第一生命保険が実施している「大人になったらなりたいもの」アンケート調査で、2021(令和3)年に第1位になった職業は、男子は小中高ともに「会社員」、女子は小学生が「パティシエ」、中高は「会社員」でした。
3位までの結果は、小学生男子ではYoutuber・サッカー選手、女子では看護師や幼稚園の先生・保育士。中高では公務員や医師・看護師、ITエンジニアやプログラマーなど。
今回は、この結果をもとに、小中高生のママ・パパ50人にアンケートを実施。
「わが子の将来なりたい職業」と、それに対する親の意見や想いを聞かせてもらいました。
令和の子供たちの将来の夢は?
今回、参考にしたのは、第一生命保険株式会社が1989年から実施している「大人になったらなりたいもの」アンケート調査で、2021年12月に全国の小・中・高生計3,000人を対象に行われた第33回では、1位から3位までの結果が、次のようになっています。
男子は小中高とも1位が会社員、女子は小学生のみ1位がパティシエで、中高生は同じく会社員となっています。
また男子の中でも、小学生では将来なりたい職業に会社員を挙げたのは10人に1人ですが、中高生になると5人に1人と倍増しているのがわかります。
背景にはコロナ禍でリモートワークが普及したことなどがあり、会社員を選んだ理由も「働きやすそうだから」が全年代でトップでした。
そのほかの特徴としては、男女ともに医師・看護師など医療系の職業が増えていることです。
コロナ禍で、医療現場のようすや人の命を救う仕事に対してやりがいを感じた子供たちが多かったのではないかと考えられています。
全国のママ・パパに聞いた「うちの子のなりたいもの」
上記の結果をふまえ、今回は全国の小・中・高生のママ・パパ50人にアンケートを実施。
お子さんのなりたい職業と、それは上位3位の人気職業と同じかどうか、またお子さんの夢に対する親としての気持ちを聞かせてもらいました。
お子さんの「なりたいもの」として挙げてくれた職業は、それぞれ以下のような職業でした。
【小学生】 ・低学年…お花屋さん/警察官/スポーツ選手/医師/料理人/お母さん(専業主婦)
・中学年…スポーツ選手/Youtuber
・高学年…プログラマー/看護師/スポーツ選手/イラストレーター/パン職人 【中学生】 歌手/イラストレーター/研究者/ITエンジニア 【高校生】 公務員/医師/看護師/ITエンジニア/バレリーナ/イラストレーター
今回は50組の親子に回答してもらったためランキング集計には至りませんが、全国調査の人気職業もちらほら見られます。
ただ、1位を独占した「会社員」は意外と少なく、全国調査では登場していない「イラストレーター」(全年代)や「お母さん」が多かった(小学校低学年で3人)のが特徴でした。
小学生、特に低学年では幅広い職業を知っているわけではないので、身近でイメージしやすい仕事の中から選ぶ傾向があります。
そんな小学生のママ・パパの声を一部紹介します。
■小1(女子)のママ(パート)/お子さんのなりたいものは「お花屋さん」 「小学1年生なので、夢もまだまだ流動的。でも、将来自立ができる仕事であれば、正社員、非正社員にも関わらず応援はするつもりです。できれば親としては現実味のある職業についてほしいとは思いますが、本人のやる気さえあればできる限り応援したいです」
■小3(男子)のパパ(会社員)/お子さんのなりたいものは「料理人」 「父親の自分は、仕事もある種趣味くらいに思っています。確かに生活の糧を得ることは重要ですが、それが全てではありません。自分も親の意見など全く気にせず好きな仕事をしてきたので子どもも好きにすれば良いですし、何になりたいと言っても応援します」
■小6(女子)のパパ(会社員)/お子さんのなりたいものは「パン職人」 「妻が料理好きで週2回ほど朝食にパンを焼きます。家族でパンの食べ歩きにもよく行くので、将来の夢を聞くとパンのお店を開きたいとうれしそうに話しています。最近では、妻と一緒に楽しそうにパンを作っていることもあり、親としてはしっかりと応援していきたいと思います」
ママ・パパ「どんな夢でも応援したい」が8割以上
子供の描いている将来の姿に対し、親としては賛成なのか反対なのか?という胸のうちを聞かせてもらったところ、以下のような結果に。
・親としても応援している…80%
・親としてはあまり賛同していない…20%
50人中8割を超える41人が「子供のなりたい職業を支持・応援している」という回答で、なかでも中高生の親は100%が「応援している」でした。
中高生になると、子供自身も授業などでいろいろな仕事の内容を調べたり、自分の好きなことや適性をよく見極めて考える子が増えてきます。
その結果に対して親があれこれジャッジするのは控え、できる限り応援したい…という人がほとんどでした。
■中1(女子)のママ(会社員)/お子さんのなりたいものは「イラストレーター」 「イラストというとアナログなイメージでしたが、最近はデジタルでも描くのでパソコンのスキルも身につき、WEBデザイナーなど需要の高い職業への展開もできそう。なによりも、自分がなりたい仕事に就くことが良い経験になっていくと思いますし、失敗しても次に生きていくので親としては前向きにチャレンジしてもらいたいと思っています」
■中2(女子)のパパ(自営業)/お子さんのなりたいものは「ミュージカル歌手」 「将来性や安定性も考えて職業を選ぶのも賢い選択だと思います。しかし、子どもがなりたい職業があって、その話をする時子どもがイキイキとして楽しそうなので、まずは本人のなりたいものを目指してがんばってほしいです」
■高1(男子)のママ(パート)/お子さんのなりたいものは「船員」 「息子は商船の大学に入って船員になることを希望しています。今後、ITやAIの発達によって職種が減ると言われていますが、それはロボットで置き換えられるような単純労働的な仕事だと思います。もちろん船員もある程度オートメーション化されると思いますが、国際的なコンテナ物流の需要は増え続けていますし、知識も技術も必要とされる職種だと思います。本人も具体的にしぼりこんでの希望ですので、親としても応援したいです」
■高2(女子)のパパ(会社員)/お子さんのなりたいものは「看護師」 「娘は小さい頃から看護師になりたいという夢があり、一度は中学受験をして大学までエスカレーター式の私立中に入学したものの、現在は看護学部がある別の大学を目指しています。医療を通じて人を助けたいという目標に向かって頑張っている娘を誇りに思いますし、これからも応援したいです」
■高2(男子)のママ(専業主婦)/お子さんのなりたいものは「システムエンジニア」 「これからの世の中で、IT企業の役割はますます大きいものとなることは間違いないので、その中でシステムエンジニアの仕事をすることは時代に沿っているし需要も増えていくはず。安定した仕事だと思えるので賛成しています」
■高2(女子)のパパ(会社員)/お子さんのなりたいものは「クラシックバレエダンサー」 「幼い頃から本格的に志していて、今から他の職業は考えられないと。ここまできたらあとは自分が納得するまでしっかりやり抜いてほしい。私のようなサラリーマンから見ると、好きなことを仕事にできるというのはうらやましいことです」
いっぽう、子供のなりたいものに対し「あまり良いと思わない」と答えた小学生のママ・パパも、頭ごなしに否定したり親の価値観を押しつけたりしているわけではなく、「もう少し広く世の中を知ってから決めてほしい」という気持ちでいる人がほとんどでした。
■小1(女子)のパパ(専業主夫)/お子さんのなりたいものは「絵本作家」 「現実の絵本作家は、生活できるほど絵本が売れる人はとても少ない厳しい職業と聞きますので、絵本に限らず漫画や絵画など他の選択肢も教えてあげたいと思っています。ただ、それを伝えるのはもう少し成長してからでも遅くはないので、今は否定しないでおこうと思います。人気職業ではなく自分のやりたいことをしっかり持っているわが子にも誇りを感じました」
■小3(男子)のママ(パート)/お子さんのなりたいものは「ユーチューバー」 「息子はユーチューバーを目指していて、イマドキらしいな…と思っていたら、小学生のランキング2位で驚きました。動画配信で稼げる人はごく一部だと思うし、将来も稼げる職業とは限らないので、親としては内心、会社勤めで給与をもらえる職種についてほしいです。でも夢があるのはいいことだし、今は何も言いませんが、この先成長して様々な経験を積み、自分に合った興味のある仕事が見つかればよいと思います」
おわりに
今回のアンケートでは、全国版の結果とは少し異なり「会社員」を目指すお子さんは少なかったですが、会社員と比べて安定したイメージの少ない職業を目指していても、わが子の選択を応援したいと考えているママ・パパが多いのが印象的でした。
なかにはまだ将来やりたい仕事が決まっていない、コロコロ変わる…というお子さんももちろんいると思いますし、それは何も悪いことではなく、好きなだけ迷う権利があります。
将来なりたいものはそれぞれ違っても、親としては子供のやりたいことを応援するスタンスで見守っていけたらいいですね。
文/高谷みえこ
参考/第一生命保険株式会社|第33回「大人になったらなりたいもの」調査結果を発表 https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2021_072.pdf
アンケート人数:50人 アンケート時期:2022年3月 アンケート手段:インターネット