![パワーポイントでプレセンする女性](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/8/8/640w/img_88d9f1e400377379029ccb26d120212317869.jpg)
「伝わるパワポ資料」の作り方をパワポ芸人・トヨマネさんが解説する本連載。第4回は、具体的なデザインのテクニックです。要素を「削る」ことでノイズを減らし、理解しやすいスライドを作成できる、とトヨマネさんはいいます。
メッセージを削る
伝えたいメッセージを強調するためには、関係ない情報を極力そぎ落とす、つまり「ノイズを減らす」ことが重要です。ノイズを減らすときの基本的なアプローチは、「削る」です。
最初に削るのはメッセージです。まずはスライドのメッセージを改めて見直し、「要するに何が言いたいのか」を明確にしましょう。
ついつい、いろいろなことを言いたくなりますが、「1スライド1メッセージ」が大原則です。
色を削る
色を削ることも重要です。上手なデザイナーほど、スライドに使う色は最小限に抑え、本当に強調したいところだけに効果的に色を使います。
スライド上で使う色は、すべて意味を持っているべきだと考えましょう。
基本的な考え方は、「見てほしいところにだけ色を使い、残りはグレーにする」です。桃太郎のスライドを例に見てみましょう。4つの円が並べられています。これをすべて違う色にする必要はありません。
![色使いの解説(悪い例)](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/e/1/780w/img_e1c4487f5c9a11fd15669178a8cba60b39081.png)
このスライドで伝えたいことは右端の「Peach boy」なので、色を付けるのはPeach boyだけでいいのです。
![色使いの解説(良い例)](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/2/4/780w/img_24fc2b3b9707c5bba4609d56a677e59a33569.png)
このように不要な色を削ることで、スライドのメッセージが明確になり、すっと理解できるようになります。
図形や線を削る
次に削るのは図形です。パワポには多種多様な図形がありますが、ほとんどの場合、必要な図形は円、四角形、三角形と数種類の矢印だけです。
ギザギザやリボンなど、複雑な形状の要素を配置すると必要以上に目立ち、大切な要素に集中しにくくなります。
![ノイズの多い図形とシンプルな図形の例](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/b/b/780w/img_bb87fbe5215072effdea74b498e60b4735769.png)
同じ理由で、グラデーションや影のような装飾もおすすめしません。まずはシンプルな要素だけでスライドを作りきってみましょう。
線も削る対象です。図形の周囲を囲む線や文字の下線、グラフのけい線なども、実は不要な要素です。ノイズとなってしまうので、あえて使う理由がないときは使わないようにしましょう。
![枠線の有無による違い](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/3/3/780w/img_33f6603e969794170a8d08fbfb60f13720032.png)
なお、図形は基本的に「塗るだけ」「線だけ」のどちらかにするのがおすすめです。
![塗りと枠はどちらか片方に](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/c/2/780w/img_c2e327b7f5635d58917e6df6fddca43618256.png)
矢印は控えめに
図解を作るときに欠かせない要素が矢印です。でも、スライドを作る上で犯してしまいがちなミスが、「矢印を強調しすぎる」ことです。具体例で説明しましょう。
![矢印の使い方(悪い例)](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/d/3/780w/img_d3d1ffc2eea02071543a666b3838269222861.png)
これは浦島太郎が乙姫との間で、お互いに価値を提供している図。この図のように、ついつい矢印を大きく描いてしまいがちですが、この図解において「主役は誰か」を考えてみましょう。
この図の趣旨は「2人の間に価値のやり取りが発生している」ことで、2人の間でモノが動くことを示す矢印は、あくまで脇役です。以下のように、矢印の存在感を薄めることで、主役のメッセージが伝わりやすくなります。
![矢印の使い方(良い例)](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/2/7/780w/img_2718a173d8d6a47ff08cd60488f8a97f22365.png)
こうして「削る」テクニックを駆使することで、分かりやすいスライドをつくることができます。最後にビフォア・アフターの例を紹介します。
これを見れば、「削る」ことの威力が分かると思います。
BEFORE
![スライドのデザイン(悪い例)](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/8/c/780w/img_8c0d24e83036a67c10f692558d3b9e7868438.png)
AFTER
![スライドのデザイン(良い例)](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/7/3/780w/img_732964321404ad5003c31a7e5098638839151.png)
![パワポの作り方バナー](https://chanto.ismcdn.jp/mwimgs/1/a/780w/img_1a9358b56499e69cbddcf739bbc970f624506.jpg)
PROFILE 豊間根青地さん
パワポ芸人。1994年東京生まれ。飲料メーカーで通販事業のCRMや広告などを担当する傍ら、趣味のPowerPointで作成したスライドがTwitterで大きな反響を呼ぶ。アカウント(@toyomane)は1年間で5万人以上のフォロワーを集める。「くだらないけど、ためになる」をモットーに、スライド作成のノウハウや、あまり役立たないネタ画像などを各種SNSで発信中。
取材・文/出雲井亨 イメージ写真/PIXTA 資料提供/豊間根青地