年間MVPプレーヤー賞を受賞した安藤さん

専業主婦から未経験の医療に特化した人材業界に転職し、社内で「MVP」を受賞した安藤真由美さん。ふだんの業務に加えて、コロナのワクチン接種会場に医師を紹介するイレギュラーな業務にも遭遇した一年。激務のなかでどうやって安藤さんは、目標を達成するためのPDCAを繰り返し続けていったのでしょうか。

メンバーの合意を得たプランニングが目標達成の第一歩

── まず安藤さんが今回、目標達成したことを教えてください。

 

安藤さん:

私は医師などの医療人材を紹介する事業を行う会社で、3チーム・計20名のマネージャーとして業務に当たっています。2021年期にチーム全体としての年間売上目標を達成し、イレギュラーで発生した新型コロナのワクチン接種に関する事業も成功に導いたことで、2度目のMVPをいただきました。

 

── 通常業務の年間目標を達成するために、どのようにPDCAを回していますか?

 

安藤さん:

まず上層部から年間目標と3か月ごとの目標が下りてきたら、チームメンバーをどう配置したら目標を達成できるのかを計画します(Plan)。

 

次にその計画をチームメンバーの前で発表し、全員の合意が取れてからそれぞれ行動し始めます(Do)。私も個人の売上目標を持っていますので、その目標が達成できるよう医師の紹介に対応しますよ。

 

チームメンバーの行動と成果は、週次でチェック(Check)。目標と大きくずれそうなときはテコ入れをし、特に問題がなさそうであれば静観します(Action)。そして、最終的に四半期目標や年間目標を達成していきました。

 

── 次に、イレギュラー業務となった「コロナワクチン接種対応」はどのような内容で、どうやって達成したのでしょうか。

 

安藤さん:

2021年2月〜9月にかけて、コロナワクチン接種に対応するため多くの医師が必要に。そのため通常の紹介業務と平行して、医師をワクチン接種会場へ紹介する事業が発生しました。業務の関係で、私が事業の責任者に抜擢されました。

インタビューを受ける安藤さん

イレギュラー業務とはいえ、まずは行動計画を立てないといけません。初めに業務全体の流れを整理し、当面必要になりそうな医師の人数を見積ります。そして担当するチームメンバーに業務を割り当てていきました。

 

ワクチン接種の対応期間や職域接種を行う企業の数など、すべて未知数です。そのためまずは厚生労働省に問い合わせて最新情報を収集。多くの企業が一斉に職域接種を始めても対応できるよう、他部署からの応援人員を確保しながら、医師を多くの企業へ紹介。最終的に、受注した医師紹介のオーダーをすべて達成しました。

1人では達成できない目標はチームでカバー。誰よりも自分が働く

── チームでの目標達成のために、ふだんから心がけている行動を教えてください。

 

安藤さん:

私が目標達成において重視しているのは、メンバーの動機づけです。3か月ごとのプランニングをチームメンバー20名の前でプレゼンします。メンバーの意見も反映して微調整しながら、最終的にはチームメンバーの合意を形成。メンバーは皆、目標達成の意識が高いので、動機づけさえできれば一直線に走ってくれますね。

 

また、上下関係のないフラットな社風なので、私も上司だからと偉そうにせず「これをお願いしたいんだけれど、どうかな?」と、“お伺いの姿勢”を心がけています。お互いが言いたいことを言える環境だからこそ、イレギュラー時にもメンバーに快く協力してもらえたと感じます。

 

── チームがうまく回らなくなったタイミングはありましたか?そのときはどう乗りきったのでしょうか。

 

安藤さん:

あるクリニックから「医師を400人紹介してほしい」という非常に大きなオーダーが来たときですね。そのクリニックの担当者1人で対応すれば、その担当者にとって大きな売上になります。

 

ただ、とてもさばききれない紹介の数だったので、担当者個人での対応でなく、チーム対応に切り替え、メンバーと連携しながら対応しました。

 

担当者個人が目標を達成したい思いはあるかもしれません。でも、目標が大きすぎて担当者1人で背負いすぎると、潰れてしまう可能性もある。だから、チームみんなで解決していくことにしました。

会議中の安藤さん

── 今回のように新しい課題に取り組む際、意識した行動はありますか?

 

安藤さん:

新しい課題への対応の仕方は、私も社内の人間もわかりません。だからこそ他部署と連携したり、厚労省に毎回確認したりと、自分で抱え込まず、“人を頼る”ようにしました。いろんなところに連絡や相談をすると、皆協力的でとてもありがたかったです。

 

また、課題の発生時にはメンバーが孤立しないよう、よりコミュニケーションを密に取って、何でも相談し合える雰囲気に。かつ、営業という仕事柄、働く時間や休暇取得などは本人に任せて、自主性を重んじるようにもしました。過度な管理は特に不要だと感じていましたから。

 

それから、私自身も人一倍働くようにしました。わからないことを実現する以上、マネジャーである自分が先頭を切ってやっていくのは当然です。通常以上に忙しいチームメンバーに負荷をかけたくない、という思いもありました。

仕事だけが人生ではない。プライベートも含めて計画を立てる

── チームメンバーには女性が多いそうですが、メンバーが目標を達成できるよう、どうサポートしましたか?

 

安藤さん:

チーム20名中19名が女性で、時短勤務者、DINKS、独身者などさまざまなタイプが在籍しています。コロナ禍では各自が仕事とプライベートで大変な思いをしていましたので、「皆で協力して乗りきろう!」などと、日頃から“前向きな声”をかけるようにしていましたね。

 

また目標を設定する際は、メンバーの意向を聞き、「プライベートも含めて、この働き方で大丈夫か」と確認するようにしています。仕事だけが人生ではないですから、プライベートも計画に組み込んで、逆算的に行動計画を立てたほうがうまくいくと考えているんです。

 

── 今後はどのようなチームを作っていきたいですか?

 

安藤さん:

 

今後も風通しのよいチームのまま、メンバーの意向を尊重しながら年間目標を達成し続けるチームでいたいですね。そして今後も人材紹介業務から医療業界、地域医療を支えていきたいと思います。

 

 

PROFILE 安藤真由美さん

株式会社エムステージに所属するマネジャー。41歳。医師のキャリアコンサルタントや医師紹介業務のコンサルタントとして活躍している。

取材・文/金指歩