現在、小学1年生と4年生の子どもを育てるサチぞうさん。兄弟ともに小学校受験を経験しました。多くの子が通塾する中、定期的なテストなどを除き、ほとんど家庭学習で小学校受験に臨んだ夫婦の計4年間の道のりを聞きました。
私立受験に踏み切った理由
サチぞうさん自身、小学校受験を経験したことがあり、子どもの小学校受験も早い段階から考えていました。
ただ、やみくもに受験するのでなく、自宅からムリなく通学できる範囲でカリキュラムが充実している私立小学校を探していたところ、希望通りの私立小学校がみつかりました。
「私立にこだわっていたわけではありませんが、長男は保育園の友だちと比べて発達が進んでいると感じていました。
地元の公立に進学して、学校がつまらないと感じる『浮きこぼれ』になったら、と思ったことも私立を受験した理由のひとつです」
また、私立小学校ならではの英語教育や体験学習などカリキュラムが魅力的なだけではなく、共働き家庭の事情もありました。
「公立の小学校に進んだ場合、公立の学童で通える範囲のものは小学校併設のものだけ。規模が小さく1年生しか利用できません。
自宅から通える民間の学童も1箇所ありましたが、外遊びができず夏休みなど1日中預けるのに抵抗がありました。そのため、私立小学校に外遊びのできる学童があることも我が家にとっては重要でした」
「学習の習慣化」が長男合格の決め手に
小学受験となると多くの子どもは週1〜4回、受験専門の塾や幼児教室に通いますが、サチぞうさんはできる限り家庭学習をメインに受験に臨みました。
長男が年少の終わりに、夫が買ってきた問題集を手始めにサチぞうさん一家は子どもの小学受験に取り組み始めます。
「長男はその問題集を繰り返し解いて勉強を進めていきました。年中の秋に受けた小学校受験専門学習塾の学力診断テストでは、上位クラスに入れる実力と判定されました」
年長になってからは、テストを受けた学習塾とは違う幼児教室のテスト会員になり、年7回テストを受けながら習熟レベルをチェック。
志望校の受験対策に特化した「学校別講座」だけ、月1回ペースで幼児教室に通いました。それ以外は毎日、受験用の問題集を家で解く日々。
体調が悪いときなどをのぞいて、長男は登園前の朝に点図形など1人でできる課題を15〜30分、帰宅後は問題集などに取り組んだそうです。そして、長男は希望の小学校へ合格を果たします。
「自分の経験から受験はどの塾に通うかだけでなく、家庭でどれだけ勉強したかが重要だと考えていました。
勉強する習慣をつけてルーティン化したことが、長男の合格につながったと思います」
兄弟の違いの見極めが遅く次男は不合格に
入学後も、長男が通う学校の良さを実感したサチぞうさん。“同じ環境で小学校生活を送らせてあげたい”と思い、3歳違いの次男も同じ私立小学校を目指しましたが、残念ながら不合格に。
「兄弟の小学校受験対策は基本同じでしたが、2人の能力の違いを親がきちんと把握(直視)せず、長男と同じように年長から小学校受験の対策を始めたのでは遅かったようです」
年長の4月の時点で、長男とくらべて問題集の正答率が低かった次男には、長男の2倍近い量の問題集を繰り返し解かせましたが、もっと早くから基礎学習に取り組んでおけば良かったとサチぞうさんは振り返ります。
「年長から1年間がんばったことで、最後には差を縮めることができました。なので、年長前から基礎力作りに取り組んでおけばよかったというのが反省の一つです」
加えて、塾の志望校受験対策に特化した「学校別講座」は長男は月1回でしたが、次男は隔週で受講。
また、身体を動かすのが不器用だった次男は、運動テスト対策に年中の終わりの3月から小学校受験に特化した塾の体操教室に週1回と、少人数制で個々のレベルに合わせて丁寧に指導してもらえる別の体操教室に月1回通いました。
「次男は人見知りなこともあり、勉強する場に慣れさせる、先生の指示を聞けるようにする訓練の場としても塾を活用しました。
小学校受験特有の入試項目、先生に言われた通りに行う『指示行動』の対策にもなると考えました」
次男が受験をする前は、サチぞうさんが時短勤務で2時間仕事を早くあがり週1〜2回、塾の送迎を行いました。
家庭学習だと子どものやる気を保てる
通う回数が増えた学校別講座によって、サチぞうさん夫婦に負担がのしかかりました。
塾の宿題の提出回数が増えたのです。共働き家庭で取り組む時間が限られるため、精神的に追い詰められていったそうです。
「家庭学習はモチベーションの維持が大変なように思われますが、自分たちのペースで進められ、子どもの得手不得手に応じて勉強できます。
自分たちには自宅学習のほうが向いていることを痛感しました。子どもの気分がのらない日なら、点図形などルーティンにしているものは最低限やり、嫌がったときは本人にやりたいものを選ばせるなどの工夫ができるからです」
ただ、親子とも疲れていたり、忙しかったりしたときは勉強から離れることも。
「できなかった日があれば、その分を繰り越して1週間くらいかけてリカバリーするように調整すればいいと考えて勉強を調整しました」
弟の不合格にショックを受けた兄
「次男は不合格だったことより、兄と一緒の学校に行けないことを悲しんでいました。ただ、結果より受験勉強が終わって、ホッとした方が大きいようでした。
保育園でいちばん仲良しのお友だちと同じ小学校になるので、次男はそれほどショックを受けていなかったのかもしれません」
次男の不合格に、むしろ長男のほうがショックを受けてしまいフォローが大変だったそうです。
「次男の受験のとき、長男は小学校3年生でしたので物事が色々とわかる年齢に達していたのでしょう。
次男の頑張りを間近で見ていましたし、不合格の現実が弟に比べてどういうことかわかったようです。
『一緒の学校に通えないことは残念だね』と長男の気持ちに寄り添ったことを覚えています」
次男は不合格となってしまいましたが、就学前から自宅学習する習慣を作れたことは小学校受験の大きなメリットだとサチぞうさんは話します。
取材・文/清宮あやこ 写真提供/サチぞうさん
サチぞうさんブログ https://ameblo.jp/kohlrabi2021/