たくさんのバラエティ番組に出演されている島崎和歌子さん。芸能生活33年を迎える中、島崎さんの年齢より下の世代との仕事が多くなってきました。アイドル・芸人・専門家など、さまざまな出演者やスタッフとの仕事もあるなかで、意識していることとは──。
年下に気をつかわれる前に
── 島崎さんは、バラエティ番組にもたくさん出演されています。タレントとして、大切にしていることはありますか?
島崎さん:
出演者、スタッフと輪を作ることでしょうか。
バラエティは、個人プレーよりもチームプレーが求められます。コミュニケーションが大事になってくるんですね。
特に、後輩や年下のスタッフさんには「私が年上だからって絶対に遠慮はしないで」と伝えますし、自分からも話しかけるように意識しています。コロナ禍でも、できる範囲でコミュニケーションをとれたらって思ってるんですよね。
── 島崎さんと若手の芸人さんが、遠慮なくぶつかるのを見るのは、とても面白いです!
島崎さん:
この前、お笑い第7世代とお仕事をさせていただいたときに、大笑いしたんです。
EXITのりんたろー。が、私がアイドル歌手時代に出した『南南西』っていうCDの曲名をみて言ったんですよね。「恵方巻きの方角ですか?」って。
── 言われてみれば(笑)。
島崎さん:
面白いし、センスがあるよね!
気をつかって「どんな曲だったんですか?」なんて聞かれるよりも、全然いい。高田みずえさんの名曲のカバーだから、本当は、笑っていいのは高田さんだけなんだけど、私もお腹を抱えて笑っちゃって。
家に帰ってからお酒が進みました(笑)。
「誰も教えてくれない」と教えてあげたい
── 相手の懐に飛び込んでいくって大切ですね。
島崎さん:
そうそう。それにこの世界って、台本はあっても教科書があるわけじゃないんです。芸事だから先輩の芸を盗んでいくものだと思っていて。
たとえば、さんまさんとは10代の頃からお仕事を一緒にさせていただいています。仕事に対する姿勢を間近で見ていると、この人についていきたい。どういうふうに考えて、どう表現されてるんだろう…って自然と見てましたね。
後輩のなかには、「誰も何も教えてくれない」と言ってくる子もいますよ。だから、「背中を見て学んでいかないと、駄目よって。この世界、誰も教えてくれないんだから」って教えてあげてるんです(笑)。
面倒見の良さは幼少期の体験が
── 島崎さんは、もともと面倒見がよい方なんですか?
島崎さん:
私がデビューから間もない頃、吉本興業のお兄さんやお姉さんと、お仕事させていただく機会がたくさんあったんです。
大阪のテレビ局には、個室の楽屋がまだあまりなかった時代です。今いくよくるよさんや、ハイヒールのお二人が私と同じ楽屋にいるんですよね。こっちからすると「テレビで見ていたモモコさんとリンゴさんだ!」って。つい声を出したくなるくらいの大先輩なんです。
そんな方々が、みずから話しかけてくださって、さらにお仕事でもお世話になって。そうやって気をつかってくださったことって一生忘れないですね。
そのお返しを大先輩方にできるわけではないから、今度は私から後輩たちにって、思うんですよね。
── 次の世代につなぐことで、恩返ししているんですね。
島崎さん:
…と、思うんだけどさ!
軽く注意したつもりが、「あの人、怖い」ってなったり。今は、なにかと「老害」って言われるでしょう?年は、みんなとるものだからね?老害老害って、害獣みたいに!って思っちゃう(笑)。
── それでも、つい面倒をみてしまう。
島崎さん:
それで「うるさいお姉さん」で終わっちゃうこともあるけど(苦笑)。
── 面倒見の良さは、昔からの性格なのでしょうか。
島崎さん:
どうかな。私は出身が高知県で、四国にはお遍路さんの文化があるんですよね。
小さい頃は、通学路を白装束のお遍路さんが歩いているのを見かけました。今ほどコンビニがなかったり、携帯電話もなかった頃だったから、お遍路さんがおばあちゃんの家に「お水ください」とか「電話をお借りしていいですか」とか立ち寄ることもあったんです。
それが自然なことだったし、みんな、おもてなし上手でおせっかい。当たり前にお世話しちゃう文化だったんですよ。
芸能界に入ってだいぶ経ちますが、もしかしたらそういう土地ならではの文化が、DNAに入っていたりするのかもしれません。
PROFILE 島崎和歌子さん
タレント、女優。高知県出身。 1989年にシングル「弱っちゃうんだ」で歌手デビュー。ドラマやバラエティなど幅広く活動する傍ら、野菜ソムリエの資格をもつ。1991年より総合司会をつとめるTBS系『オールスター感謝祭』は2022年3月で31周年を迎える。
取材・文/塚田史香、撮影/阿部章仁
衣装 トップス/La・Comfy、パンツ/Lallia Mu、ピアス/HANA.