「中学受験の正体」を“イロハ”から進学塾VAMOSの代表・富永雄輔さんに教えていただきます。
今回は春休みの過ごし方について。「まずは新年度の目標を立ててみましょう」と言う富永さんにその真意を伺いました。
新年度の目標を立てよう
新学年を前に、まとまった時間が取れる春休み。勉強、習い事など、上手に時間を使いたいですよね。
勉強に関しては、塾に通っていれば何年生であれ春期講習があるでしょうから、それに通いながら宿題をきちんとこなしていけばいいでしょう。
その春期講習ももちろん大事なのですが、それよりもやってほしいことがあります。
それは、新学年が始まってから夏休みが終わるまでの5か月間、もっと言うと1年間の目標を、親子でいっしょに考えることです。
新6年生なら、「あの学校に受かりたい。そのためには塾のクラス順位をふたつあげる」。それ以外の学年も「このくらいの成績を取りたい」といった目標を立てるのです。
目標達成のための計画を立てる
目標を立てたら、それを実現するためにどのくらい勉強するかを考えましょう。もちろん、塾の先生に相談してもかまいません。
受験をする動機やスタンスは家庭によっていろいろです。それによって、「クラスを上げたいから、塾のない日は1日3時間勉強する」「楽器を中学以降も続けるから、毎日の練習も続けながら勉強もする」など、勉強への取り組みも違うでしょう。
スタンスはそれぞれ違っていていいのですが、「うちはこれでやっていく」と意識をすることが大切なのです。先の目標を見据えるなかで勉強がどういう位置づけなのかを考え、息切れしないようなペース配分を考えましょう。
家庭で考えるペースと、塾が求めるペースが違う場合は先生に相談してみましょう。「この教材は最優先で必ずやる。こちらはやらなくてよい」などとアドバイスがもらえます。
家に教材があふれかえって子どもも戸惑っている、教材を取捨選択したい、という場合も、勝手に保護者が判断せず、先生に相談するといいですね。その場合も目標が明確なら「あの学校志望ならこの教材は不要」とアドバイスしてもらいやすいでしょう。
いまの塾はノウハウがいい意味できちんとあるので、意外と細かいところまでアドバイスがもらえます。ただ、全体の方向性は家庭で決めておく必要がある、というわけです。
家庭でできる体験を積んでおく
コロナ禍で学校行事が中止・縮小され、家族旅行なども難しくなっています。生の体験がなかなかできなくなっていて、なんとなく焦っている保護者も多いのではないでしょうか。
私も塾の講師として、子どもたちが体験不足になり、それによって精神的な成長のチャンスになかなか恵まれていないことに困惑しています。
ただ、「コロナのせいで何もできない!」「家族旅行のチャンスなのに!」とがっかりすることはありません。家のなかでできる「体験」はいろいろあるはず。
例えば、大好きな恐竜について親子で調べてみたり、動画をお手本に手品にチャレンジしてみたり、料理を作ってみたり…。
勉強に関することなら、理科の実験のオンライン解説などはすごく充実してきています。そういうものを利用してもいいですね。
大人の世界でも、リアルな打ち合わせのかわりにオンライン会議ができるようになって、それによって、むしろ海外の人と交流する機会が増えた、というケースがあります。
新たなツールや方法を使うことで、価値観が変わることだってあります。
学校選びもふくめ、方法はいろいろあるということを知って、ポジティブにチャレンジしてみてください。
春休みは、1年をふりかえりつつ、新学年の見通しを立てる絶好のチャンス。
コロナ禍で、生の体験が減っているぶん、家庭で工夫していろいろな体験を積ませてあげましょう。