同窓会での模擬授業
母校を訪れ、先生から模擬授業を受ける同窓生たち

同級生たちが数年ぶりに顔を合わせる同窓会。開催しようとすると、じつに多くの事前準備が必要になります。どうしたら同窓会を成功させられるか、幹事のやりがいについて、幹事歴20年のがじゅまるんさん(50歳)に秘けつを聞きました。

同窓会きっかけで悩みを共有したり、遊びに行ったり

中高一貫の私立校出身のがじゅまるんさんは、これまで20年、同窓会の幹事をしてきました。

 

同窓会がきっかけで、学生時代はそれほど親しくなかった人とも新たに交流が生まれています。

 

「同世代の子どもがいる同級生とは、子育ての悩みを共有することも。ただ話をするだけでも心の負担が減ります。

 

近くに住んでいる人とは観劇に一緒に出かけたり、出張の際は、近隣在住の同級生に声をかけて食事に行ったりすることもありますね」

 

同窓会に集まるのは、学生時代をともに過ごした人たち。大人になって再会すると、青春時代を共に過ごした仲間意識が芽生え、ぐっと心の距離が近づいています。

 

「いずれ子どもたちの手が離れたら、大人の修学旅行をしようなんて話もしています。

 

同窓会を開催しなかったら、接点がないまま終わっていた人もいたはず。新たな友人関係を築けたのは、幹事をしてよかったなと思うことのひとつです」

みんなが大満足する同窓会の秘けつ

これまで学年全員を呼んだ大がかりな会は4回、小規模なものは年に1回程度開催しています。

 

さまざまな企画を実施してきたなかで、好評だったのは参加者全員の1分間スピーチ。

 

「大勢が集まっても、大抵は同じテーブルの人と話すだけで終わりがち。よっぽど積極的な人でないと、全員と話をするのは難しいです。

 

でも、1分間スピーチがあれば、それぞれの近況や興味の対象、活躍の場を知ることができて、打ち解けやすい雰囲気になります」

 

参加者から学生時代の写真を提供してもらい、当時流行った音楽にのせてスライドショーにしたのも「当時を思い出す」と盛り上がりました。

学校の変遷を振り返る
中学時代に新任で来た先生がいまや校長先生!母校訪問すると学校の変遷について積もる話が聞けた

あるときは、母校訪問ツアーを開催し、校長先生から学校がどのような変遷したかの話も聞きました。校舎は建て替えられて近代的になり、当時の面影はまったくありませんでした。

 

「現在の校長先生は、私たちが中学生のときに新任で赴任してこられた先生です。ときの流れを感じましたね。

 

タブレットを用いる授業のデモもあり、参加者はみんな感心しきり。“うわー”とか、“すごっ”と感嘆の声ばかりで、語彙の少ない小学生のようになっていました」

 

なつかしの模擬授業や、先生たちが結成しているアカペラグループの発表会などの企画も。全員、学生時代に戻った感覚で楽しい時間を過ごしました。

役割分担すれば意外と手間は省けるもの

同窓会を開催する際は、役割を細かく分け、みんなに少しずつ協力をお願いしています。それぞれの負担が少なくなるうえ、会を作り上げる楽しさも感じてもらえるからです。

 

以前の同窓会では、司会、受付、名札作成、写真係、音楽担当などの係を作りました。参加した恩師が孤立しないよう、2人の担当者をつける配慮も。

 

「係はLINEグループで募集したり、直接依頼したり。卒業後も仲良くしているグループがあるとの情報を得たら、グループの皆で受付を手伝って!とお願いします。

 

みんな、それくらいならいいよと、わりと気軽に引き受けてくれます」

 

同窓会の成功は、綿密な事前準備にかかっている、とがじゅまるんさん。

 

約半年前から日時の決定や会場の手配、会場確認などを始め、約3か月前には同級生や先生方へ開催の案内を送ります。会場とも料理プランや使用機器類、テーブル配置の打合せをしていきます。

 

「学校訪問の企画がある場合は、3か月前にはあいさつにうかがい、協力をお願いします。

 

2か月前には出欠確認、予算案の作成、二次会場の手配をし、1か月前には役割分担の依頼。1週間前には領収書や名札を作り、前日は参加費振込の確認をして準備を進めます」

 

でも、ギリギリまで参加人数が確定しないときも多く、幹事泣かせの場面も。

 

参加人数が読めないと予算があいまいなため、会場の選定も手さぐりです。当日になって会費だけでたりるか、ハラハラすることも少なくありません。

 

「お金がたりないかもしれない局面で、招待した恩師が寸志を持ってきてくださったり、羽振りのいい同級生が“たりない分は俺が出すよ”と言ってくれて、心強かったですね」

 

参加人数や予算など、当日まで読めない部分もありますが、適切な時期に適切な準備をすることで、臨機応変な対応もしやすくなると考えています。

そろそろ同窓会しないの?辞められない幹事の魅力

20年も同窓会幹事を続けると、大変な部分も少なくないはずです。なぜこれだけ長く続けてきたのでしょうか。

 

「正直なところ、次にバトンを渡す人がいないのが一番の理由かもしれません。協力してくれる人はいても、先頭に立つ人はとても少ないです。

 

私は仕事柄、セミナーの開催やサポートをしているため、こうした運営に慣れているのもあります」

 

とはいえ、これまで続けてこられたのは、仲間と再会できるのが楽しいからだそう。今後も、同窓会を開催したいとの声があれば、幹事を続けようと考えています。

 

「同級生たちは、みんなに会いたくなると私に“そろそろ同窓会しない?”と言ってきます(笑)。やっぱり喜んでくれると嬉しいし、私もやりがいがあるんですよね。

 

どんなに年齢を重ねても、学生時代の同級生と会うと、不思議と当時に戻れる感覚が魅力だと思います」

がじゅまるんさん(ブログ https://gajumarun.hatenablog.com/)

文/齋田多恵 写真提供/がじゅまるんさん
※上記は、がじゅまるんさん個人の経験談・感想です。