松浦亜弥さんの口パクものまね「エアあやや」などで、お茶の間の人気者になったはるな愛さん(49)。最近は、ボランティア、子どもたちへの食料支援やLGBTQへの問題にも積極的にコミットしています。昨夏の東京パラリンピックではオープニングでダンスを披露し、さらには「SDGs」への取り組みにも熱心です。幅広い活動の中から、こども食堂や食料支援の活動について聞きました。
食べていけない子どもたちにショック
── はるなさんが経営する東京・三軒茶屋の飲食店でこども食堂や、食料支援をされていますね?
はるなさん:
2018年ころから始めました。私は仕事でほとんど参加できないのですが、月に1回ほど20人くらいが集まり、店のスタッフがお好み焼きなど無料で振る舞っています。
── こども食堂を始めるきっかけを教えてください。
はるなさん:
私が出演しているラジオ番組で、社会活動家の湯浅誠さんから子どもの貧困について聞いたことでした。
こんな時代でも、食べていけない子がいることにショックを受けて“自分の店でも何かできれば“と始めました。
── 実際にこども食堂を開いてみていかがでしたか?
はるなさん:
私の店がある世田谷区は、裕福な人たちが多いイメージがありましたが、その日の食事にありつけない子どもたちが多いことに驚きました。
こども食堂が必要な人たちへのイメージも変わりましたね。お腹を空かせている子どもだけではないのです。
学校や家庭に居場所がない子や、友達がいない子、子どもだけではなく大人たちも、こども食堂という温かい空間を求めているのです。
コロナでさらに厳しくなり…
── 新型コロナウイルスの広がりで、開催は難しくなりませんでしたか?
はるなさん:
お店の営業もできなくなり、私の家族だと思っている従業員も守らなくてはいけなかったので、大変な思いをしました。
子どもたちも、コロナでさらに生活が厳しくなっていたはずなので、どうしようかと考え、同じ三軒茶屋にあるバーをたこ焼き店にリニューアルしました。
── どのような仕組みにしたのですか?
はるなさん:
子どもが、たこの絵を描いてきてくれれば、たこ焼きをプレゼントする業態にしました。お店には、たこの絵がたくさん飾ってありかわいいですよ。
お店やひとつの空間に集まることが難しくなったので、イオンさんが提供してくれたレトルト食品を世田谷の子どもたちに配布することもしました。
テレビ局の楽屋に、レトルト食品のお礼を言いに来てくれた人がいて驚いてしまいましたね。
その方は派遣社員だったようですが、テレビ局で働いている人にも困っている人がいるのです。
コロナで困窮する家族を直接…
── コロナで困窮家庭はさらに厳しい状況に追い込まれていますね?
はるなさん:
その通りです。大阪のニュース番組で、厳しい状況にある家族の様子を放映していたときも、いたたまれなくなりました。
テレビ局に直接問い合わせて、連絡先を教えてもらい、その家族に支援をさせてもらいました。
私の力でできることがあれば、これから何でもやっていきたい気持ちです。
ガスや電気が止められ借金取りが…
── そこまで支援活動に熱心なのは、幼少期の体験が影響しているそうですね?
はるなさん:
そうですね。大阪の団地で生まれ育ちましたが、決して恵まれた環境ではありませんでしたね。
両親は不仲で離婚して、家のガスや電気が止められて、借金取りが来ることもありました。
それでも母は工夫して、肉の代わりにマグロの缶づめで料理をしたり、勤め先で売れ残ったたこ焼きを持ち帰ってくれたりしました。
その温かさがあったからこそ、私はこれまで頑張ってくることができました。
だから、その味を忘れないようにこのお店を開き、子どもたちには希望を持ってほしいので食堂を開くことにしたのです。
PROFILE はるな愛さん
1972年大阪府生まれ。2009年「ミス・インターナショナル・クイーン」優勝。’10年「24時間テレビ」のマラソンランナーに。‘21年東京パラリンピック開会式出演。タレント、ボランティア活動の他に、東京都内で飲食店を3店舗経営。
取材・文・写真/CHANTO WEB NEWS 写真提供/はるな愛