「自分が育休かぁ…と、はじめは戸惑いましたよ」と語るのは、現在、育児休暇取得中の川端修平さん(35歳・中学教師)。川端さんは、以前から男性の育休に対して理解もあり、ポジティブなイメージすらあったといいます。しかし、いざ自身が取得するとなると、初めは戸惑いもあったと語りました。
1年間育休をとることへの期待と葛藤
関西在住の川端さんは、妻と2人の子ども(2歳と0歳)の4人家族。趣味は、キャンプや釣りで、お酒も好き。学生時代から続けていたダブルダッチ(なわとび競技)では、日本代表として世界大会まで出場した経験もある人物です。明るくハキハキと話し、今回の取材も快く応じてくれました。
川端さんの職歴は、大学卒業して中学教師を5年、会社員を7年。その後、2021年4月から中学教師に復帰。今回は、第二子の出産を控え、12月末から1年間の育休を取得することになりました。
まず、川端さんが育休を取得するにあたって、どのような経緯があったのでしょうか。
「子供の成長を一緒に見られないのは寂しかった」
話は、第一子が誕生した頃に話がさかのぼります。
当時、川端さんは職場の近くに部屋を借りるほど会社が繁忙期で多忙だったそう。家族のサポートによって、どうにか育児と生活が成り立っていました。そのため、当時は子どもと深く関わった記憶がありません。
妻からは繁忙期を明けた後、「目覚ましく成長する我が子の変化を一緒に見られなかったのは、実は寂しかった」と告げられたそうです。
同業の妻は第一子の出産から育休を3年間継続していましたが、第二子の妊娠が分かり、川端さんは育休について考え始めました。
そのときの印象を川端さんに聞くと次のような本音が。
「正直、自分が育休かぁ~って思いましたよ。もちろん、育休についてネガティブなイメージもなかったし、必要なものだと思ってました。ただ、いざ自分が取るとなると…」
長期間職場を離れることで、関わってきた生徒の心配はもちろん、自身の収入も計算をしてみなければ生活ができるかどうかが分からない。数々の不安が頭をよぎり、すぐに決断はできなかったといいます。
まず、仕事で深く関わっていた生徒がいたこと。急にいなくなったら、不安にさせてしまったらという懸念が真っ先に浮かびました。収入面も、実際の金額を計算してみないと分かりません。そしてしばらく仕事を休むことへの不安──。
行動を起こせば意外と道は開ける
「でも、育児に集中して仕事を休める期間って、一生でそうそうないと思います」
そう思い、家族のために育休取得を最終的に決意したそう。実際に調べてみると、1年前に育休を取得した男性教師がおり、給与面でも生活の目処がたつことがわかりました。
職場の印象も好意的だったそう。当初は期間を半年程度と考えていましたが、学校側からの提案もあり、最終的には業務にも影響が少ない1年間の育休を取得することになりました。
「もちろん、職場によって環境もまちまちだと思います。自分も、会社員時代だったら育休をとっていなかったかもしれない。ただ…、僕は、仕事のためだけに生きてるわけじゃなくて、家庭のために生きていますから」
1年間の育休を取得した川端さん。まだまだ男性の育休が多くないとされる世の中で、一つの扉を開けてくれたことは確かかもしれません。
取材・文/松永 怜