時間を気にする女性

目標を立てたはいいけど、段取りや時間の読みが甘くて、うまくいかない人もいるでしょう。せっかく立てた目標に向かって、どうやって“時間”を使うといいのか、時短化・業務効率化の仕組みコンサルタント・岡村拓朗さんに話を聞きました。

小さなゴールの積み重ねが最終目標につながる

—— 目標達成に近づくような「時間の使い方」はありますか。

 

岡村さん:

難易度の高い大きな目標ほど、じっくりと時間をかけて取り組んでいくと思います。しかし目標が遠いほどモチベーションが落ちたり、今やるべきことが不明確になったりしないでしょうか。

 

そこで年単位で目標達成に取り組む際には、期間を3か月ごとに分割して、それぞれに「小ゴール」を決めると、時間を有意義に活用できます。

 

小ゴールを設定したら、大学ノートなどにPDCAを簡単にまとめます。計画(Plan)を立てたら、計画に基づいて毎日行動を(Do)。そして1週間単位でPDCAが計画通りに回せているかチェック(Check)して、次のアクション(Action)に活かすようにします。

 

小ゴールと年間目標がつながっていれば、「日々コツコツ行動した先に大きな目標が達成できる」という理想的な形になります。

 

試行錯誤しながらこのPDCAサイクルが身につけば、だんだんと目標達成への道のりを歩んでいる感覚が湧いてくるでしょう。そして将来的には、小さな目標も大きな目標も達成できるようになるはずです。

目標達成に不可欠な「仕事を捨てる」「人に任せる」

—— 岡村さんは著書のなかで、仕事の進め方として「GTDメソッド」も紹介していますよね。これはどんな内容でしょうか?

 

岡村さん:

「Getting Things Done(仕事を成し遂げる)」メソッドとは、アメリカの生産性コンサルタントであるデビッド・アレン氏が考案したもので、次の4つのステップで「仕事の効率」を高めていきます。

 

目標を達成しようと思ったら、ムダな仕事を整理したり、仕事を他の人に任せたりする「業務効率化」が必要になります。その効率化を検討する際に、このGTDメソッドが活用できるのです。

 

<仕事の効率を高めるGTDメソッドの4ステップ>
ステップ1.やるべきか?
ステップ2.複雑な内容か?
ステップ3.何分で終わるか?
ステップ4.自分でやるか?

 

例えば「明日までに会議用の資料を100部印刷してほしい」と上司から言われたら、まずステップ1の「やるべきか?」を考えます。

 

仮に「会議中の情報共有がそもそもの目的であれば、資料は紙でなくてPDFで共有すればいいわけです」。上司とそれが確認できれば、このタスクは不要ですよね。このようにタスクを「捨てる」判断ができると、仕事は効率化しやすくなります。

 

次に、ステップ2です。その仕事が複数のプロセスやアクションが必要な「複雑な内容」かどうかを検討。複雑な内容なら、ステップ3に移行はせずに、チームとしてのプロジェクト案件として扱ったほうがいいでしょう。

 

複雑でないなら、例えば、「何分で終わるか?」という3つ目のステップへ移ります。2、3分で終わると想定できたら、その場でパッと済ませてください。

 

もしそれ以上かかるタスクなら、ステップ4である「自分でやるか?」を検討します。仮に自分でやる必要がない仕事なら、他の人に任せましょう。この「任せる」という行動ができるかどうかで、効率性もかなり変わります。

 

このGTDメソッドが身につくと、PDCAをより高速で回せるようになりますので、ぜひ平行して使ってみてください。

PDCAで仕事もダイエットもうまくいくように

—— PDCAを回せるようになると、どんないいことがあるのでしょうか?

 

岡村さん:

PDCAを使いこなせるようになったら、目標までの期間やジャンルに関わらず、どんな目標でも達成できるようになります。小ゴールは長期目標につながっていますので、日々PDCAを回して小ゴールを毎回達成していれば、最終的には長期目標が確実に達成できます。

 

また私はPDCAを活用して、「月100時間超の残業時間をゼロにする」、「売上を2.3倍増やす」、「体重を13キロ落とす」など、異なるジャンルの目標を3つ達成しました。このようにPDCAはどんなジャンルにも対応可能です。

 

何より「今回も達成できたなら次の小ゴールもクリアできるだろう」と自信を持てるようになることが、一番のメリットではないでしょうか。

 

—— なかなか目標が達成できないとき、岡村さんはどうやって奮起していますか?

 

岡村さん:

私はPDCAを回すようになってから、あまり落ち込まなくなりました。仮に結果が出ない状況でも、PDCAでは行動(Do)の後に、確認(Check)と次への行動(Action)に向かっていくので、反省や失敗の概念がないんです。

 

例えば、計画と行動した一週間の振り返りで考えるのは、「これができなかった」と反省することではありません。そのときにやることは、「今週これはできた」と確認したり、「次はこうしてみよう」と新たな行動を決めるだけ、だからです。

 

その結果、メンタルの浮き沈みが少なくなり、やるべきことにより集中できるようになりました。ぜひPDCAやGTDメソッドを身につけて「スマートに目標を達成できる自分」になってはどうでしょうか。

 

岡村拓朗さん

PROFILE 岡村拓朗さん

株式会社センターピン代表取締役。会社員生活で培った仕事5倍速を実現する時短化・業務効率化の仕組みでもって未来を整えるコンサルタントやセミナー講師として活躍中。著作に『自分を劇的に成長させる!PDCAノート』などがある。

監修/岡村拓朗 取材・構成/金指歩