新型コロナウイルス流行の第6波により、全国的に学級・学年閉鎖や休校措置をとる小学校が増えてきました。
また、タブレットなどの学習用機器をすべての子供が使える「GIGAスクール構想」により、1人1台端末がほぼ行き渡ったとされており、休校中にオンライン授業を受けているお子さんも多いことでしょう。
ただ、低学年を中心にオンライン授業に慣れていない子や授業に集中するのが難しい子もいるため、家庭で誰かがついてサポートしないと成り立たない状況も起きています。
テレワーク中の親、特に母親がその役を担うことも多いですが、そのために仕事に支障をきたしているケースも。
今回は、そんな困っているママたちに状況や対処方法を聞かせてもらいました。
「目を離すとすぐサボる…」で仕事場を移動
Hさんは小学校2年生の男の子と保育園年長の女の子のママです。小学校が休校になり、初めてオンライン授業がスタートすることになりました。
Hさんは選択制のテレワークを開始。保育園は隣の区のため、今のところ下のお子さんは預かってもらえているそうです。
「度重なる休校でこれ以上担当の仕事を減らすわけにもいかず、テレワークでも時間いっぱい仕事をしないと終わりません。でも子供部屋でオンライン授業を受けている息子をふとのぞいてみると、ノートに落書きしたり窓の外を眺めたりで全然聞いていないことに気づいてしまったんです」
そこでHさんは、ダイニングテーブルでお子さんと向かい合って在宅勤務ができるように、オンライン授業と仕事の場所を移動したそうです。
「いざ目の前で見るとまあ、よそ見するわ、ぼーっとするわで、今までのオンライン授業も全然聞いてなかったんじゃないかと思いました。ちょっと声をかけるとまた授業を見始めるので、場所を変えて正解だったと思います」
ただ、おかげでHさんの仕事の方にはかなりしわ寄せが来ている様子です。
「さぼらず授業を聞くように監視していると、私の方は全然はかどらず、夜中に集中してなんとか帳尻を合わせていますが、どんどん睡眠不足になって私が倒れそうです(泣)」
「私だってパソコン操作苦手なのに…...」
Kさんには1年生の女の子がいます。
通う小学校が休校となり、オンライン授業のやりかたを書いたプリントが配られました。
「でも、私はパソコンとか機器の操作がすごく苦手なんですよ!この場合はこの手順で…と色々なパターンの説明が書いてあるけど、うちがどれに当てはまるのかも分からない。テスト用の画面を出して、パスワードを打ち込んだはずなのに、パスワードが違いますとか言われてもう四苦八苦…」
「うちはシングルなので私がやるしかないけど、操作がムリすぎて。結局、学童のママ友でパソコンに詳しい人に家に来てもらってなんとかつながりました。休校中なのでできるだけ直接会わないようにしたかったけど、電話ではらちがあかず本当に申し訳なかったです」
無事オンライン授業がスタートした今も、通信エラーで画面が止まったときなど「ママー!」と呼ばれるたびにドキッとしているそうです。
「友達のほうが聞きやすい」と言われてガックリ
Mさんは6年生の女の子と4年生の男の子のママです。
「今回の流行は感染力が高いと聞いて、子供たちが心配なのはもちろん、子供経由で親に感染したら夫の職場や介護中の私の母に拡げてしまうかも…と不安だったので、休校になってほっとしました。オンライン授業もサポートするつもりで、母のヘルパーさんの時間も変更してもらって準備していたのですが…」
「いざオンライン授業が始まってみると、子供たちは授業はちゃんと聞いているものの、ちょっとした疑問点などがあったときに、質問するタイミングが難しいようでした。分からないまま進むのはよくないと思ったので、私が説明したのですが...”ママの説明、わかりにくい”と言われてガックリ。友達の方が聞きやすいし分かりやすいそうです」
高学年になってくると算数などはなぜその解き方なのか、という説明も難しくなってきますし、親世代が子供の頃とは解き方そのものが変わっていたり、理科や社会の分野では新しい内容も増えているため、教えるのも一苦労かもしれませんね。
おわりに
2020年のパンデミック中に米国で実施されたアンケートでは、もともと学習に困難を抱えていた子がオンライン授業になったことで、親の8割以上が不安や抑うつ状態など高いストレスを感じていることが分かったといいます。
2022年の現在、学校・家庭双方が慣れてきたこともあり、さまざまなシステム上の問題点も改善されつつありますが、今回の取材からも「子供の授業のサポートは在宅で仕事をしながら片手間でできるようなものではない」と感じている人は引き続き多いことがわかりました。
今回はたまたまオンライン授業を受けているお子さんが1人のケースでしたが、2人・3人ときょうだいがいる家ではさらに大変ですよね。
休校や感染対策だけでなく、学びの多様性などにもつながるオンライン授業。1日も早く、操作のしさすさや通信の安定性などの格差をなくし、家族の負担も減っていくことを願います。
文/高谷みえこ
参考/厚生労働省|GIGAスクール構想による1人1台端末環境の実現等について https://www.mext.go.jp/content/20200605-mxt_chousa02-000007680-6.pdf
ケアネット|休校で先生の代わりを務める親のストレスが増大 https://www.carenet.com/news/general/hdn/51497