企業の決算期が近づき、年間目標の達成に焦る方も増えてくるこの時期。「いつも目標が未達で終わる」「途中で挫折する」そんな人たちにはある共通点があります。時短化・業務効率化の仕組みコンサルタントの岡村拓朗さんに、PDCAを上手に回すコツをQ&A形式で教えていただきました。
Q.目標を達成するための業務改善プロセス「PDCA」ですが、もしうまく機能していない場合、何から改善すればよいでしょうか?
A.業務改善を行うモチベーションを思い出すこともひとつの方法です
岡村さん:
まず確認したいのは「なぜPDCAがうまく回せていないのか」ということです。その原因に「モチベーションの低下」が関係しているなら、まずモチベーションを思い出すところから始めましょう。
「最近モチベーションがなくなってしまって…」という相談をよく受けますが、実はモチベーションはなくならないものです。ただ、あなたが忘れてしまっているだけ。だから仕事の業務改善がどうにもはかどらないと思っている方は、まずモチベーションを思い出してはどうでしょうか。
このモチベーションには、目標達成の先にある「ビジョン」も影響しています。PDCAを回せて数値的な目標を達成した際に、どのような状況を実現したいのか(ビジョン)を考えてみてください。
たとえば「今の売上目標を達成して、仕事と家庭を両立できるモデルを増やそう」などです。そのビジョンの実現に燃えているなら、自然とモチベーションが上がり、PDCAを回す気持ちも生まれてくるでしょう。
Q.今の業務が「マミートラック」で、仕事に対してどうしてもモチベーションが湧きません。
A.自分の人生の目標と業務目標の接点を考えてみましょう
岡村さん:
時短勤務などで思うような仕事ができないとき、ビジョンを描くことすら難しいかもしれません。でも会社が手取り足取り何かをしてくれるわけではないので、自分で仕事の捉え方を変えるしかないと思います。
まずはどんな人生を送りたいのか「人生の目標」を考え、それに仕事の目標をつなげる努力をしてみてください。たとえば「仕事と家庭を両立して、家族全員が幸せな家庭を築きたい」という目標を描いたとしましょう。
そこに向かって、「毎日残業ゼロで業務をまっとうする」という仕事上の目標をつなげます。それが実現すれば、家族の時間を多くもてるようになるからです。こうして捉え方を変えれば納得感が生まれ、仕事をがんばる価値を見出せるでしょう。
それでも、今の仕事に取り組んだ先に人生の幸せがないと思ったら、思いきって転職する道もあります。しかし転職した先で理想的な仕事ができるとは限りませんので、慎重に判断するといいでしょう。
Q.日々些細な業務が立て込み、計画がどんどんずれてしまいます。どうしたらいいでしょうか。
A.「バッファー」を作るか、「コアタイム」を設けましょう
岡村さん:
日々の業務を予定通りこなそうと思っても、「ちょっといいですか?」とチャットで話しかけられて仕事が中断したり、急な仕事が入ってきたりして、業務が計画通りに進まないことは多々あります。
人は立てた計画時間を3割過少に見誤ると言われていますので、バッファーとなる時間を確保し、余裕ある計画を立てておきましょう。
また、外線電話を取らない時間や部署業務以外の仕事を行わない「コアタイム」をつくる企業もあります。あなたも自分で「この時間帯はメールやチャットを切って仕事をしよう」など、自分なりにコアタイムを設けてはどうでしょうか。
「時間の余裕があるとサボってしまう」という方は、バッファーの時間を仕事の先取り時間や休憩時間などの「ご褒美タイム」と捉えてみてください。この先の仕事がより円滑に進むはずです。余白も有意義に使いましょう。
PROFILE 岡村拓朗
取材・文/金指 歩