皆さんは「ピンクシャツデー」という日を知っていますか?
いま、毎年2月の最終水曜日を「ピンクシャツデー」として、いじめのない世界を目指そうという運動が各国で行われています。
今年2022年のピンクシャツデーは2月23日。
なぜ「ピンクシャツ」なのか?いじめ防止とどんな関係があるのか?今回はそのストーリーと、私たちにできることを紹介します。
「ピンクシャツデー」とは?意味とストーリー
いじめをなくすための日「ピンクシャツデー」の始まりは、2007年にカナダのあるハイスクールで起こった事件がきっかけだといいます。
当時、日本でいうと中学3年生だった男の子がたまたまピンク色のシャツを着て学校に行ったところ、同級生から「ゲイだ」と言われて暴行を受けたりいじめられたりして、耐えきれず家に帰ってしまったそうです。
しかし、それを聞いた2人の上級生が、なんとかして彼を助けたいと考え、放課後、ピンクのシャツを75枚も自費で買い込みました。
そして「明日、このピンクのシャツをいっしょに着よう」と同級生にメールなどで呼びかけたところ、これに賛同する生徒たちがあらわれ、翌朝、彼らの配ったシャツを着て登校しました。
しかも、他にも家にあったピンクのシャツや小物を身につけて登校する生徒が続出し、学校中がピンクのシャツを着た生徒でいっぱいになったそう。
その後、いじめられていた子に対する悪口や暴力は自然となくなったといいます。
この話が地元新聞に載ると賛同者はカナダ全土に広がり、さらにSNSを通じて海外にも広まって、現在では世界70ヵ国以上でピンクシャツデー運動が行われているということです。
国によっては5月や10月にピンクシャツデーを設定している国もあり、創始者のトラヴィス・プライス氏は「本来は毎日がピンクシャツデー」だと述べていますが、この事件があった日が2月の最終水曜日だったことから、カナダや多くの国では毎年2月最終水曜日を「ピンクシャツデー」に定めています。
2016年にはカナダのトルドー首相がピンクのTシャツを着た動画メッセージを発信したこともあるそうですよ。
今年2022年は、2月23日(水)が日本でもピンクシャツデーにあたります。
いじめストップのために取り組む学校も
ピンクシャツデーについてのストーリーは、日本の中学校用の道徳の教科書やDVDにも収録されていますので、もしかしてお子さんが授業で聞いたことがあるかもしれません。
また、授業で取り上げられたのをきっかけに、生徒会や児童たちがピンクの服を着ていじめ防止の啓発イベントを行った学校もあるそうです。
2022年2月23日、私たちにできることは?
コロナ禍のいま、相次ぐ休校や行事の中止、給食の黙食など、子供たちも孤独や不安の多い毎日を送っています。
人と人との距離ができたために、教室でのいじめは以前と比べて報告が減ったそうですが、反対にSNSを通じた「ネットいじめ」は史上最多を記録しています。
一部では自分(たち)と異なる考え方や言動をする相手を排除したり差別したりするようなニュースも見聞きします。
子育て中の親として、また1人の人間として、
「人と違うことはおかしいことではない」 「少数派だからといっていじめてはならない」 「いじめられている人を見過ごしにせず手を差し伸べよう」
そんなメッセージを伝えるために、私たちにできることはなにかあるでしょうか。
国内では、2月23日のピンクシャツデーに向けたイベントが開催され、会場ではピンク色のシャツやマスク・缶バッジなどさりげなく身につけられるアイテムも販売されています。
しかし現在はコロナ禍で外出自粛が要請されている時期でもあります。
イベントに参加するのが難しくても、2月23日には、出勤や買い物に行くときにピンク色を身につけたり、SNSで呼びかけたりするのもりっぱな活動のひとつ。
少しずつでも1人1人ができることをして、いじめのない学校や社会を目指していきたいですね!
文/高谷みえこ ※画像はイメージです
参考/日本ピンクシャツデー公式サイト https://pink-shirt-day.com/
島根県立大東高校|生徒会だより(2021年3月) https://www.daito-h.ed.jp/files/original/20210319085429546c2c1838b.pdf
日本経済新聞|いじめ減少、「ネット上」は過去最多 20年度文科省調査 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE07A3Q0X01C21A0000000/