かつてきょうだいの人数も近所の子供も多かった時代、子供同士のけんかは日常茶飯事で、子供たちは自然に仲直りの仕方を身につけたり、年上の子が仲直りのお手本を見せてくれたりしていました。
しかし最近では少子化の影響もあり、けんからしいけんかをしないまま小学校入学を迎える子も増えています。
もし、そういった子が初めてけんかしてしまったら…上手に仲直りできるのでしょうか?
今回は、子供同士のけんかはどうしたら仲直りできるのか、ママ・パパをはじめ周囲の大人ができることはなにか考えてみました。
「ごめんね」「いいよ」はどこまで必要?
大人は、一度けんかしてしまうと次に会うときも身構えてしまったり、気軽に話しかけられなかったり……なにかと後を引いてしまいがち。
でも、小さい子やきょうだい同士はけんかしても落ち着いたらけろっケロッとしてまた遊びはじめることも多いですよね。
それでも、わざわざ仲直りさせるべきなのでしょうか?
実は、保育園などでは、年齢や発達の度合いによって、どこまで仲裁・仲直りに手を貸すか、少しずつ対応を変えているといいます。
たとえば2~3歳の小さい子は、おもちゃの取り合いになってもまだ話し合いが難しく、つい手が出てしまうことも。
そんなときは、「Aちゃんは、いますぐ遊びたかったんだね」「Bちゃんは、まだ貸したくなかったんだよね」とお互いの気持ちを言葉にしてあげて、「じゃあBちゃんが遊び終わったら、次はAちゃんにどうぞしようね」などルールを共有し、最後にお互い手を出してしまったことを「ごめんね」と謝って「いいよ」と仲直り…というのが基本的な流れです。
しかし、だんだんと子供たちが成長してくると、単純にそれでは解決しないケースも増えてきます。
多少の個人差はありますが、おおむね小学校入学前後からは一律に「ごめんね」「いいよ」をゴールとせず、少しずつ子供の意志を取り入れていくのがおすすめです。
たとえば、子供たちが遊んでいる途中、Aくんが何回「やめて」と怒ってもBくんがしつこく嫌がらせをしてケンカになったとします。
そこで大人が間に入ってBくんに「ごめんね」と言わせたとしても、Bくんはまたすぐ同じことをする…そんな状況では、Aくんも「いいよ」と言いたくないでしょう。
もちろん、ケガにつながる行為や、大勢で1人をいじめているような場合は、年齢にかかわらず止めに入るべきです。
しかし、そうでない場合はできるだけ様子を見て、子供たち自身が考える時間を作っていきましょう。
大人がアドバイスする場合も、「謝りなさい」と強制するのではなく、「こういうときは謝るのがいいと思うよ」等と伝えて本人に判断を任せるようにします。
その結果、「謝ったら許してもらえて気分がいい」「意地を張ったせいで遊びたいのに遊べなくて嫌な気持ち」といった体験を重ね、子供たちはよりよい人との関わり方を覚えていくことができます。
すぐに仲直りできなくてもいい?
子供たちが、けんかは終わったけれどもお互いぷいっと離れて元のように遊ばない姿を見ると、大人は早く仲直りさせようと思ってしまいますよね。
しかし、やはりけんかした直後は、子供だって悪いと分かっていても素直に謝れなかったり、謝られても許せなかったりします。
双方が少し落ち着くのを待ってから、なかなか謝れなかった子には、さりげなく「さっきの謝ってみた?」と聞いてみてはどうでしょうか。
謝りたいけど恥ずかしいという場合は、一緒に相手の子のところに行き、「○○ちゃんが言いたいことがあるんだって」と声をかけてみてもいいですね。
また、「さっきは許せなかったけど、もう怒っていないから遊びたい」……という様子なら、「この遊びは何してるの?」などと話しかけて、「○○くんもおいでって呼んでみる?」と提案してみるのもおすすめ。
2人が一緒に遊び始めたら「仲直りできたかな?」と聞いてみて、「うん」と答えが帰ってきたら「よかったね!」と言ってまた離れたところから見守りましょう。
おわりに
子供のケンカは、親としてはハラハラするしうるさいし(笑)で、できればしないでくれたらいいのに……と思ってしまいがちです。
でも、子供にとっては、「自分はおもしろいと思っていたのに、相手は嫌だったんだ!」と相手の気持ちを知るきっかけになったり、自分の気持ちを言語化することの大切さを知ったり、人との接し方のルールを覚えたりする貴重な学びのチャンスでもあります。
ケガなどには十分注意しつつ、どうするべきかアドバイスだけして、できるだけ自分で仲直りする力を身につけられるように見守っていきたいですね。
そして、子供のけんかの機会が減っている今日この頃。夫婦げんかは子供の目の前でしないのがベストですが、もし親がけんかをしてしまったときは、子供の仲直りの見本になれるように努力していきましょう。
文/高谷みえこ