同窓会に行くと意外な人が思いがけない変化をとげているなど、驚きの出来事も少なくありません。同窓会幹事を20年続ける、研究職のがじゅまるんさん(50歳)に、開催までの苦労や印象深かったことなどを聞きました。
連絡先不明の同級生ばかりで消息をたどるのにひと苦労
中高一貫の私立校出身のがじゅまるんさん。同窓会幹事を引き受けたのは、20年前のことです。以前の幹事から「引き継いでもらいたい」と話を持ち掛けられたのがきっかけでした。
前任者のときは3〜5年に1度、同窓会が開かれていました。でも、幹事になると同級生への連絡から日程調整、企画など、行わなくてはならないことが多く、負担が大きかったようです。
「私は何事も経験だと思っているので、ふだんから、話があれば学校の役員なども、引き受けるようにしています。同窓会の幹事もそれと同じ感覚でした」
幹事を引き受けた最初の頃、一番苦労したのは、思っていた以上に連絡先がわからない人が多かったことです。
前任者が作った同級生の連絡先リストを引き継いだものの、卒業した当時は携帯電話もなく、実家が引っ越したら消息不明になりがちなのも原因でした。
「行方をたどるには、連絡が取れた人に個別に“Mさん知らない?”などと聞くのが一番でした。グループメールやLINEなどで反応がなくても、個人間ではつながっている場合があると知りました。地道に探した結果、今では同級生の約7割とは連絡が取れるようになっています」
また、必ずしも同窓会に参加したいと考えている人ばかりではないと知ったのも、幹事の経験によって学んだことです。
「はっきりと“同窓会に行きたくない”と言う人もいて、理由はさまざま。当時を振り返りたくなかったり、特定の誰かに会いたくなかったり。学校生活にいい思い出がない人もいました。もちろんムリには誘わず、そういう考えの人もいるんだと受け止めました」
幹事は楽しむどころではないのが正直なところ
初めて幹事として同窓会を開いたのは、卒業20周年記念のときでした。恩師の先生たちも招いての学年同窓会で、レストランを貸し切ることに。
綿密な準備をしてのぞんだものの、幹事は当日もさまざまなところに気を配る必要がありました。
「参加者に喜んでもらえているか、会がうまく進行しているか、どこか抜けている点がないかが気になり、自分自身は楽しむどころではありませんでした。それでも、学生時代の友人に久しぶりに会えるのはなつかしく、みんなから“また参加したい”と言ってもらえて嬉しかったです」
社会で活躍する人がいたり、思いがけない関係も発覚!
実際に同窓会を開いてみると、学生時代はおとなしかった人が華やかになっていたり、けんか早かった人が低姿勢になっていたりと、大人になってから大変貌を遂げた人も少なくありません。
「がんばっている同級生の姿を見ると、励みになります。大企業で働く同級生が会社初の女性管理職になった話には、参加者全員が拍手喝采でした。何台もスポーツカーを所有する大金持ちになった人もいて、みんなすごいなと」
女性はそうでもないものの、男性は容姿の変化が激しい人が多く、名前を聞いても思い出せないこともありました。また、予想もしていなかった人間関係が発覚したときもあります。
「本人たちは同窓会に出席していなかったので人づてに聞いた話です。学生時代、付き合っていたカップルがいました。
結局、破局して、それぞれ別の人と結婚したのですが、実は子どもたちが同じ学校の同級生らしいんです。しかも、同じクラスに在籍!そんなことがあるんだなあと縁の不思議さを感じました」
同級生の連絡を取るところから始まり、企画や当日の進行まで大忙しの同窓会幹事。やりがいはどんなところにあるのでしょうか。
「同級生たちが各分野で活躍するのを見て、自分もまたがんばろうと思えること、なつかしい同級生と再会して、みんなの笑顔を見られるところだと思います。もちろん開催するためには、連絡先を探すなど大変なこともあります。でも、それを上回る充実感がありますね」
がじゅまるんさん(ブログ https://gajumarun.hatenablog.com/)
文/齋田多恵 写真提供/がじゅまるんさん
※上記は、がじゅまるんさん個人の経験談・感想です。