子供たちは、同級生やきょうだいなどよく似た環境で育っていても、正確やものごとに対するとらえ方がまったく違うことはよくあります。

 

初めてのことや大きな行事でもものおじせずにトライする子もいれば、何日も前からドキドキしてあれこれ心配する子も。

 

今回は、そんな心配症の子の心理や長所と短所、親の影響はあるのかなどを考えてみました。

ママ・パパに聞いた!心配症の子供のよくある言動

まずはインターネット上で、お子さんが心配症だと感じるママ・パパから、どのようなときにそう思うのかを聞かせてもらいました。

 

「息子の幼稚園で発表会があったのですが、少し長いセリフを言うことになり、何度も何度も練習して覚えてしまったにもかかわらず、数日前から言えなかったらどうしようと心配してごはんもあまり食べないし、眠りも浅いのか夜中に起きてきて、身体を壊すのじゃないかと親の方も心配でした」(Iさん・年長の男の子のママ)

 

「5歳頃の一時期、外出先や車の中で、家のカギを閉めた?どろぼう入ってないかな?などしきりに気にするようになったことがあります。何かあったのかと聞いても特にないと言いますが、なぜそんなに心配するのか理由が分からなかったです」(Yさん・1年生の男の子のパパ)

 

「時間割は夕方にちゃんとやったのに、寝る前にもう一度見て、朝ももう一度見るんです。時には夜中に布団から出てきて連絡帳を広げていることまで…。一緒に見てあげて、大丈夫だよと言ってもどうしても気になってやめられないみたいです。ママ友に聞いても、特に担任の先生も厳しいわけではないようですが」(Eさん・4年生の女の子のママ)

 

我が子が心配症だと思うのは、時間割そして行事の前というママ・パパが特に多くいました。

「心配症」と「不安障害」の違い

「心配症」というのは、「~症」とはついていますが病気ではなく、個性や性格を表す言葉です。

 

一方、「不安障害」は子供にも起こりうる精神的症状で、発表会が近いなどの明らかな理由がなくても、恐怖心を覚えたり、心配する気持ちが強すぎて日常生活ができなくなっている状態をいいます。

 

9~17歳の子供100人中13人がなんらかの不安障害を経験しているというデータもあり、男の子より女の子の方がやや多くなっています。

心配症は短所?それとも長所?

「心配症」と聞くと「よくないこと」という印象ですが、一概に悪いことばかりではないともいえます。

 

先のことを色々考えて不安要素を見つけ出し、対策していけるのであれば、それは社会では非常に重宝なスキルだからです。

 

数字1つのミスでもゴールにたどりつけないような、コンピュータのプログラマーや製造業の品質管理、経理、医療、研究職、また顧客の課題を緻密に分析して見つけ出すコンサルタントなど、心配性の人のほうが向いている職業はたくさんあります。

 

一方、ベンチャー企業の社長など、確証はないし不安もあるが、思い切って踏み出し、周囲を巻き込んでいくような仕事は向いていないかもしれませんが、そういったリーダーをサポートする立場では大きな力を発揮するはずです。

子の心配症は親の性格の影響なのか

「うちの子が心配性なのは、親に似てしまったから…?」

 

と気になっている人もいるかもしれません。

 

そこで、わが子が心配性だと思う人に、自分またはパートナーの性格と比べてどう思うかを聞かせてもらいました。

 

20名のママ・パパから聞き取りをしたところ、結果は以下のように。

 

  • 両親とも心配症で、子供もそれに似たと思う…2人
  • 両親のどちらかが心配症で、子供もそれに似たと思う…9人
  • 両親のどちらも心配症ではないのに、子供はそれに似ず心配症…9人

 

「母の私自身、心配症の自覚があります。初めて行く場所は何回も行き方を調べて、ものすごく時間に余裕を持って行きますし、それでも、迷ったらどうしようとか、起きてもいないことを想像して心配になることも多く、子供にもたぶん伝染している気がします」(Mさん・3歳の男の子のママ)

 

「私は昔から親にもっと慎重になりなさいと叱られる方だったので、子供が時間割を何度も何度も見直しているのが信じられなくて、ついもういいでしょ!などと言ってしまいます。でも夫が、そう言われても気になるものは気になるよね…などとやさしいので、子供にとってはちょうどいいのかもしれません」(Hさん・2年生の女の子のママ)

 

「うちは夫婦ともそんなに心配症ではないと思いますが、子供はやや心配症なところがあり、特に担任の先生が忘れ物や失敗に厳しい年はプレッシャーで神経質なほど準備したり、ストレスでチックが出たりするので、懇談ではそれを伝えるようにしています」(Uさん・3年生の男の子のママ)

 

お子さんの生まれつきの気質が慎重で不安を感じやすい性格で、親も心配症だった場合、行動パターンをまねることでより慎重な行動をとるようになる可能性はあります。

 

しかし、今回の20組の親子を見る限り、親が心配症でなくても子供が心配症というパターンが約半数であり、一概に「心配症は親の影響」とは言い切れないのではないでしょうか。

おわりに

いちど忘れ物をして叱られたり、失敗して困ったりすると、次回も叱られるのではないかと不安になる子はとても多くいます。

 

しかし、成長とともに経験を重ねるうち、忘れ物をしても乗りきる方法や、失敗しても次に生かせばいいと考えられるようになります。

 

まだ経験が少なく未来予測も発展途上の小さい子には、「困っても助けを求めればいいんだよ」「失敗は悪いことじゃなくて、次こうしたらうまくいくっていうヒントなんだよ」と声を掛け、何度も確認したい気持ちを否定せずに寄り添ってあげられると良いですね。

文/高谷みえこ
参考/厚生労働省|不安障害とは?:子どものSOSサイン:こころもメンテしよう ~家族の皆さんへ~ https://www.mhlw.go.jp/kokoro/parent/sos/text4.html