私たちが連絡ツールとして頻繁に使っているLINEに、新たな機能がリリースされたことをご存じでしょうか。LINEアプリの画面下部に「VOOM」と表示されている、「LINE VOOM」です。
LINEはメッセージのやり取りを中心に使っている人が多いためか、ネットの反響では「こんな機能いらない」といった声が多く見られます。一方で、私は子どもたちが楽しく見ているという話も聞いています。そこで、そもそもLINE VOOMとはどういった機能なのか、お話しします。
LINEの新機能「LINE VOOM」とは
LINE VOOMは、縦型の短尺動画を投稿、閲覧できる機能です。これまで「タイムライン」として、「友だち」になっているアカウントのテキストや画像を中心とした投稿が表示されていましたが、2021年11月にリニューアルされました。
LINE VOOMでは、これまでのように友だちの投稿も見られますが、「おすすめ」タブで知り合い以外のユーザーや公式アカウントが投稿している動画も見ることができます。
もし見たことがないのなら、「VOOM」ボタンをタップし、画面上部の「おすすめ」をタップしてみてください。たくさんの投稿が表示されます。投稿をタップすると音声付きで再生が始まり、上にフリックすると次の動画が再生されます。ダンスを踊る人、あるあるネタを話す人、かわいい動物の動画や料理のレシピなどを見ることができますよ。
気に入ったユーザーがいたら「フォロー」ボタンを押すとフォロー状態になり、「フォロー」タブから視聴できるようになります。いいねやコメントで、投稿しているアカウントと交流もできます。
「LINE VOOMって何かに似ている」と感じた人もいるかもしれません。実は今、各SNSがこうした短尺動画機能に注目しているのです。
SNS各社が注目する短尺動画
短尺動画が注目される理由は、短尺動画に特化したアプリ「TikTok」の大躍進によると考えられます。
2017年10月に日本でのサービスを開始したTikTokは、当時女子高生を中心に人気が高まり、ダンスをしている動画がたくさん投稿されました。その後ユーザーの年齢層の広がりとともに、ダンス以外のジャンルも投稿されるようになり、2021年には世界の月間アクティブユーザー数が10億人を超える規模になりました。
短尺動画の魅力は、移動時間などのすき間時間にすぐ見られること。つまらなければ数秒で飛ばして次の動画を見ることもでき、このスピード感が現代にマッチしています。
特にTikTokは、AIによる「おすすめ」機能が優れていると言われています。フォローしたアカウントや検索したキーワードなどの情報で、TikTokがその人の好きそうな動画を表示するのです。好きなジャンルの動画、そしてちょっと似ているけれど見たことはなかった動画などが次々とおすすめされます。テレビをぼーっと見ていたら、たまたま面白い番組に出会うような体験に近く、その出会いをTikTokがうまく作り出してくれるのです。
投稿する側としては、スマホで撮影から編集、投稿まで完結する手軽さと、短いのですぐに動画が完成するため、投稿のハードルが低いという特長があります。
また、流行しているダンスを真似るだけで投稿できる点も投稿しやすい理由です。TikTokを見ると、同じハッシュタグで同じ振り付けを踊っていることがわかります。この現象は「ミーム」と呼ばれ、拡散力は絶大です。
この急成長ぶりに、その他のSNSが注目しないわけがありません。InstagramとFacebookは「リール」を、YouTubeは「YouTube ショート」をアプリの一機能としてリリースし、縦型の短尺動画を楽しめる環境を整えました。
スマホで動画を視聴する人が増え、横型ではなく縦型動画の需要は高まることが予想されます。各SNSの動きはそうしたニーズの高まりを見据えています。
投稿の収益化で人気クリエイターを確保
また、SNSはもうひとつ転換期を迎えています。それは、「クリエイターエコノミー」と呼ばれる、投稿者がマネタイズできる仕組みを整え始めていることです。
面白い動画を投稿してくれるクリエイターが自社のプラットフォームで収益を得られるようにすることで、プラットフォームに滞在するユーザーを増やせます。すると、広告の視聴数が増え、動画以外の機能を利用してもらえる可能性も高まります。
LINE VOOMも、クリエイターが収益化できる機能があります。収益化できるユーザーは、フォロワー500人以上、および投稿した動画の直近1か月間の再生時間が50時間以上と条件はありますが、YouTuberのように動画投稿で稼ぎたいと思ったら頑張ることができるのです。
短尺動画は始まって間もないため、「ここのSNSではこんな短尺動画が人気」といったカラーはまだそれほどありません。まずは入門編として、LINE VOOMで体験してみてもいいかもしれませんね。
でも、お子さんがLINEを使っている保護者の方には、注意してほしいことがひとつあります。
短尺動画は1つの投稿は短いものの、次々とおすすめされるため、視聴を止めづらい傾向があります。保護者の管理のもと、LINEを使っているお子さんは多いと思います。知らないうちにLINE VOOMを見続けて、目の疲れや睡眠不足を起こさないように、見守ってあげてくださいね。
文/鈴木朋子