今年は58日が母の日。母親に感謝を伝えるこの日は、子どもから母へを贈る習慣があります。しかしなかには、さまざまな事情でが買えない子どもも。そのような子どもたちを支援する取り組み「母の日フラワードネーション」が、去年からスタート。主催団体のLORANSの広報担当・平賀さんに、取り組みの内容について話を聞きました。

きっかけはひとりのお客様の声だった

—— まず、LORANSとはどのような活動をしている会社なのか教えてください。

 

平賀さん:

排除なく、誰もが花咲く社会」を理念に、障がい者をはじめとするマイノリティ当事者の格差雇用解消を目指して活動をしている会社です。現在、スタッフの8割近くが障がいや難病と向き合う当事者で、それぞれの特性を活かして仕事に取り組んでいます。

 

事業のメインは、花や緑を提供するサービスで、フラワーギフトの販売、フラワーカフェの運営、イベント時のフラワー装飾などを行っています。

 

また、貧困や孤食など、家庭の事情によりサポートが必要な子どもに、食事や花を提供するサービス「お花屋さんのこどもごはん」プロジェクトもしています。

 

—— 去年から始まった「母の日フラワードネーション」とは、どのような取り組みなのですか?

 

平賀さん:

母の日はを贈って日頃の感謝の気持ちを伝える日ですが、子どものなかには金銭的な問題を始め、さまざまな事情で母親にを渡したくても、自分で買いにいけない子が多くいます。

 

例えば、シングル世帯の子ども、児童養護施設で生活している子ども、医療ケアを受けている子ども、災害復興支援を受けている子どもなどが挙げられます。そのような子どもたちに、母の日に母親にプレゼントするを無償で届ける取り組みです。

母の日フラワードネーション

「母の日におくりたいこどもたち専用ページ」というサイトがあり、希望する子どもはここから申し込むことができます。また去年はシングルファミリー支援団体や養護施設団体と連携し、そこに所属する子どもたちにもを届けました。

 

—— どのようなことがきっかけでスタートしたのですか?

 

平賀さん:

フラワーカフェをよく利用してくださるお客様から、「私自身はもう母がいないけれど、母がいるのに花を贈ることができない子どもがいるならサポートしたい」というご提案をいただきました。

 

その想いに共感し、急きょ「母の日フラワードネーション」を行うことになりました。

 

ただ、その時点ですでに、母の日が差し迫っており、去年は支援者の募集期間を11日しか設けることができませんでした。

 

それでも、協力団体のおかげで、700人以上の子どもが母親にカーネーションを渡すことができました。

「カーネーションを渡す」ことから広がった取り組みと笑顔

—— 支援者からの支援金が、この取り組みの資金になっているのですか?

 

平賀さん:

その通りです。取り組みに共感された方の支援金を元にを用意し、子どもたちに届けます。花を「贈る人」「受け取る人」の願いを、「提供する人」(支援者)が叶える仕組みです。

 

—— 支援にはどのように参加すればよいのでしょうか?

 

平賀さん:

2つの方法があります。ひとつ目は弊社のECサイトで「母の日ギフト」を購入した際に、追加オプションとしてドネーションを選び、支援する方法です。

 

300円〜1500円までの金額の間で3つのプランを選ぶことができ、金額に応じた寄付ができま。去年は支援プランの最低料金が500円でしたが、今年はより多くの人が気軽に参加できるように、300円から支援できるようにしました。

母の日フラワードネーション

もうひとつは、「母の日ギフト」を購入せずに、ドネーションのみを行う方法です。専用のサイトから3つのプラン(3000円〜)から選択して支援することができます。

 

また、昨年はドネーションの締切が4月下旬にしたのですが、今年は母の日当日の5月8日まで寄付ができるように変更しました。この取り組みが一人でも多くの方に届けばいいなと思っています。

 

—— 利用された母親やお子さんからは、たくさんの喜びの声が届いたと思いますが、取り組んでみていかがでしたか?

 

平賀さん:

常々、仕事をしながら感じていることではあるのですが、改めて花の持つ力に気づかされました。

 

シングルファミリー支援団体に花を届けたのですが、ある支援団体の方が、「普段親子で写真を撮る機会なんてなかなかないだろうから」と、花を渡すのとセットで写真撮影をしてくれたり、子ども同士が楽しめる企画を一緒に開催してくれました。

 

たくさんのボランティアの方々が私たちの活動に賛同協力してくれたことは私たちにとっても嬉しいことでした。

 

もちろん、子どもから花をもらうのは嬉しいサプライズだと思うのですが、それ以外にも昨年の母の日は、ちょうど、コロナ禍の自粛期間が延びていて、世の中が殺伐としていました。

 

そんななか、疲弊していた親御さんもたくさんいたと思うのですが、花を届けることで笑顔をもたらすことができたので本当に感慨深いものがありました。

 

—— 今年もたくさんの方が参加されるといいですね。

 

平賀さん:

たった一輪の花をもらうだけで、お母さんにとって母の日が彩られた1日になります。そして、花を贈る側の子どもたちも、寄付した人たちも、関わってくれたボランティアの人々や私たちスタッフも笑顔になれるそんな取り組みです。ぜひ子どもの後押しとなるような支援をしてもらえたら嬉しいです。

取材・文/酒井明子