シングルマザーとして一人娘を育てた田中律子さん。20歳を過ぎた娘さんとは、一緒にお酒を飲んだり、出掛けにはハグをしたりと昔から仲がいいと言います。娘さんは2か国以上話すバイリンガルになりましたが、田中さんはどのようにサポートされたのでしょうか。お話を伺いました。
思春期には海外生活をしていた娘との今
── シングルマザーとして一人娘を育てた田中さん。子育てに関して、意識してきたことはありますか?
田中さん:
娘が寂しくならないように。そういったことは意識しましたが、特に「こうしなきゃ」とか、「苦労した」っていうのはなかったかな。
あと、娘は、高校はイギリスに留学していて。ちょうど思春期に海外に行っていたので、ぶつかることも少なかったですね。
── 早い段階で、別々に暮らしていたんですね。
田中さん:
そのせいなのかな。娘は20歳過ぎてるんですけど、とっても甘えん坊なんですよ。当時、あまり甘えられなかった分、今になって甘えてるのかも(笑)。
── 田中さんのインスタグラムで、親御で仲良しなショットを拝見しました。
田中さん:
ずっと仲良いですね。電話でも連絡とったり、お誕生日を一緒に祝ったり。
今は、私は沖縄、娘は東京に住んでいます。ただ、私も月の半分は仕事で東京の家にいるので、そのときは娘と一緒。未だに出かけるときはハグをしますし、帰ってきてからもそう。
あと、一緒にお酒も飲んだりしますよ。娘はビールが飲めないので、甘い、かわいいお酒とかね。料理は、娘に作ってもらってます。私も、「あんた、それくらいやんなさい」とか言ってるから(笑)。
泣きながら電話がきて
── 娘さんは、留学経験はもちろん、英語以外の語学も得意だとか。
田中さん:
日本語、英語、中国語、今はあまりできないと思うけど、ちょっとフランス語と韓国語かな。
── 意識して、そういった教育をされたんですか?
田中さん:
いやいや、全然。私は何もしてないです。
娘が中学生のとき、「高校は、イギリスの学校に留学したい…!」って言って。
やっぱりね、心配しましたよ。「本当に大丈夫なの?」って。でも、本人が行きたいっていうし、それならこっちは「いつでも帰って来ていいからね」と言ったスタンスで送り出したんです。
娘は、今でこそ英語はペラペラですが、当時はまったく英語が話せない状態で海外に行って。学校には日本人がひとりも居なかったようで、はじめは、毎日泣きながら電話がかかってきました。
── ホームシックですね。
田中さん:
早速ね。多分、3日くらい泣いてたかな。でも3日目に「もう、自分で行くって言ったから泣かない!」って宣言されて(笑)。私もそうだ!そうだ!やれやれ!って、応援しました。
それからは、もう必死に英語を覚えていって。寮に住んでいましたが、世界中からその寮に生徒が集まっていたようなんです。授業の選択で中国語を学んだり、寮で色々な友達と会話をしたり。英語以外にも、たくさんの言語に触れる機会も多かったみたいですね。
定期的な心の整理整頓で悩みに向き合う
── ところで、田中さんはヨガのインストラクターとしても活躍されています。ヨガを始めたきっかけとかあったんですか?
田中さん:
30歳くらいのときに、家の近くのヨガスタジオができたんです。初めは、趣味でヨガをはじめてみて。そのうち、知り合いがいるヨガスタジオにも行くようになったんです。
そこでスタジオの社長から「ヨガの先生やればいいじゃん」って勧められたんです。
はじめは、「えぇ、できないよ」って言ったんだけど、結果的にちょっとやってみようかなって。
── はじめてみて、いかがでしたか?
田中さん:
楽しいです!体を動かすのも好きですし、やってて気持ちがいいというか。あと、みんなの表情がどんどん笑顔になったりしていくのも嬉しいですね。いい感じに、皆のエネルギーが循環していく感じもあって。
今は、ヨガのリトリート、簡単にいうと合宿ですね。2泊3日とかで寝食を共にした旅のプランとか、何か共有できる施設を作りたいなって思ってます。
── すごく元気になれそうな感じですね。ヨガの効果もあるのか、田中さんはいつも元気で明るい印象があります。
田中さん:
基本的に、私、あんまり落ち込まないんですよ。最近は特にそうですね。もう決めたらこっちだ!って。決断力も年々ついていったというか。
それに、何かあっても、悩んだり落ち込んだりする前に、早い段階で回復するように意識しているかも。私はやっぱり海が好きだし、サーフィンとかビーチヨガ。他にもキャンプや釣り、散歩をしてみたり。
そういった自分が好きな場所で時間を過ごすことで、意外と自分が悩んでることってちっぽけだなって思ったり。または、自分はこれでいいんだとか、やっぱり思っていた通りだったとか。そのときの自分を内省する感じですね。
── 常に、心の整理をされていると。
田中さん:
サーフィンとかダイビングって、自分が頑張らないとできない時間なんですよ。そこで没頭したり、すごく冷静に客観的に自分を見る時間でもある。定期的に心の整理整頓はやっていますね。
PROFILE 田中律子さん
1971年東京都出身。タレント、女優。1990年にドラマ『愛し合ってるかい!』ほか多数出演。NPO法人アクアプラネット理事長・日本サップヨガ協会理事長。
取材・文/松永怜 撮影/阿部章仁