やりたくない、面倒くさそう…とネガティブなイメージがあるPTA。決まるまで帰れない役員決め、必ず1度はやるのは確定…など噂も飛び交います。実際にPTAを幼稚園で2年、保育園で2年、小学校で6年経験した山口ちゆきさんに話を聞きました。
私がPTAの役員になった理由
—— PTAをやることになった経緯を教えてください。
山口さん:
わたしの住む地域では、子供会や幼稚園・保育所(保育園)のPTA、小学校のPTA役員など毎年何かしらの役をやらなければいけませんでした。
ほとんどが任期1年で、ひと通り役割や作業を覚えたころに終わりになってしまいます。
「でも、小学校のPTA本部役員なら継続して就くことができ、毎年新しいことを覚える必要がない」という理由から、小学校のPTA本部役員になることにしました。
わたしも消極的な理由でしたが、他の(小学校の)PTA本部役員も、PTA会長から説得されたり、くじ引きで決まったり、他の人がやらないから仕方なくやることになった方ばかりでした。
なり手がいない、積極的にやりたい人がいない状態です。
校長が転任する時に行う行事にモヤモヤ
—— 実際に始めたPTAではどのような活動を、どのぐらいの頻度で行ったのでしょうか?
山口さん:
PTAは「Parent Teacher Assosiation」の略なので、保護者と教師すべてがPTA会員です。
その中から、本部役員や各専門部のメンバーを募ります。活動は、清掃やPTA広報誌の発行、資源リサイクル、通学路の安全点検など多岐に渡ります。
小学校のPTA本部役員の活動は月に1〜2回、1回あたりの時間は1〜2時間程度でした。
子どもを連れて行っても良かったので、夫や祖父母に預けなければいけないなどの負担はなかったので助かりました。
その前にやっていた保育所(保育園)のPTAは毎週のように集まって準備をしないと、決められた行事がこなせないような状況でした。
「こんなのやってられないよね。わたしたち働いている親なのに」といつも思っていました。
—— そのほかにPTAをやってみて、「大変」とか「モヤモヤした」経験はありましたか?
山口さん:
校長先生や教頭先生が転任のときに、地域の偉い方を集めて公民館で飲食する恒例行事は「ヘンだな」とモヤモヤしていました。
自治会長や公民館長、町内会長、歴代のPTA本部役員など、30人ほどが集まります。
校長先生や教頭先生が、最後に地域の方々に挨拶する場でした(※現在はコロナ禍もあり、この行事はなくなったそうです)。
また、幼稚園のPTAではベルマークの整理、集計、発送作業が「強制」で負担に感じている方がいました。
なので、小学校のPTA本部役員になった際に廃止にしようとしたところ「手を動かしながら集まっておしゃべりするのが良い気分転換になる」方もいて、任意で参加する形で残しました。
不要な活動だと思っても、それを必要だと感じている保護者もいるのだと知りました。
PTA役員をしたら想像しなかったメリットも
—— PTAの活動を良い気分転換と感じる方もいるんですね…他にPTA役員をやるメリットなどありましたか?
山口さん:
学校に顔を出す機会が増えるので、なんでもない普通の状態の子どもの様子を見られることは大きな特典でした。
また、PTA本部役員の方だけでなく、先生方、保護者の皆さん、地域の方々、とにかくいろんな人と話をする機会が増えます。
そのおかげで、教頭先生から「お子さんがこんなことを手伝ってくれたんですよ」や、他の役員さんから「修学旅行で一緒にこんなことをしたと聞いたよ」と教えてもらったり…そんなことが嬉しかったです。
子どもの様子を知ることができて、子どものことで悩んでも、すぐ誰かに相談できるようになりました。
学校を近くに感じられる、知り合いが増える、仲間ができる、PTAのおかげで、世界がぐっと広がりました。
最初は仕方なしに入ったPTAですが、やってみたら得るものも多かったです。だから、今年も下の子の中学校と、上の子の高校でPTAを引き受けました。
取材・文/清宮あやこ 写真提供/山口ちゆきさん
引用元/山口ちゆきさんnote https://note.com/yamaguchichiyuki/n/nd9c13b54ffca