「自分の子育ては100点満点!」と自信を持って言える人はどのくらいいるでしょうか。

 

おそらくほとんどの親、なかでもママは、自分の育児を完璧だなどとは思えず「さみしい思いをさせてるのかな…」「まずい対応してしまったかも」と、なにがしかの後悔や反省を繰り返しながらも一生懸命子育てに向き合っているのではないでしょうか。

 

それにも関わらず、ママに「子供がかわいそう」という言葉を投げてくる人たちがいるのもまた事実。傷ついたり、怒りを覚えたりした経験を持つ人もいるかと思います。

 

そこで今回は、体験談も参考に「子供がかわいそう」とママに言ってくる人の心理や、心を守ってやりすごす方法、次から言わせないための対処方法などを考えてみました。

ママに「かわいそう」と言う人は誰なのか

近年は育児に奮闘しているパパも増えていますが、やはりメインで育児を担うのはまだママが多いかと思います。

 

なかでも1人で育児を担う「ワンオペ」のママは本当に大変で、そんな様子を外から見て「子供がかわいそう」とはなかなか簡単に言えることではないはずですが、実際は平気で口に出す人も少なくありません。

 

それはたとえば次のような人たちです。

義父母・実父母からの「かわいそう」

子供からはじいじ・ばあばに当たる義理の両親や実の両親。

 

代表的なのは、やはり「こんな小さいうちから保育園に預けてかわいそう」という言葉ではないでしょうか?

 

実際の保育園では、プロの安全管理のもとで年齢に合った多彩な遊びや子供同士の触れ合い、栄養バランスの整った食事などが保証され、かわいそうどころかプラスになることの方がずっと多いはずですが、祖父母からはそうは見えないのでしょうか。

 

その他にも「お腹が空いてかわいそうだから」と食事前におやつを与えてしまう、家事もしないといけないから仕方なくテレビや動画を見せていたら「ほったらかしでかわいそう」、2人目が生まれたときに上の子に「かわいそうに」ばかり言うので余計に荒れるようになった…など、祖父母世代の「かわいそう」攻撃で困っているママの体験談は枚挙に暇がありません。

 

「義父母には言い返しにくくモヤモヤする」という人もいれば、「実の親の方が言葉に遠慮がないのでグサッとくる」という声もあります。

通りすがりの人からの「かわいそう」

祖父母と同年代の通りすがりのシニアに心ない「かわいそう」を言われた人も少なくないようです。

 

公園でいくら上着を着せても、ベビーカーで靴下をはかせても、全部子供自身が脱いでしまうので、本人の体感温度を尊重してそのままにしていたら「あら~、寒いのにかわいそう」と言われてしまった経験のある人も多いのではないでしょうか。

 

また、なぜか子供の人数を聞いてきて、1人ですと言うと必ず「1人っ子はかわいそうよ」と言ってくる高齢女性も全国各地に存在するようです。

ママ友からの「かわいそう」

上記の「一人っ子はかわいそう」は、ママ友から言われることもあります。

 

同じ立場で子育てをがんばっているはずのママ友から言われるのは、通りすがりの人よりもかなりダメージが大きいですよね。

 

それ以外にも「神経質すぎ」「しつけ厳しすぎ」「習い事が多い/少ない」などのさまざまな子育ての価値観の違いから、自分の意見と合わない相手に「それじゃ子供がかわいそうよ」と言われて傷ついている人がたくさんいます。

夫からの「かわいそう」

そして「子供がかわいそう」と言われてもっとも傷つき、怒りやむなしさを感じるのは、パートナーであるはずの夫からそう言われたときではないでしょうか。

 

少し前にも「忙しい朝、パンをティッシュに乗せて子供に出したら夫に教育に悪いと注意された。夫が洗い物をするわけでもないのに…」という話題がSNSで賛否両論を巻き起こしました。

 

夫自身は何も動かず、一方的に気に入らない点を指摘して「子供がかわいそうだろ」と言われるのはとても辛いことですよね。

「子どもがかわいそう」と言う人の心理

子育て中の人に向かって「この子がかわいそう」と言えば、言われた方は「私は子供をかわいそうな目に遭わせてしまっているの?」と子供に対して申し訳ない気持ちになりますし、「子供をかわいそうな目に遭わせる自分はなんてダメな親なんだ」と自分を責めてしまうかもしれません。

 

また、素直で真面目な人ほど必死でがんばって余計に負担を増やしてしまったり、その結果ママの笑顔が失われてしまったりするかもしれません。

 

そんな言葉「かわいそう」を言ってくる人というのは、果たしてどんな心理なのでしょうか。次にいくつか挙げてみます。

価値観の押しつけ

育児中のママ友や、子育ての先輩でもある祖父母には、自分の子育て経験や「こうあるべき」という信条があるため、他人もそれと同じ育て方をするべきだと思い込みがちです。

 

しかし、実際には子供の気質や性格・その子を取り巻く環境・両親の価値観・時代背景などさまざまな要因でベストな育て方は違いますし、そもそも何がベストかなんて誰にも分かりません。

 

それでも、自分の価値観と合わないと黙っていられないタイプの人は、思わず「それは間違っている」、「間違った子育てをされる子供がかわいそう!」という発想になってしまうのでしょう。

自己満足

子育ては誰もが初めての経験で、あとになってから「もっとこうすればよかった」と思うもの。

 

現在進行形の育児を見ると、自分自身の「もっとこうすれば」をやり直したくなってしまう人もいます。

 

今回、体験談を聞かせてもらったなかには、義母や実母に「小さいうちから預けてかわいそう」と言われたけれど、実は彼女たち自身の過去を孫に重ねていて、本当は小さい間は家で子育てしたかった…という気持ちがつい口から出てしまったというケースもあるようです。

 

自己満足ではありますが、少しせつない気もしますね。

マウント

ママの中には、ママ友や親戚から、

 

「習い事なにもさせてないの?将来特技がなくて子供がかわいそう」 「お下がりの学用品なんてかわいそうよ」

 

などと言われた人もいます。

 

もちろん、子供自身が辛いと感じていたり、子供の習い事に使うべきお金をギャンブルに使ってしまうなどであれば、生活を見直してきちんと必要なものを揃えるべきです。

 

でもそうではないのに自分の家庭を基準に「かわいそう」とひんぱんに口にする人は、マウントでいい気分になりたいだけ……という可能性があります。

コントロール

たとえば、祖父母が「アレルギーだとか言って食べ物を制限するから背が伸びないのよ、かわいそう」「この子がおとなしいのはママが仕事してばかりで相手しないから。かわいそう」などと言うときがあります。

 

もちろん本当に孫を心配している面もありますが、実は母親の選択が不満で、子供を盾にコントロールしたがっている場合もあります。

 

食物アレルギーだって、ママも内心みんなと同じものを食べさせてあげたいと思いつつ大変な除去食を続けているのに、サポートするどころか「子供がかわいそう」と言われてしまっては辛いですよね。

想像力の欠如

子供には色々なタイプの子がいて、どんなに言い聞かせても、何かが気になるとパッと道路に飛び出してしまう子もいます。

 

ママが妊娠中ですばやく追いかけられないなどの理由で、飛び出しを防ぐためにつけているハーネスを「犬みたいでかわいそう」と言われた…という話もよく聞きます。

 

他にも「そんなに叱ったらかわいそうよ、言い聞かせれば分かるのに」のように言ってくる人は、前後の流れや日頃の状態を知らずに、目の前の場面だけを見て全部を決めつけたり否定したり…つまり「想像力がない人たち」だといえます。

「子どもがかわいそう」から親子の心を守る対策

言われた側の気持ちや、それが本当に妥当なのかを考えず安易に言われる「かわいそう」の言葉は、ママはもちろん、言葉が理解できるようになってきた子供をも傷つけ、自己肯定感を下げてしまいます。

そこで、ママたちが実際に「かわいそう」と言われた時にどのような対処をしていたのかを教えてもらいました。ヒントになれば幸いです。

 

「義母は、保育園の話になるとすぐかわいそうに、かわいそうにと言うので、あるとき、何がかわいそうなんですか?と真顔で聞いたら、何も答えられなくて。ちょっと言う回数が減りましたね」(Kさん・3歳児と1歳児のママ)

 

「ネットで見たのですが、母乳かどうか聞いてきて、ミルクだというとかわいそうと言う人を黙らせるには、事実にかかわらず”半々です”と言っておくといいと聞きました。親戚にそういう人がいて、姉が出産した後よく困らされていて。コロナ明けで集まることがあれば、私もそう答えようと思っています」(Sさん・第一子妊娠中)

 

「実家で嫌がる子供に歯磨きさせようとしていたら、父がもういいじゃないか、かわいそうに…と言うので、子供も調子づいてますます逃げ回るように。そこで、子供に向かって、ママはあなたがだいじだから、虫歯で痛くなったり、歯がなくなっちゃったらもっとかわいそうなんだよ、だから歯磨きしようねって言うんだよと言い聞かせました。聞いていた父も、最後には、目先のことでかわいそうなんて言って悪かったなぁと謝ってくれました」(Uさん・4歳児のママ)

 

その他にもママたちの体験談をまとめると、ポイントは、夫婦や祖父母などの近い関係の人にはていねいに状況を伝え「この子はかわいそうではない」ことを理解してもらうこと。

 

一方、通りすがりの人など他人相手には、そうですね~と軽く流せるスルースキルを身につけることがおすすめだということです。

おわりに

ママにとって本当に強力な攻撃力を持つ「それじゃ子供がかわいそう」という言葉。

 

心に余裕があれば、「そういう見方もあるんだ」と参考にするのも良いと思いますが、今回の体験談を見ても、往々にして的外れな指摘だったりします。

 

分かってもらえるように話せればいいのですが、それが無理な場合は、できるだけ相手と距離を置き、聞こえないふりをして、ママと子供の心を守るようにして下さいね。

文/高谷みえこ