「中学受験の正体」を“イロハ”から進学塾VAMOSの代表・富永雄輔さんに教えていただきます。
ここ数年、急激に変化している中学受験事情。「通塾開始は新4年生から」という常識も崩れつつあります。中学受験に向けて、低学年のうちに家庭でできる準備について伺いました。
子どもを伸ばしてくれそうな学校を探す
中学受験を検討している家庭は、いつ入塾するか、それまでに何をさせておけばいいのか、気になることでしょう。
僕は、まずはいろいろな学校の情報収集をして欲しいと思っています。わが子を伸ばしてくれるのはどんな学校か、時間がたっぷりある低学年のうちに学校を見ておくことで、偏差値や従来のイメージにとらわることなく各校の魅力を知ることができます。
受験勉強が本格化すると、希望していた学校が現実的ではない可能性が見えてくることがあります。そんなとき、保護者が多くの選択肢を知っていることは大変有利です。
近年、中学受験熱の高まりとともに、御三家(男子は開成・麻布・武蔵、女子は桜蔭・女子学院・雙葉)や渋谷学園渋谷、渋谷学園幕張といった難関校の入試がとてつもなく難しくなっています。
問題の質が難関校とそれ以外ではまったく違っていて、どこを狙うかで、受験対策が違ってくるのです。
スポーツや芸術と同じで、勉強でもあるレベル以上に達するには才能が必要です。僕は御三家や難関校を目指すには、努力だけでは越えられない壁があると考えています。
難関校でなくても子どもを伸ばすいい学校はたくさんありますから、知名度にこだわらず、フラットな目で学校をリサーチしておきましょう。
3年生のうちに小数または分数に触れておく
最近の中学受験の学習カリキュラムは、かつて保護者が経験したものよりも前倒しになりつつあります。
具体的には、4〜5年生は受験知識のインプット、つまり詰め込みにあてて、6年生から腰をすえて受験レベルの演習問題や思考力問題(公式やパターンにあてはまらず、その場で考えなくてはならない問題)の対策に取り組むのが一般的になっています。
なので、低学年のうちはそれに食らいついていくための準備ができるといいと思います。
とくに算数は文章題に慣れるのが大変ですから、まずは計算力を磨いておくことをおすすめします。
四則演算を正確にスピーディにできるようにしておくのはもちろん、3年生の2月になるまでに、小数か分数のどちらかには触れておけると、よりスムーズに受験勉強に入っていけるでしょう。
低学年のうちに小数・分数は無理!という場合
「3年生のうちに小数や分数をしっかり理解させるのは難しい」「早生まれだから、発達のピークが周囲の子どもより遅い」という場合も、中学受験をあきらめる必要はありません。
塾のカリキュラムは前倒しになっていますが、これは御三家や難関校を目指す子どもを基準にしたものだからです。御三家や難関校にこだわらなければ、思考力問題対策はほとんど必要ないので、6年生の1年間を、知識やテクニックのおさらいに使うことができます。
繰り返しになりますが、御三家や難関校ではなくても、すばらしい教育を行っている学校はたくさんあります。子どもの中高6年だけでなく、さらにその先を見据えて学校を探しながら、無理のない範囲で準備をしてみてください。
令和版中学受験では、志望校の難易度によって学ぶべき内容に大きな違いがあります。低学年のうちから学校見学などを行って、わが子に合うところを探しておきましょう。
難関校を目指すなら、小3の2月までに計算力などを鍛えておくことをおすすめします。