置に洗濯ものを配置するのもよいですね。

 

ちなみに、やや裏ワザ的なテクニックですが、寒くて乾かない日はエアコンの暖房で部屋を暖めると効果抜群。この方法は、私もたまに活用しています。洗濯ものの種類やその日の気温など、状況に応じて使い分けるといいですよ。

 

PROFILE 鈴木 新さん

フレディレック ウォッシュサロン 商品企画担当 鈴木新さん
ドイツ発のランドリーメーカー「FREDDY LECK(フレディ レック)」の商品企画担当。日本のフラッグシップショップとしてカフェ&コインランドリー「フレディ レック・ウォッシュサロン」を展開。「前向きなココロとライフスタイルをランドリーシーンから」をモットーに、ジュニア洗濯ソムリエの資格と知識を活かして活動。オリジナルのランドリーグッズの開発に携わっている。

取材・文/西尾英子 画像提供/フレディ レック